プレスリリース 2012年

避難指示区域の見直しに伴う賠償の実施について(避難指示区域内)

平成24年7月24日
東京電力株式会社

 当社福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の事故(以下、「当社事故」)により、発電所周辺地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて心よりお詫び申し上げます。

 当社は、平成24年3月16日に原子力損害賠償紛争審査会において決定された「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補」および同年7月20日に政府の方針として公表された「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方について」を踏まえ、このたび、避難指示区域*1における賠償を以下のとおり実施させていただくことといたしましたのでお知らせいたします。

【個人さまに対する賠償】
1.個人さまが所有する財物に係る賠償
(1)宅地・建物(外構を含む)に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に宅地・建物を所有されていた方に対し、当該財物価値の喪失または減少分を賠償させていただきます。
 なお、宅地以外の土地につきましては別途ご案内いたします。
※「宅地」とは、固定資産税の評価において、現況の地目が宅地と表記されている土地をいいます。

(a)帰還困難区域
 当社事故発生当時の財物価値を全額賠償させていただきます*2。算定方法は以下の方法からご選択いただけます。

(ア)原則として平成22年度の固定資産税評価額を用いて宅地・建物の価値を算定する場合に適用します。

<宅地の賠償額算定式>
・固定資産税評価額×宅地係数(1.43)

<建物の賠償額算定式>
・固定資産税評価額×建物係数(「別紙1」ご参照)

(イ)国土交通省が公表している建築着工統計調査報告に基づく平均新築単価を基礎としてお住まいになっていた建物の価値を算定する場合に適用します。

<建物の賠償額算定式>
・建築着工統計に基づく平均新築単価を基礎とした単価×床面積(m2)(「別紙2」ご参照)
※宅地については、(ア)の賠償額算定方式を適用いたします。

(ウ)様々なご事情により、上記(ア)、(イ)の賠償額算定方式によれない場合には、別途、個別評価を行い賠償させていただきます。なお、個別評価をした場合には、原則として、個別評価に基づき算定した賠償金をお支払いさせていただきます。
 個別評価の方法につきましては、契約書等から実際の取得価額を確認し、賠償額の算定に用いる方法なども検討しておりますが、詳細につきましては、別途ご案内させていただきます。

(b)居住制限区域、避難指示解除準備区域
 上記1.(1)(a)の考え方により当社事故発生当時の財物価値を算定した上で、避難指示の解除見込み時期に応じた避難指示期間割合*3を乗じて算定した金額を賠償させていただきます。
 なお、避難指示解除の時期が、当初設定した避難指示の解除見込み時期を超えた場合には、実際の解除時期に応じた金額を追加してお支払いさせていただきます。

(2)家財に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内の建物に家財を所有されていた方を対象に、今回の避難にともない発生したと想定される家財の損害を世帯人数・家族構成ごとに定額(「別紙3」ご参照)にて賠償させていただきます。なお、帰還困難区域については、避難指示期間中の立入などの条件が異なり、家財の使用が大きく制限されること等から、他の区域と比較して一定程度賠償額を高く設定させていただいております。
 また、実際の損害総額が定額を上回ると想定される場合につきましては、別途、個別評価による賠償方法をご選択いただけます。

2.個人さまが所有する建物の修復費用等に係る賠償金の先行支払い
 避難指示解除後、避難指示区域から避難等を余儀なくされた方のご帰還に先立ち、建物の修復等が必要となることに鑑み、建物に対する賠償金の一部を、修復費用等として先行してお支払いさせていただきます。

○お支払いの対象となる建物
 当社事故発生当時に避難指示区域内に存在し、不動産登記されていた建物を対象とさせていただきます。なお、不動産登記情報だけでは所有者さまを判断できない建物(差押、仮差押、所有権に関する仮登記、および処分禁止の仮処分が登記されている等の建物)につきましては、本先行支払いの対象外とさせていただきます。

○ご請求いただける方
 当社事故発生当時に上記建物を所有(または、当社事故発生後に上記建物を相続)し、現在もご本人の名義で当該建物を所有されていることが不動産登記情報にて確認できる個人さま(個人事業主さまを含みます)。

○お支払いする金額
 不動産登記情報の床面積(m2)に単価(1m2あたり14,000円)を乗じた金額をお支払いさせていただきます。お支払いする金額は、登記上の主たる建物ごとに1,000万円を上限とさせていただきます。
 なお、お支払いする金額は建物に対する賠償金の一部を先行してお支払いするものですので、今後お支払いする財物に係る賠償額から精算させていただきます。
 また、実際の修復費用等が先行してお支払いする金額を超える場合には、個別にご事情をお伺いさせていただきます。

