平成8年6月13日
東京電力株式会社
関西電力株式会社
第5回「世界電力首脳有志の会議」が、6月11日と12日(現地時間)に
ドイツのケルンにおいて開催されました。
この有志会議は、世界の主要な電気事業者(6か国・8事業者)が、電
気事業に関するグローバルな問題について意見交換を行い、必要に応じて
広く世界に問題提起・提言をしていくことを目的に1992年に設立されまし
た。日本からは東京電力と関西電力が参加しています。
今回の会議では、「気候変動枠組条約」に定める「温室効果ガス削減の
ための共同実施」(注1)を主要テーマとして、その具体化に向けて有志
会議として実行できる具体的な貢献内容や、温室効果ガスの管理戦略につ
いて意見交換を行いました。
この結果、「温室効果ガス削減のための共同実施」について、有志会議
各社が発展途上国とも協力して、以下のことに重点的に取り組んでいくこ
とに合意いたしました。
(1)燃料転換、リパワリングなど供給者側でのエネルギー効率と資源利用
効率の向上
(2)需要者側でのエネルギー効率の向上
(3)電気自動車の開発など、電力利用技術の推進 など
なお、再生可能エネルギー(水力・太陽光・風力・バイオマス・地熱・潮
力)については、火石燃料の使用を減らすとともに、「持続可能なエネルギ
ー開発」(注2)の達成の一助となる可能性があり、また、原子力が温室効
果ガスの削減に重要な役割を果たしているとの認識が確認されました。
このほか、東京電力からは「世界エネルギー会議」や「ワールド・ソー
ラー・サミット」などにおける有志会議の活動について紹介し、エネルギ
ーに関する国際的議論の場に今後いかに参画していくかなどについて意見
を交換しました。また、関西電力からは、原子力が持続可能なエネルギー
開発に果たしていく役割について報告を行い、原子力は世界の長期的エネ
ルギー需給バランスの確保と地球環境の保全に貢献できるとの認識で一致
いたしました。
さらに、有志会議の開催に合わせて、今回初めて有志会議各社代表とメ
キシコやエジプトなど発展途上国7カ国の電気事業者代表との円卓会議が
開催されました。
円卓会議では、先進国と発展途上国が手をたずさえて持続可能なエネル
ギー開発を達成するために、
(1)技術移転と技術受容能力の向上
(2)世界的なエネルギー需要増に対処するための電力の有効利用
(3)再生可能なエネルギーの活用などの地域の状況に適合する技術の育成
・適用
(4)需要面・供給面からのエネルギー利用の効率化推進
(5)電力会社の意思決定にあたっての環境面への配慮
(6)気候変動への対処にあたり費用対効果の高い戦略の採用
などについて、共同コミュニケを採択し、各電気事業者が優先的に取組む
ことといたしました。
なお、次回の有志会議は、来年の6月にカナダのオンタリオ州で開催さ
れる予定です。
以 上
(注1)「温室効果ガス削減のための共同実施」
気候変動枠組条約で定められた温室効果ガスの排出量の削減あ
るいは吸収を、費用対効果を考慮しながら、共同で実施していく
ための条約締約国間の協力形態。1995年の「気候変動枠組条約第
1回締約国会議」においてその試験的実施が合意された。
(注2)「持続可能なエネルギー開発」
未来の世代のエネルギー需要を満たすために必要な資源・環境
を損うことなく、我々の現在のエネルギー需要を満たしていくよ
うなエネルギー開発。「持続可能な開発」の考え方をエネルギー
分野に適用したもの。
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