平成8年3月8日
東京電力株式会社
当社は、このたび、(株)東芝と共同で、雷レーダ情報など各種気象情報
の端末表示機能を高度化した「新防災情報システム」を開発し、4月より運
用を開始することといたしました。
現在の防災情報システムは、平成元年度に導入されたもので、当社独自
の雷レーダ観測情報に加えて(財)日本気象協会マイコスセンター(注1)
や社内各種センサ(注2)(地震センサ、気象センサ、送電線着雪センサ、
塩分付着量センサ)からの情報を受信・集約し、社内各事業所に設置された
CRT端末装置に表示しています。このシステムにより、平常時には電力設
備の的確な運用を、また、異常気象や非常災害の発生時には応動態勢の迅速
な整備をはかっております。
気象状況に応じてより迅速・的確に電力設備を運用・保全するためには、
より正確・詳細な気象情報が求められており、こうしたニーズに対応するた
め、例えば、当社の雷レーダ観測システムは、平成6年度より順次更新を進
め、雷雲の発生状況や雨量強度のデータをより正確・詳細に観測できるよう
になっております。また、社外で一般にサービスされている気象情報につい
ても、地震・津波などの情報が高度化し、天気予報もきめ細かくなってきて
おりますが、今後も一層情報が詳細化していくことが予想されます。
現在、当社で防災情報システムに使用しておりますCRT専用端末装置
は、画面解像度が低く、これら詳細情報の表示が困難であったため、この
たび、以前に比べて低廉で、技術的に進んだ汎用ワークステーションを活
用することにより、高精細表示ができる新防災端末装置を開発し、合わせ
て、現行システムのホストコンピュータと情報伝送路についても増強を行
い、気象情報の高度化に対応可能なシステムとしたものです。
今後、このシステムを活用して、より一層の電力設備の的確な運用、異
常気象、非常災害への迅速な対応をはかり、電力の安定供給に努めたいと
思います。
なお、新防災情報システムは次の特徴を有しています。
1.現行のCRT専用端末装置では海岸線・行政界、当社送電線ルート、
マイクロ波無線系統等と気象情報との表示であったが、新端末装置では
これらに加えて、道路・鉄道・河川・山岳等の情報や標高データ、さら
に発・変電所、無線中継所等の当社事業所の位置情報等も気象情報と重
ねて表示することができるため、これら電力設備/地図と気象状況とを
より密接に関連付けることができ、その時々の状況が的確に把握できる。
2.電力運用において重要な情報である雷雲の発生状況や雨量強度の観測
データが、これまでの3.75km×5.5kmメッシュから2km×2kmメッシュ
にさらに詳細に表示でき、落雷位置標定システム(LPATS)(注3)
とのシステム連係によって落雷位置/落雷発生時刻等も表示可能となった。
3.(財)日本気象協会マイコスセンター提供情報のうち、地震情報(地点
震度/地域震度等)、津波注意報・警報、ひまわり、雷雨警戒報、高層
気象情報等の情報を追加表示した。
4.端末装置に汎用ワークステーションを採用し、また今後の社内各種シ
ステムとの情報連係を容易にするためLANを採用した。これによって
、端末装置からホストコンピュータ側への情報検索も可能となった。(
雷レーダ関係の情報で3ヶ月程度遡って検索)
5.今後の一層の気象情報高度化や当社設備更新に伴い、端末装置プログ
ラムやデータをメンテナンスする場合でも、ホストコンピュータからの
遠隔操作で一括自動更新が可能であるため、運用が容易になった。
以 上
(注1)(財)日本気象協会マイコスセンター
気象庁の財団法人である日本気象協会が昭和53年から運用を開始
している気象情報サービスを行うための組織。国、地方自治体、電
力、報道、航空・空港関係等各機関に気象情報をオンラインでサー
ビスしている。
(注2)各種センサ
o地震センサ…変電所等に設置し、水平方向の加速度を計測。
o気象センサ…各事業所に設置し、風向・風速、温度、湿度を計測。
o送電線着雪センサ…送電鉄塔に設置し、送電線に付着する雪の量を、
単位長さあたりの重量として計測。
o塩分付着量センサ…変電所に設置し、碍子に付着する塩分の量を
単位面積あたりの重量として計測。
(注3)落雷位置標定システム(LPATS)
落雷発生時、複数地点に設置された受信局(リモートレシーバ)
で電波を受信し、この電波の到達時間差から落雷位置を標定するシ
ステム。受信局数は最低3か所あれば標定することは可能だが、標
定精度の向上、受信局故障時のバックアップの観点から、当社では
6か所に設置している。
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