プレスリリース 1996年

地中送電・配電線工事に適用する残土を再利用したスラリー埋め戻し工法」の開発について-残土処分量を削減しR砂の採取を不要とする瘻實好低振動等環境に優しい埋め戻し工法を開発-



                                                                
                                                  平成8年3月29日
                                                  東京電力株式会社


  当社は、このたび関電工と共同で、地中送電・配電線工事等における掘削
残土処分量の削減および高品質な埋め戻しを可能にする「残土を再利用したス
ラリー(注)埋め戻し工法」を国内の電力会社として初めて開発しました。本
日より、地中送電線工事現場(中央区晴海)にて試験実施を開始しております。
  地中線工事等では、これまで掘削した残土を全て廃棄処分し、埋め戻す際に
は山砂や改良土を購入して使用していました。この工法では、大量に発生する
残土を廃棄処分したり山砂を採取するなど自然環境への影響や、埋め戻しの際
に管路周りなどの狭い部分を締固める必要があること、その施工時の騒音・振
動などに改善が求められておりました。
  このたび開発した「残土を再利用したスラリー埋め戻し工法」は、工事現場
で掘削した残土に固化材と水を混合して硬化性のスラリーを製造し、埋め戻し
材としてリサイクルするもので、残土の廃棄処分量を削減し、山砂の採取を必
要としないなど環境に優しい工法となっています。
  また、この工法の開発にあわせて、工事現場でスラリー埋め戻し材を製造す
る専用のプラント車も開発いたしました。この車両の使用により、スラリー埋
め戻し材を1時間当たり10m3  製造することができるほか、ミキサーが電気
駆動であるため低騒音・低振動を実現しております。

  スラリー状の埋め戻し材を用いた工法は、一部の建設工事では既に実用化さ
れておりますが、電力の地中線工事のように夜間に限られることが多く、翌朝
までに道路を開放しなければならない工事では、きわめて短時間のうちに埋め
戻し材を用意し、しかも短時間で適当な強度を得る必要があったため、適用で
きずにおりました。
  このたびの工法では、必要とする強度が短時間で得られる固化材を開発し、
既存のスラリー材を用いた工法の問題点の改善を図りました。
  また、スラリー埋め戻し材の高い流動性を利用して、管路周りなど狭い部分
にも確実に充填することができ、締固め作業も不要となることから、従来の工
法で締固め施工の際に生じる騒音・振動の問題も解決しました。
  さらに、長期にわたって強度が通常の地盤レベルに維持されるため、後日掘
削の際に手掘りが可能となっています。
  なお、この工法の開発により、今回の試験実施では、従来の山砂を使用して
埋め戻す工法と比べて、既存埋設物の防護工事の省略などで、埋め戻し工事費
の約8%のコストダウンが図れる見通しです。また、本格的な採用段階でも、
年間約1億円程度のコストダウンを期待しております。
  当社では、適用範囲を拡大していくつかの試験施工を実施し、より一層のコ
ストダウン、残土リサイクルの向上をめざして、当工法の確立を図りたいと考
えております。

(注)スラリー:水と固形物を混ぜ合わせた流動性の高い物質


                                                            以  上



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