福島第二原子力発電所の原子炉施設保安規定の変更認可について
平成23年11月28日
東京電力株式会社
東北地方太平洋沖地震に伴う津波による当社福島第一原子力発電所の事故を受け
た「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」の改正(平成23年3月30日付)
*1、ならびに非常用発電設備の保安規定上の取扱いに係る経済産業省原子力安全・
保安院指示(平成23年4月9日付)*2を受け、当社は、4月28日に経済産業省へ、
福島第二原子力発電所の原子炉施設保安規定*3変更認可の申請を行いました。
原子炉施設保安規定変更認可の申請概要は、以下のとおりです。
○電源機能等喪失時*4における原子炉施設の保全のための活動(以下、「活動」
という)を行う体制の整備に係る省令要求に基づき、主に以下の内容を明記。
・活動を行うために必要な計画の策定。
・活動を行うために必要な要員の配置。
・活動を行う要員に対する訓練の実施。
・活動を行うために必要な、電源車、消防自動車、消火ホースおよびその他資
機材の配備。
・上記の措置について定期的に評価を行うとともに、評価の結果に基づき必要
な措置を講じること。
○省令における「運転上の制限*5」の解釈が、「原子炉が冷温停止および燃料交
換時において、非常用発電設備が2台動作可能であること」と見直されたことに
伴い、保安規定における停止中の非常用ディーゼル発電機に係る条文の「運転上
の制限」について、記載内容を変更。
(平成23年4月28日お知らせ済み)
その後、国において審査が行われ、本日、経済産業大臣より福島第二原子力発電
所の原子炉施設保安規定変更認可の申請について認可を受けましたので、お知らせ
いたします。
福島第二原子力発電所では、平成23年3月15日までに全号機において冷温停止と
なり、現在は、非常用ディーゼル発電機からの電源供給機能や残留熱除去機能など
冷温停止中に要求される機能が復旧しており、安定的な冷温停止が維持されている
状態になっております。引き続き、冷温停止状態のさらなる信頼性向上に向けた取
り組みをすすめてまいります。
以 上
添付資料:福島第二原子力発電所原子炉施設保安規定 変更比較表(PDF 18.2KB)
*1 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則改正(平成23年3月30日付)
平成23年東北地方太平洋沖地震で発生した津波に対する福島第一原子力発電所
の影響を受けて、津波に対する原子炉施設の保全のための活動を行う体制を整備
するために実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省
令第77号)及び研究開発段階にある発電の用に供する原子炉の設置、運転等に関
する規則(平成12年総理府令第122号)を改正するもの。
具体的には、保安措置として、原子炉設置者が、原子炉施設を設置した工場又
は事業所において、津波によって交流電源を供給する全ての設備、海水を使用し
て原子炉施設を冷却する全ての設備及び使用済燃料貯蔵槽を冷却する全ての設備
の機能が喪失した場合(以下「電源機能等喪失時」という。)における原子炉施
設の保全のための活動を行う体制を整備し、以下の措置を講じるとともに、原子
炉設置者が定める保安規定にも記載を追加し、平成23年4月28日までに変更認可
の申請を行うことが求められている。
(1)電源機能喪失時における原子炉施設の保全のための活動を行うために必要
な計画を策定すること。
(2)電源機能喪失時における原子炉施設の保全のための活動を行うために必要
な要員を配置すること。
(3)電源機能喪失時における原子炉施設の保全のための活動を行う要員に対す
る訓練に関する措置を講じること。
(4)電源機能喪失時における原子炉施設の保全のための活動を行うために必要
な資機材を備え付けること。
(5)上記の措置について定期的に評価を行うとともに、評価の結果に基づき必
要な措置を講じること。
*2 原子力安全・保安院指示(平成23年4月9日付)
「非常用発電設備の保安規定上の取扱いについて(指示)」(平成23年4月9
日)
平成23年4月7日宮城県沖地震が発生し、東北電力株式会社東通原子力発電所
において外部電源が喪失し、非常用発電設備が起動し、電源の確保を行ったが、
その後、外部電源が復旧したものの、非常用発電設備がトラブルにより停止し保
安規定上の運転上の制限を逸脱したとの報告を受けた。
現行の実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令
第77号)第16条7号等の保安規定の原子炉施設の運転に関することのうち、運転
上の制限の解釈は、定期検査中等の冷温停止状態及び燃料交換(使用済燃料貯蔵
槽に使用済燃料を貯蔵する場合を含む。以下同じ。)においては、原子炉ごとに
非常用発電設備1台が動作可能であることを必要としている。しかし、先般の平
成23年東北地方太平洋沖地震により発生した津波による福島第一原子力発電所の
事故を踏まえると、電源の確保が極めて重要であることから、当該解釈を見直す
こととし、原子炉ごとに、冷温停止状態及び燃料交換においては、必要な非常用
交流高圧電源母線に接続する非常用発電設備が2台動作可能(同一発電所に複数
炉ある場合には、必要な非常用交流高圧電源母線に他号機に設置された非常用発
電設備から受給可能な場合の台数を含む。)であることを必要とすることとする。
ついては、先月30日に指示した電源車、消防自動車、消火ホース等の配備を含
む緊急安全対策に直ちに着手することを求めるとともに、上記解釈を満たし、併
せて緊急安全対策の一環である平成23年経済産業省令第11号の改正後の実用発電
用原子炉の設置、運転等に関する規則等による保安規定の変更を本年4月28日ま
でに速やかに行うことを求める。
*3 原子炉施設保安規定
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第37条第1項の規定に
基づき、原子炉設置者が原子力発電所の安全運転を行ううえで遵守すべき基本的
事項(運転管理・燃料管理・放射線管理・緊急時の処置など)を定めたもので、
国の認可をうけている。
*4 電源機能等喪失時
津波によって交流電源を供給する全ての設備、海水を使用して原子炉施設を冷
却する全ての設備および使用済燃料プールを冷却する全ての設備の機能が喪失し
た場合。
*5 運転上の制限
原子炉施設保安規定では、原子炉の運転に関し、「運転上の制限」や「運転上
の制限を満足しない場合に要求される措置」等が定められており、運転上の制限
を満足しない場合には、要求される措置に基づき対応することになっている。
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