平成9年4月18日
東京電力株式会社
当社は、このたび、マレーシア・テナガナショナル(TNB)との間で、
高信頼度電力供給計画の立案をはじめとするコンサルティング業務の実施
について合意に達しました。契約締結は本年5月の予定です。
テナガナショナルは、マレー半島全域を供給エリアとする同国最大の民
間電力会社であり、同国の発電設備の7割強、また同半島の送配電設備の
100%を所有・運営しています。
マレーシアでは、近年の急速な経済成長に伴い、電力需要も年10%以上
で伸び続けています。こうしたなか、昨年8月、同国において、発電所の
遮断器の誤作動を発端として、マレー半島全域が約16時間にわたって停電
するという事故が発生しました。当社は、ただちに事故の再発防止のため
協力する用意がある旨の申し出を行い、昨年11月に現地調査を実施すると
ともにテナガナショナルとの間で相互協力に関する覚書を交換いたしまし
た。その後、系統計画・系統運用分野を中心に情報交換やテナガナショナ
ル技術者の受け入れ等を行い、本年2月には「マレーシア電力系統信頼度
向上に関する提言」をテナガナショナルに提出いたしました。
テナガナショナル側は、当社の電力ネットワークのソフト・ハード面で
の信頼度と、これまでの支援を高く評価し、このたび当社に対し、
(1)信頼度の高い電力供給計画の立案
(2)高度な送電線保護方式の試験的導入
(3)給電技能訓練センター設立
の各プロジェクトに関して、有償で協力して欲しい旨の要請があり、両者
間で合意に達したものです。
なお、当社は、以上のプロジェクトの実施に加えて、関係会社である東
電設計を通じてですが、中国・華北電力に対しても、電力ネットワークの
マスタープランの作成、北京モデル地区の配電網改善計画の実施等のプロ
ジェクトを有償で実施いたします。
以 上
マレーシア・テナガナショナルに対するコンサルティング業務の概要
1. 系統計画プロジェクト
(1)概 要
事故を波及させないための系統の分離に関する検討を踏まえた
系統計画の作成。特に重要地域に対する高信頼度供給計画を立案。
(2)期 間
平成9年4月から11ヵ月間
2. 高度な送電線保護方式の試験的導入に対する支援(第1期)
(1)概 要
テナガナショナル社員に対し、日本において送電線保護および通
信システムの研修を各2週間実施。
(2)期 間
平成9年5月から同年6月まで
3. 給電技能訓練センター設立に関する支援(第1期)
(1)概 要
給電技能訓練センターそのものに対するテナガナショナルの理解
促進を目的として、テナガナショナル社員に対し、日本において
3週間の研修を実施。
(2)期 間
平成9年8月と10月
*契約は本年5月に当社とテナガナショナルとの間で締結予定。
<参 考>中国・華北電力に対するコンサルティング業務の概要
1.概 要
・北京を中心とする華北電力に対し、電力ネットワークのマスター
プランを作成。
・北京のモデル地区での配電網改善計画を作成。
・系統解析用ソフト等の利用権を供与し、専門家の教育訓練を実施。
2.期 間
・平成9年4月から同年12月まで
3.契 約
・東電設計が中国政府と契約、実施は東京電力
・契約締結日 平成9年3月14日
<参 考>テナガナショナル(TNB)の概要
・マレー半島全域を供給エリアとする同国最大の電力会社で、同国の
発電設備の7割強、マレー半島の送配電設備の100%を所有(発電
部門には、1992年からIPPが導入されている)。
・1992年に国営から一部民営化となり、現在は株式の約75%を政府が
保有。
販売電力量 337億kWh
販売電力収入 66億リンギ(3,000億円)
最大電力 638万kW
発電設備 水 力 124万kW
火 力 624万kW
合 計 748万kW
*上記に加え、約240万kWのIPPがあり、それらを含めた
設備予備率は約50%。
~平成8年の広域停電について~
平成8年8月3日夕刻、発電所の遮断器の誤操作を発端として全電
力系統に波及する停電事故が発生、停電は、翌4日の朝まで約16時間、
マレー半島全域13州の広範囲に及んだ。
この広域停電の発生は、マハティール首相が、総額200億米ドルに
およぶマルチメディア・スーパー・コリドー(高度情報通信網通信圏
構想)を発表し、海外の企業に投資を求めたわずか2日後のことであ
り、マレーシア政府に与えた影響も大きいものがあった。
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