当面の事業運営・合理化方針
平成23年5月20日
東京電力株式会社
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、被害を受けられた皆さまに、
心よりお見舞いを申し上げます。
また、地震・津波により当社の電力設備も甚大な被害を受ける中、福島第一原
子力発電所の事故や、大幅な供給力不足からやむを得ず実施させていただいた計
画停電等により、原子力発電所周辺地域の皆さまやお客さま、広く社会の皆さま
に大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上
げます。
こうした未曾有の事態に対し、東京電力グループは、以下の方針のもと、福島
第一原子力発電所事故の収束、原子力事故によりご迷惑をおかけしている皆さま
へのお詫びやご説明、原子力損害の補償、今夏における安定供給の確保等に、全
力で取り組んでまいります。
また、これらを確実に実行するため、抜本的な経営の効率化・合理化に、真摯
に取り組んでまいります。
I.当面の事業運営方針
1.福島第一原子力発電所事故の収束
一日も早く、事故により長期間にわたる避難生活を余儀なくされている皆
さまのご帰宅を実現し、国民の皆さまに安心して生活していただけるよう、
「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」に基づき、事故の収束
に向けて、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
その実行体制を強化するため、6月に、「福島第一安定化センター」を設
置いたします。
(1)目標と当面の取り組み
「ステップ1」(7月中旬目途)として「放射線量が着実に減少傾向とな
っている」こと、「ステップ2」(ステップ1終了後の3〜6ヶ月程度)と
して「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」こ
とを目標として設定しております。
さらに、上記の各ステップにおける取り組みを、原子炉および使用済燃料
プールの「冷却」、放射性物質の放出の「抑制」、「モニタリング・除染」
に加え、「余震対策等」「環境改善」の5分野に分類したうえで、それぞれ
に目標を設定し、諸対策を同時並行的に進めてまいります。
なお、これらを進めるにあたっては、福島第一原子力発電所における作業
員の安全・生活環境等に配慮してまいります。
(2)原子力発電所の安全確保・リスク管理の検証
今回の事故を踏まえ、緊急時の電源確保や防潮堤の設置等、原子力発電所
の安全確保対策を早急に実施するとともに、リスク管理について検証を行い、
立地地域をはじめ社会の皆さまの不安の解消に取り組んでまいります。
2.原子力事故によりご迷惑をおかけしている皆さまへの対応
このたびの事故によりご迷惑をおかけしている皆さまへのお詫びや、事故
の収束に向けた取り組みのご説明等を丁寧に実施させていただくとともに、
避難場所における支援活動等に誠心誠意取り組んでまいります。
また、事故により被害を受けられた皆さまへの補償につきましては、原子
力損害賠償制度のもとで、国の支援をいただきながら、公正かつ迅速に対応
させていただきます。
4月28日に開設した「福島原子力補償相談室」や「補償相談センター(コ
ールセンター)」、「地域の相談センター」(1都8県12拠点)を窓口とし
て、仮払補償金のお支払いや、原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針を
踏まえた対応を行ってまいります。
3.安定供給の確保
供給力の確保に全力で取り組むことにより、今夏は7月末で5,520万kW、
8月末で5,620万kWの供給力を確保できる見通しです。※
しかしながら、猛暑による需要の急増、経年火力の連続稼働に伴う計画外
停止等に備え、今後も需給両面で安定供給の確保に向けた様々な対策を行っ
てまいります。
※今夏の想定最大電力(発電端1日最大):5,500万kW
(1)供給面の対策
火力発電所等の震災による停止からの復旧や定期点検からの復帰、長期計
画停止火力の運転再開、新たなガスタービンの設置に加え、自家発電設備の
余剰電力購入、他の電力会社からの電力購入の拡大等、供給力対策を着実に
実施してまいります。
あわせて、設備トラブルによる供給支障事故を回避するため、電源・流通
設備の確実な運転・保守や、的確な需給・系統運用等について、従来以上に
細心の注意を払い実施してまいります。また、火力発電所の高稼働・増強等
に伴い必要となる燃料を確実に調達してまいります。
今冬や来夏に向けた供給力確保策についても検討・実施してまいります。
(2)需要面の対策
政府の電力需給緊急対策本部より5月13日に示された「夏期の電力需給対
策について」を踏まえ、今夏に向け、引き続きお客さまに節電へのご協力を
お願いしてまいります。
具体的には、法人のお客さまには、負荷抑制方策のご提案や需給調整契約
ご加入のお願い等を実施いたします。また、家庭・個人のお客さまには、チ
ラシ・インターネット等を通じて節電手法をご紹介するなどの対策を積極的
に進めてまいります。
II.経営合理化方針
これらの施策を着実に実行するため、当社グループの事業について電気事業に
必要不可欠な資産構成・組織体制に絞ることを基本に、抜本的な経営の効率化・
合理化に取り組んでまいります。
1.資産の売却
当社グループ(当社・子会社)が保有する不動産について、電気事業の遂行に
必要不可欠なものを除き売却いたします。
厚生施設(体育・宿泊施設等)を全廃するとともに、安定供給の確保を前提と
しつつ、事務所建物・PR施設などの売却等についても検討してまいります。
また、有価証券や国内外の各事業について、電気事業の遂行に必要不可欠なも
のを除き、原則売却・撤退いたします。
可能なものから速やかに売却を進め、6,000億円以上の資金確保を目指します。
2.投資・費用の削減
投資について、電気事業の遂行に必要不可欠なものを除き実施しないこととい
たします。また、安定供給・公衆安全・法令遵守を確保しうる範囲における修繕
費の最大限の削減、システム・研究開発の大幅縮小等による諸経費の削減、人件
費の削減等、あらゆる費用を徹底的に抑制し、平成23年度において、5,000億円
以上の費用を削減いたします。
このうち人件費に関しては、役員報酬の返上・減額(当分の間、代表取締役は
全額を返上、常務取締役は総報酬の60%、執行役員は同40%を減額)、社員の賃
金・賞与の減額(平成23年度に、管理職は年俸の25%、一般職は年収の20%)を
実施するとともに(これらによる削減効果は年間約540億円)、更なる方策につ
いても検討いたします。
3.組織・グループ体制・人員のスリム化
あらゆる業務の抜本的な簡素化・効率化を進めるとともに、当社グループ全体
で本社等の管理間接機能を徹底的にスリム化することなどにより、組織を見直し
てまいります。
具体的には、6月1日付けで「販売営業本部」を「お客さま本部」に改組、生
活エネルギーセンター、新事業開発部を廃止するなど、営業、グループ事業等に
関する社内組織を見直すほか、今後も業務の見直しを踏まえた組織改編を検討・
実施してまいります。
また、グループの体制についても見直し、電気事業に必要不可欠なもの以外の
事業については、大幅に縮小・再編いたします。
これらの取り組みを通じ、原子力事故の収束や、事故によりご迷惑をおかけし
ている皆さまへの対応等に必要となる人員(約5,000人)を、グループ全体で確
保するとともに、こうした業務の状況を見極めた上で、人員削減の実施も検討い
たします。
組織・グループ体制・人員のスリム化については、年内に詳細を取りまとめ、
お示しする予定です。
本方針の策定・公表に伴い、中期経営方針「東京電力グループ中長期成長宣言
2020ビジョン」は取り下げることといたします。
以 上
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添付資料
・参考資料:
経営合理化方針(PDF 11.4KB)
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