福島第一原子力発電所における窒素供給装置(予備機)用のディーゼル発電機からの燃料油(軽油)の漏えいについて
平成24年7月20日
東京電力株式会社
当社福島第一原子力発電所において、平成24年7月20日午後6時20分頃、予備の窒素供給装置(高台窒素ガス分離装置)用のディーゼル発電機周辺から燃料油(軽油)が漏えいしていることをパトロール中の当社社員が発見しました。それを受け、午後6時35分、消防へ連絡しました。
その後の調査において、軽油の漏えいは、当該のディーゼル発電機のエンジン上部のゴムホースと燃料油フィルタのゴムホースからのものであり、午後7時36分、応急措置により漏えいは停止したことを確認しました。軽油の漏えい量は約20リットルで、現時点では漏えい拡大の恐れはありません。現在、その他の箇所についても、漏えいの有無を確認しております。
本事象を受け、予備の窒素供給装置については、動作不能であると判断しました。
また、原子炉施設保安規定*1においては、予備の窒素供給装置(ディーゼル発電機を含む)が動作可能であることを定めており、午後7時14分、原子炉施設保安規定で定める「運転上の制限」*2を満足していないと判断しました。
本事象による運転上の制限を満足しない場合に「要求される措置」*3としては、速やかに予備の窒素供給装置(ディーゼル発電機を含む)を動作可能な状態に復旧する措置を開始することが要求されております。
福島第一原子力発電所1~3号機における窒素封入については、現状、常用系の窒素供給装置2台の並列運転で継続しており、かつ、1台でも十分な窒素供給量を確保できることから、直ちに問題となるものではありません。
現時点で、原子炉関連パラメータ、水素濃度ならびにモニタリングポストの値に有意な変動はありません。
今後、原因究明を行うとともに、原子炉施設保安規定に基づき、予備の窒素供給装置を動作可能な状態に復旧する措置を行ってまいります。
以 上
*1 原子炉施設保安規定
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第37条第1項の規定に基づき、原子炉設置者による原子力発電所の安全運転及び安定状態の維持にあたって遵守すべき基本的事項(運転管理・燃料管理・放射線管理・緊急時の処置・「中期的安全確保の考え方」に基づく設備の管理など)を定めたもので、国の認可をうけている。
*2 運転上の制限
原子炉施設保安規定では、原子炉の運転に関する多重の安全機能の確保及び原子力発電所の安定状態の維持のために必要な動作可能機器等の台数や遵守すべき温度・圧力などの制限が定められており、これを運転上の制限という。保安規定に定められている機器等に不具合が生じ、一時的に運転上の制限を満足しない状態が発生した場合は、要求される措置に基づき対応することになっている。
*3 要求される措置
原子炉施設保安規定第144条では、窒素ガス分離装置1台が運転中であること及び高台窒素ガス分離装置(ディーゼル発電機含む)が動作可能であることが要求されており、高台窒素ガス分離装置が動作不能である場合、速やかに高台窒素ガス分離装置を動作可能な状態に復旧する措置を開始することが定められている。