プレスリリース 1996年

PCBの無害化処理技術の開発について


            ~周辺環境に影響を与えずに完全に無害化~


                                                平成8年12月2日
                                                  東京電力株式会社


  当社はこのたび、(財)生産開発科学研究所の協力により、三井物産(株)、
(株)ネオスと共同で、有害化学物質であるPCB(ポリ塩素化ビフェニー
ル)を化学的に分解し、安全かつ周辺環境に影響を与えずに完全に無害化
処理できる「化学抽出分解法」を開発いたしました。

  PCBは、耐熱性、化学的安定性、絶縁性に優れていることから、変圧
器、コンデンサーなどの電力設備の絶縁材、熱媒体、感圧複写紙などに広
く使用されていましたが、昭和40年代前半にその毒性が問題となり、わ
が国では昭和47年に製造、輸入、使用が原則禁止となっています。それ
以降、メーカーや事業者による厳重な保管が義務づけられていますが、保
管期間が長期化しており、安全かつ周辺環境に影響を与えない処理方法の
確立が強く求められています。
  PCBの処理については、海外では高温焼却処理法により処理が進めら
れており、わが国においても高温焼却処理が廃棄物処理法で定められてい
ます。しかし、周辺環境への影響などが懸念されることから、焼却処理施
設の立地は実現しておりません。

  このほど当社が開発した「化学抽出分解法」は、PCBを含む絶縁油に
溶媒を加え、PCBの塩素(Cl)を活性化させて水酸化ナトリウム(N
aOH)と反応させることにより、PCBを全く無害の食塩(NaCl)
とビフェニールに変えてしまうもので、つぎのような特徴があります。

  ・密閉された設備での処理が可能であり、周辺環境への影響が全くない。
  ・低濃度(0.002%程度)から高濃度(70%程度)の絶縁油中のPCBいず
  れに対しても、初めて実処理レベルに適用が可能な高い分解性能を確認。
  ・化学反応は約200度かつ常圧の条件下で行われるため安全に処理できる。
  ・反応において有害物質の生成がなく、処理後は無害な絶縁油と食塩が
    残り、燃料油または再生絶縁油として再利用できる。  


これにより、実処理レベルでのPCB処理技術の見通しが得られました。
今後は所要の検討と手順をとり、実用化をはかりたいと考えております。
  なお、12月2日~4日に千代田区の東商ホールで開催される「PCB
に関する国際セミナー」において、当社は4日に本技術開発の発表をする
予定です。


<開発体制の概要>

(1)開発主体
    ○三井物産株式会社
      ・所在地:東京都千代田区大手町1-2-1       TEL 03-3285-1111
      ・社  長:上島  重二

    ○株式会社ネオス
      ・所在地:兵庫県神戸市中央区磯辺通3-1-2   TEL 078-331-9381
      ・社  長:戸来  誠晴

    ○財団法人生産開発科学研究所
      ・所在地:京都府京都市左京区下鴨森本町15  TEL 075-781-1107
      ・理事長:山下  晋三

    ○東京電力株式会社
      ・所在地:東京都千代田区内幸町1-1-3       TEL 03-3501-8111
      ・社  長:荒木  浩

(2)研究期間  :基礎研究  H5.6~H7.3
                  実証試験  H7.8~H8.7

(3)開発費用  :総額  約9億円(当社、約4億円)



                                                            以  上



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