当社原子力発電所における使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒の外観点検調査状況に関する報告について
平成23年1月7日
東京電力株式会社
当社は、柏崎刈羽原子力発電所7号機において、使用済燃料プールに保管してい
る使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒*11本のタイロッド*2に微細な
ひびが確認されたことを受け、11月1日に、経済産業省原子力安全・保安院から、
ひびの状況および発生原因の調査を行うとともに、ひびが確認された制御棒の健全
性と同一仕様の制御棒のひびの有無および健全性を確認するよう求める旨の指示文
書*3を受領いたしました。
その後、外観点検を進めていたところ、柏崎刈羽原子力発電所7号機の同型使用
済制御棒4本でひびを確認しましたが、ひびの数や長さ等を厳しく(タイロッドの
溶接部全てに破断を想定し、かつシース*4にもひびが進展している状態を想定)
評価しても、制御棒の構造健全性および制御棒挿入機能は確保され、安全上の問題
がないことを確認しており、制御棒の健全性には問題はないものと評価しておりま
す。
なお、柏崎刈羽原子力発電所7号機において現在使用している同型制御棒全25本
のうち、すでに全挿入されている2本を除く23本の制御棒については、月に1回の
頻度で動作確認を実施することとしておりますが、これまでの動作確認により制御
棒は正常に動作し異常がないことを確認しております。
(平成22年11月1日(1)、(2)、8日、10日、22日、12月8日お知らせ済み)
その後も外観点検を継続してまいりましたが、これまでに柏崎刈羽原子力発電所
7号機の同型の使用済制御棒全数の点検が終了し、既にお知らせ済みの制御棒を含
め、全46本中28本の制御棒*5のタイロッド部にひびを確認いたしました。これま
でに確認されたひびは、いずれも今回の件を受けて実施した評価(12月8日お知ら
せ済み)の範囲内のひびであり、制御棒の構造健全性および制御棒挿入機能は確保
され、安全上の問題はありません。
また、同型の制御棒の使用実績のあるプラントのうち、現時点で点検が可能であ
る福島第一原子力発電所1号機、4号機、福島第二原子力発電所2号機、柏崎刈羽
原子力発電所5号機の使用済燃料プールで保管している使用済制御棒25本全数の点
検*6を終え、タイロッド部にひびは確認されませんでした。
なお、福島第一原子力発電所4号機および柏崎刈羽原子力発電所7号機の同型の
使用済制御棒の一部で、ハンドルとシースの溶接部や、ハンドルのガイドローラ部
にひびが新たに確認されておりますが、これらのひびは従来から制御棒の使用に伴
って発生することが知られているものであり、制御棒の健全性に影響を与えるもの
ではありません。
当社は指示文書にもとづき、これまでの使用済制御棒の外観点検調査状況をとり
まとめ、本日、同院へ報告いたしましたのでお知らせいたします。
なお、最初にひびを発見した使用済制御棒1本について、外部の照射後試験施設
において詳細調査を行った結果、応力腐食割れに特徴的な粒界破面*7が確認され
ておりますが、さらに別の使用済制御棒についても外部の照射後試験施設において
詳細調査を行う予定としております。
当社は、今後も引き続き、ひびの発生原因の調査を行い、調査結果についてあら
ためて報告書としてとりまとめ、同院へ報告する予定です。
以 上
添付資料:使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒の外観点検結果
(PDF 8.45KB)
*1 ハフニウムフラットチューブ型制御棒
高い中性子吸収能力を有するハフニウムを、平たい筒状に成形して中性子
吸収材として使用した制御棒。
*2 タイロッド
制御棒の構造部材の一つで、ハフニウムを包んでいる金属板(シース)や
ハンドルを接続しているもの。
*3 指示文書
「制御棒のひびに関する対応について(指示)」
(22原企課第110号)
原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、貴社から、柏崎刈羽原子力
発電所第7号機において使用されていた使用済ハフニウムフラットチューブ型制
御棒においてひびが認められたとの報告を受けました。
現在運転中である柏崎刈羽原子力発電所第7号機において同型の制御棒が25本
使用されていることから、当院は貴社に対し下記の対応を求めることとします。
記
1.現在運転中である柏崎刈羽原子力発電所第7号機の原子炉において使用され
ているハフニウムフラットチューブ型制御棒については、構造強度に係る健
全性評価及び制御棒の挿入性等の技術基準適合性を含む安全性の評価を確定
し、速やかに報告すること。
また、至近の定期事業者検査までの間、運転中における当該制御棒の動作
確認を行い、その結果を報告すること。
さらに、至近の定期事業者検査において当該制御棒のひびの有無について
確認を行い、ひびが確認された場合は、以下に示す対応を行い、その結果を
速やかに報告すること。
(1)ひびの状況及び発生原因を調査すること
(2)製造及び中性子照射量等を含む運転の履歴を調査すること
(3)構造強度に係る健全性評価及び制御棒の挿入性等の技術基準適合性を
含む安全性の評価を行うこと
2.今般ひびが確認された使用済ハフニウムフラットチューブ型制御棒について
は、1.(1)、(2)、(3)に示す対応を行い、その結果を速やかに報
告すること。
3.現在停止中の原子炉に装荷又は使用済みとして保管しているハフニウムフラ
ットチューブ型制御棒がある場合には、ひびの有無について確認し、ひびが
確認された場合は、1.(1)、(2)、(3)に示す対応を行い、その結
果を速やかに報告すること。
*4 シース
制御棒の構造部材の一つで、ハフニウムを包んでいる金属板。
*5 全46本中、28本の制御棒
柏崎刈羽原子力発電所7号機において平成22年11月1日時点で、使用済の
ハフニウムフラットチューブ型制御棒2本のうち、1本にひびを確認してお
り、その後の点検で44本中27本にひびを確認したもの。
*6 使用済制御棒25本全数の点検
当社が柏崎刈羽原子力発電所7号機以外のプラントにて所有している同型
の使用済制御棒全29本の内、25本の点検を完了し今回報告している。停止中
の同所4号機の原子炉内に保管されている4本については、点検に使用する
燃料取替機が耐震強化工事により現在使用できないこと等から、準備が整い
次第点検を実施し、別途報告を行う予定。
*7 応力腐食割れに特徴的な粒界破面
応力腐食割れとは、「金属材料の性質」と「内部に残る応力」、「腐食し
やすい環境」の3つの複合要因により発生するひび割れで、割れた破面が粒
子状の模様になることが一般的に知られている。
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