<賠償額算定式>
・床面積(m2)×単価(14,000円/m2

3.本賠償における包括請求方式の導入
 被害を受けられた方々の生活の再建や生活基盤の確立に向けて、まとまった賠償金を早期にお受け取りいただけるよう、将来分を含めた一定期間に発生する全ての損害項目に対する賠償金を包括してお支払いする方式をご選択いただけるようにいたします(以下、「包括請求方式」)。包括請求方式の対象となる損害項目と賠償額の考え方は以下のとおりです。
 なお、包括請求方式をご希望されない方につきましては、従来方式のご請求方法もご用意させていただきます。

 なお、包括請求方式の対象期間内に実際にご負担された避難・帰宅等に係る費用の合計が賠償額を上回った場合には、当該金額をご請求いただき、当社にて内容を確認のうえ、差額をお支払いさせていただきます。具体的なお支払いの方法につきましては改めてお知らせいたします。

【個人事業主さまおよび法人さまに対する賠償】
4.個人事業主さま(農林漁業者さまも含みます)が所有する財物に係る賠償
(1)宅地・建物(外構を含む)に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に宅地・建物を所有されていた個人事業主さまに対し、上記1.(1)の考え方により算定した金額を賠償させていただきます。

(2)償却資産に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に償却資産(「別紙4」ご参照)を所有されていた個人事業主さまに対し、当該財物価値の喪失または減少分を賠償させていただきます。
 なお、本賠償における営業損害(賠償対象期間:平成23年3月11日~平成24年5月31日)においてお支払いした償却資産に係る減価償却費相当額につきましては、財物価値の喪失または減少に係る賠償額から控除させていただきますが、詳細につきましては、改めてご案内させていただきます。

(a)帰還困難区域
 対象資産の帳簿価額に償却資産係数を乗じて算定する当社事故発生当時の財物価値を全額賠償させていただきます。
 また、帳簿に記載のない償却資産につきましては、契約書等から実際の取得価額を確認し、賠償額の算定に用いる方法なども検討しておりますが、詳細につきましては、別途ご案内させていただきます。

<賠償額算定式>
・賠償対象の償却資産の帳簿価額×償却資産係数(「別紙5」ご参照)

(b)居住制限区域、避難指示解除準備区域
 上記4.(2)(a)の考え方により当社事故発生当時の財物価値を算定した上で、避難指示の解除見込み時期に応じた期間の経過とともに発生する価値の減少率(「別紙6」ご参照)を乗じて算定した金額を賠償させていただきます。
 なお、避難指示解除の時期が、当初設定した避難指示解除見込み時期を超えた場合には、実際の解除時期に応じた金額を追加してお支払いさせていただきます。
 また、避難等に伴う管理不能による修復費用がお支払いした賠償額を超える場合には、必要かつ合理的な範囲を賠償させていただきます。

(3)棚卸資産に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に棚卸資産(「別紙4」ご参照)を所有されていた個人事業主さまに対しまして、当社事故の影響により売却額が当社事故発生当時の帳簿価額を下回ることで発生した損失額、もしくは当社事故の影響により通常の販売または使用が困難になり廃棄したことで発生した損失額を賠償いたします。
 なお、帰還困難区域内から持ち出すことができない棚卸資産につきましては、当社事故発生当時の帳簿価額を全額賠償させていただきます。

5.中小法人さま*4が所有する財物に係る賠償
(1)宅地に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に宅地を所有されていた中小法人さまに対しまして、上記1.(1)の考え方により算定した金額を賠償させていただきます。

(2)建物・償却資産に係る賠償(「別紙4」ご参照)
 当社事故発生当時に避難指示区域内に建物・償却資産を所有されていた中小法人さまに対しまして、上記4.(2)の考え方により算定した金額を賠償させていただきます。

(3)棚卸資産に係る賠償
 当社事故発生当時に避難指示区域内に棚卸資産を所有されていた中小法人さまに対しまして、上記4.(3)の考え方により算定した金額を賠償させていただきます。

6.個人事業主さまおよび中小法人さま以外の法人さま(大企業さま)が所有する財物に係る賠償
 個人事業主さまおよび中小法人さま以外の法人さまが当社事故発生当時に避難指示区域内に所有されていた財物価値の喪失または減少に係る賠償につきましては、改めてお知らせいたします。

