トップページ > リリース・お知らせ一覧 > プレスリリース > 2013年 > 当社原子力発電所における燃料集合体チャンネルボックス上部(クリップ)の一部欠損に係る調査結果の原子力規制委員会への報告について(最終報告)
平成25年9月26日
東京電力株式会社
当社は、平成24年7月10日に東北電力株式会社女川原子力発電所3号機において、チャンネルボックス上部(クリップ)に欠損が確認されたことを踏まえて、平成24年8月10日に経済産業省原子力安全・保安院より燃料集合体チャンネルボックス*1上部クリップ*2の一部欠損に関する指示文書*3を受領いたしました。これに基づき柏崎刈羽原子力発電所1~7号機の燃料集合体チャンネルボックス上部クリップの欠損の確認、原因調査、再発防止対策について評価、検討を進めてまいりました。
このたび、上部クリップの欠損の確認および原因調査、再発防止対策の評価、検討が完了したことから、最終報告書として取りまとめ、本日、原子力規制委員会へ報告しましたのでお知らせいたします。
上部クリップの欠損について確認した結果、柏崎刈羽原子力発電所1~7号機の原子炉内および使用済燃料プール内にある燃料集合体に装着されたチャンネルボックス18,586本のうち、162本の上部クリップの接合部に欠損(欠損部位の最大長さ約29mm)を確認しました。
確認された欠損については、上部クリップの接合部に限定されており、チャンネルボックスの機能(原子炉冷却材流路確保および制御棒ガイド機能)に影響がないことを確認しました。
この162体について燃料集合体の外観点検を行い、145体については、損傷、変形等の異常がなく健全であることを確認しました。残りの17体については、ウォータ・ロッドに曲がりが確認されておりますが、過去にチャンネルボックスの装着時に過大な荷重をかけたことにより発生したものであり、チャンネルボックス上部クリップの欠損により生じたものではないことを確認しました。
また、欠損した上部クリップ周辺の一部を採取し確認したところ、部材のジルコニウム合金が腐食したものであり、もろく細かな粉体になることから、欠損部が炉内構造物等の損傷等、原子炉施設への影響を及ぼすものではないことを確認しました。
以上により、チャンネルボックス機能への影響、燃料集合体への影響、原子炉施設への影響がないことを確認しております。
欠損の原因については、チャンネルボックスの製造メーカごとに異なるものの、主なものとして以下のとおり推定しました。
・製造時においてチャンネルボックス上部にクリップを溶接する際に、当て板金の使用によりクリップ端部の溶接時の入熱量が大きくなったこと。
・予熱された当て板金の影響により溶接後の冷却速度が低下し、溶接部の微細な結晶組織が粗大化したこと。
・チャンネルボックスの材料内に含まれる鉄などの元素の量が低下した領域が増大し耐食性が低下したこと。
再発防止対策として、今後の製造にあたっては、新たな溶接設備を導入して、溶接時に大きな熱量が加わらないようにすることや、当て板金を使用しない溶接方法等に変更することといたしました。
上部クリップに欠損が確認されたチャンネルボックスについては機能に問題ないことを確認しており、このうち炉内再装荷用燃料に装着された68本は継続して使用いたします。(ウォータ・ロッドに曲がりが確認された燃料集合体17体は含まれておりません)
今後、当面の間、定期検査時に全号機のチャンネルボックスの上部クリップの状況や新たな欠損の有無について確認を行ってまいります。
なお、福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所については、今後必要に応じてチャンネルボックスの欠損状況の確認を行ってまいります。
以 上
(これまでの経緯)
○平成24年8月10日、過去に柏崎刈羽原子力発電所において燃料集合体チャンネルボックス上部の一部に剥離が確認された事象の概要や当時の調査内容、対応等について、経済産業省原子力安全・保安院へ報告した。
また、同日、チャンネルボックス上部の一部欠損に関する指示文書*3を同院より受領した。
○指示文書に基づき、原子炉内および使用済燃料プールにある燃料集合体について、当該箇所の欠損の確認等を行った結果、点検が可能な柏崎刈羽原子力発電所1、4、7号機の使用済燃料プール内にある燃料集合体チャンネルボックス全数について、水中カメラによる上部の点検を実施し、クリップの白色化または欠損の可能性があるものを確認した。(1号機0体、4号機10体、7号機71体)
○当社は、引き続き、同院からの指示文書に基づき、クリップの点検を計画的に行うとともに、白色化または欠損の可能性が確認されたものについては、燃料交換機で吊り上げて水中カメラによる詳細点検を実施するなどの調査を実施し、同時に指示文書を受領した他の事業者の調査状況等を踏まえつつ、本事象の発生原因等を検討・評価して、それらの結果を取りまとめ、同院へ報告する。
○別紙
・東京電力株式会社 原子力発電所におけるチャンネルボックス上部(クリップ)の一部欠損について(最終報告)(概要)(PDF 1.04MB)
○参考資料(報告書)
・東京電力株式会社 原子力発電所におけるチャンネルボックス上部(クリップ)の一部欠損について(最終報告)(PDF 67.4MB)
*1 チャンネルボックス
燃料集合体に取り付ける四角い筒状の金属製の覆いのこと。チャンネルボックスを取り付けることにより、燃料集合体内の冷却材の流路を定めるとともに、制御棒作動の際のガイドや燃料集合体を保護する役割を持つ。
*2 チャンネルボックス上部クリップ
燃料集合体にチャンネルボックスを固定するとともに、燃料集合体にチャンネルボックスを脱着する際に治具を取り付けるための役割を持つ。
*3 指示文書
燃料集合体チャンネルボックス上部(クリップ)の一部欠損について(指示)
(20120810原院第2号)
原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、本日、東北電力株式会社から、女川原子力発電所第3号機における燃料集合体のチャンネルボックス上部(クリップ)の欠損の調査、原因推定等に係る中間報告を受けました。また、東京電力株式会社より、過去のチャンネルボックス上部(クリップ)の欠損に係る対応等について、本日報告を受けました。
当院は、当該報告を受け、異なる原子力事業者のプラントからチャンネルボックス上部(クリップ)の欠損という類似の事象を確認したことから、沸騰水型原子炉を所有する原子力事業者に対し、下記について実施し、その結果を平成24年9月10日までに報告することを求めます。
記
1.炉内及び使用済燃料プールにある燃料集合体について、チャンネルボックス上部(クリップ)の欠損の確認
2.1.において確認された場合、チャンネルボックス上部(クリップ)の欠損を含む燃料集合体の損傷、変形等の確認
3.1.又は2.において確認された場合、燃料集合体の健全性の評価及び原子炉施設への影響の評価
4.1.又は2.において確認された事象に係る原因の究明及び再発防止策の策定
5.1.又は2.において確認された場合、チャンネルボックス上部(クリップ)の損傷に伴い生じると考えられる金属片による原子炉施設への影響の評価及び対策
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