プレスリリース 2012年

使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒におけるひびの調査結果に関する経済産業省原子力安全・保安院への報告について

平成24年4月9日
東京電力株式会社

 当社は、平成22年10月27日に制御棒の研究材料サンプル採取の準備*1の一環として、柏崎刈羽原子力発電所7号機の使用済燃料プールに保管している使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒*22本の外観点検を行ったところ、1本の制御棒のタイロッド*3の中央部1箇所に、ほぼ全周にわたって微細なひび(最大幅約0.3mm)を確認いたしました。
 この事象を受け、平成22年11月1日に、経済産業省原子力安全・保安院から、ひびの状況および発生原因の調査を行うとともに、今回ひびが確認された制御棒の健全性と同じ仕様の制御棒のひびの有無および健全性を確認するよう求める旨の指示文書*4を受領いたしました。
 その後、外観点検を進めた結果、同7号機の全71本中28本の制御棒のタイロッド部にひびを確認(平成22年10月27日に確認した1本を含む)しましたが、いずれも今回の件を受けて実施した健全性評価の範囲内のひびであり、制御棒の構造健全性および制御棒挿入機能は確保され、安全上の問題はありません。
 また、福島第一原子力発電所1号機、4号機、福島第二原子力発電所2号機、柏崎刈羽原子力発電所4号機、5号機の同型の使用済制御棒全29本についても点検を実施し、タイロッド部にひびは確認されませんでした。

平成24年2月1日までにお知らせ済み)

 その後、ハフニウムフラットチューブ型制御棒のタイロッド部に発生したひびについて、その原因と対策をとりまとめ、本日、原子力安全・保安院へ報告いたしましたのでお知らせいたします。

 調査の結果、ひびはタイロッド部に発生する場合と、シース*5とタイロッドの溶接部に発生する場合があり、それぞれ以下の原因で発生したものと推定いたしました。

・タイロッド部のひび
(1)ひびが発生したタイロッドは、製造時に機械加工を行っており、加工に伴い表面に硬化層が形成されたこと。
(2)原子炉内での使用に伴い硬化層に応力腐食割れによる微小なひびが発生したこと。
(3)中性子照射と溶接残留応力の作用により照射誘起型応力腐食割れ*6でひびが進展したこと。

・シースとタイロッドの溶接部のひび
(1)シースとタイロッドの溶接部に、溶接時の溶け込み不足によって隙間が形成されたこと。
(2)原子炉内での使用に伴い隙間部に腐食による微小なひびが発生したこと。
(3)中性子照射と溶接残留応力の作用により照射誘起型応力腐食割れで、ひびが進展したこと。

 これらの対策として、今後、同型制御棒の製造にあたっては、シースとタイロッドの溶接部に隙間を発生させないような施工方法や、タイロッド加工方法の改善等の検討を行ってまいります。

 なお、平成22年12月8日に原子力安全・保安院へ報告した健全性評価に係る報告書および平成23年1月7日に同院へ報告した外観点検結果に係る報告書において、評価結果に影響を及ぼさない誤記が確認されたことから、本日、誤記を訂正した報告書を再提出いたしました。

以 上

<添付資料>
別紙1:使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒におけるひびの調査結果について(概要)(PDF 56.8KB)
別紙2:ひびの発生メカニズム(PDF 95.8KB)
報告書:柏崎刈羽原子力発電所7号機ハフニウムフラットチューブ型制御棒におけるひびについて(PDF 82.7MB)

*1 制御棒の研究材料サンプル採取の準備
 今回、タイロッドに微細なひびを確認した制御棒は、第4回定期検査(平成14年4月~平成14年8月)において原子炉内から取り出した後、使用済燃料プールで保管していたが、平成18年1月に、当社福島第一原子力発電所6号機で確認された類似事象の調査のため、平成18年4月に外観点検を行い、シース部分に健全性には影響のないひびがあることを確認している。
 このため、ハフニウム照射特性の知見を拡充する観点から、電力共通研究「ハフニウム制御棒の健全性評価研究」の一環として、当該制御棒のシース部分のひびの発生原因等の調査を実施することとしており、調査のためのサンプル採取に先立ち、試験片の採取位置の状態を確認するために詳細な外観点検を実施していた。

*2 ハフニウムフラットチューブ型制御棒
 高い中性子吸収能力を有するハフニウムを、平たい筒状に成形して中性子吸収材として使用した制御棒。

*3 タイロッド
 制御棒の構造部材の一つで、ハフニウムを包んでいる金属板(シース)やハンドルを接続しているもの。

*4 指示文書
「制御棒のひびに関する対応について(指示)」
(22原企課第110号)
 原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、貴社から、柏崎刈羽原子力発電所第7号機において使用されていた使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒においてひびが認められたとの報告を受けました。
 現在運転中である柏崎刈羽原子力発電所第7号機において同型の制御棒が25本使用されていることから、当院は貴社に対し下記の対応を求めることとします。

1.現在運転中である柏崎刈羽原子力発電所第7号機の原子炉において使用されているハフニウムフラットチューブ型制御棒については、構造強度に係る健全性評価及び制御棒の挿入性等の技術基準適合性を含む安全性の評価を確定し、速やかに報告すること。
 また、至近の定期事業者検査までの間、運転中における当該制御棒の動作確認を行い、その結果を報告すること。
 さらに、至近の定期事業者検査において当該制御棒のひびの有無について確認を行い、ひびが確認された場合は、以下に示す対応を行い、その結果を速やかに報告すること。
(1)ひびの状況及び発生原因を調査すること
(2)製造及び中性子照射量等を含む運転の履歴を調査すること
(3)構造強度に係る健全性評価及び制御棒の挿入性等の技術基準適合性を含む安全性の評価を行うこと

2.今般ひびが確認された使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒については、1.(1)、(2)、(3)に示す対応を行い、その結果を速やかに報告すること。

3.現在停止中の原子炉に装荷又は使用済みとして保管しているハフニウムフラットチューブ型制御棒がある場合には、ひびの有無について確認し、ひびが確認された場合は、1.(1)、(2)、(3)に示す対応を行い、その結果を速やかに報告すること。

*5 シース
 制御棒の構造部材の一つで、ハフニウムを包んでいる金属板。

*6 照射誘起型応力腐食割れ
 中性子照射の影響により金属の組織が変化することに起因する応力腐食割れ(IASCC:Irradiation-Assisted Stress Corrosion Cracking)。残留応力が残った状態で、ある程度以上の中性子照射を受けた際に発生しやすくなる。


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