7.本賠償における包括請求方式の導入
 避難等対象区域内で事業を営まれていた個人事業主さまおよび中小法人さまの営業損害につきましても、事業者さまごとの賠償対象期間における賠償金を一括してご請求いただける包括請求方式をご選択いただけるようにいたします。また、賠償対象期間中の逸失利益の算定にあたりましては、「特別の努力」(平成24年6月29日お知らせ済み)のお取扱いを適用させていただきます。
 個人事業主さまおよび中小法人さまが元の地域で事業を再開される場合、その際に必要な追加的費用に加え、当該期間以降も風評被害等による損害が発生した場合は、適切に賠償させていただきます。

 なお、包括請求方式をご希望されない方につきましては、従来方式のご請求方法もご用意させていただきます。
 また、個人事業主さまおよび中小法人さま以外の法人さまにつきましては、包括請求方式の対象とせず、従来方式によるご請求を受付させていただきます。

【共通事項等】
8.地震・津波による被害に関するお取扱い
 建物が地震・津波により被害を受けている場合につきましては、被害の程度に応じた一定割合を地震・津波による損害相当額を賠償額から控除させていただきます。詳細につきましては、改めてお知らせいたします。

9.土地・建物に関する権利等のお取扱い
 土地・建物を共有されている場合については、所有されている方ごとにご請求をいただき、その持分割合に応じて賠償金をお支払いさせていただきます。
 借地権が設定されている宅地については、国税庁から公表されている借地権割合等を参考に設定した権利割合を乗じて賠償金額を算定させていただきます。

10.請求書類の発送および受付
・上記2.の修復費用等に係る賠償金の先行支払いにつきましては、請求書類を平成24年7月31日より発送させていただき、同日より受付を開始いたします。発送させていただく請求書類には、当社が事前に取得した不動産登記情報から算出した賠償金のお支払い予定額を印字させていただきます。なお、修復費用等のご請求の受付は、宅地・建物に係る賠償の受付を開始させていただくまでのお取扱いとさせていただきます(具体的なお取扱いは、別途お知らせいたします)。
・その他の賠償に係る請求書類の発送および受付につきましては、準備が整い次第改めてお知らせいたします。なお、宅地・建物の価値算出に必要な不動産登記情報および固定資産税評価額の効率的な把握方法につきましては、関係箇所と調整させていただいておりますので、現時点でご請求者さまにて取得いただく必要はございません。
・また、上記3.および上記7.のうち、農林業者さま以外を対象とする包括請求方式につきましては、平成24年9月を目途に請求受付を開始できるよう準備を進めてまいります。

*1 避難指示区域:「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補」において「避難指示区域」として扱うこととされた区域。
*2 宅地・建物につきましては、事故発生当時の価値を全額賠償した後も、原則として、引き続きご請求者さまにご所有いただきますが、避難指示解除までの間は、公共の用に供する場合等を除き第三者への譲渡を制限すること等についてご承諾をお願いいたします。
*3 避難指示期間割合:避難指示解除までの期間に応じた価値の減少分を算出するため、当社事故発生時から避難指示の解除見込み時期までの月数を分子(1月未満の日数については、1月とさせていただきます)、72ヶ月を分母として算定した数値。ただし、算定した結果が1を超える場合、避難指示期間割合は1とさせていただきます。なお、避難指示解除の見込み時期について、事前に決定がない場合、居住制限区域は36/72、避難指示解除準備区域は24/72を標準とさせていただきますが、詳細については、改めてお知らせいたします。
*4 中小法人さま:資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人さまが対象となります。ただし、資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人または相互会社等による完全支配関係がある普通法人さまを除きます。なお、7.「本賠償における包括請求方式の導入」の項目につきましては、基準年度の事業活動による収入が3億円超の公益法人等の方は対象外とさせていただきます。

以 上

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<原子力事故による損害に対する賠償に関するお問い合わせ先>
 福島原子力補償相談室(コールセンター)
 電話番号:0120-926-404
 受付時間:午前9時~午後9時
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別紙1
建物係数(PDF 24.1KB)
別紙2
建築着工統計に基づく平均新築単価を基礎とした算定式の考え方(PDF 18.2KB)
別紙3
家財の賠償金額(PDF 16.7KB)
別紙4
お支払いの対象となる償却資産・棚卸資産の例(PDF 11.5KB)
別紙5
償却資産に係わる賠償額算定式の考え方(PDF 19.2KB)
別紙6
償却資産価値の減少率(PDF 12.2KB)

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