定期検査中の福島第二原子力発電所1号機の発電開始について
平成22年9月27日
東京電力株式会社
当社福島第二原子力発電所1号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、
平成22年6月23日から第21回定期検査を実施してまいりましたが、9月24日午後11
時30分、発電を開始しましたのでお知らせいたします。
今後、出力を定格出力まで上昇させて調整運転を続けたのち、10月下旬に経済産
業省の総合負荷性能検査を受け、定期検査を終了する予定です。
今回実施した主な工事は以下のとおりです。
1.燃料集合体の取替え
燃料集合体764体中184体を取り替えました。
2.ガドリニア濃度変更9×9燃料(A型)(B型)*1の採用
従来の9×9燃料(A型)および9×9燃料(B型)に加え、プラント運転
初期から中期までの燃料の反応を抑える物質であるガドリニアの濃度が高い9
×9燃料(A型)を56体、(B型)を44体、採用しました。
3.原子炉隔離時冷却系配管取替工事
原子炉内で、水の放射線分解によって生成される混合ガス(水素・酸素)が
蓄積・滞留する可能性のある原子炉隔離時冷却系の配管について、混合ガスを
連続して排出させるベント配管を新たに設置しました。
4.炉心シュラウド溶接部予防保全工事
炉内構造物における応力腐食割れを抑制するため、予防保全対策として、炉
心シュラウド中間部リングと中間胴上部の内側の溶接部、中間胴上部と下部の
内側の溶接部に対して、高圧水を水中でノズルから噴射(ウォーター・ジェッ
ト・ピーニング*2)して圧力を加え、残留応力の改善を図りました。
5.酸化チタン*3の注入
炉内構造物における応力腐食割れを抑制するため、予防保全対策として、原
子炉内に酸化チタンを注入し、炉内構造物の表面に付着させました。
今後、炉内構造物の腐食抑制効果を検証します。
以 上
*1 ガドリニア濃度変更9×9燃料(A型)(B型)
ガドリニウム(Gd)の酸化化合物であるガドリニア(Gd2O3)の濃度が、現
在使用しているウラン燃料(ガドリニア濃度:約3.0〜約5.0wt%)より高い燃
料(ガドリニア濃度:約5.0〜約7.0wt%)。
ガドリニアは中性子吸収能力が高く、従来よりガドリニアを含んだウラン燃
料を使用しているが、ガドリニアの濃度を高くしたウラン燃料を使用すること
によって、プラントの運転において原子炉内の燃焼の反応度をより制御・抑制
しやすくする効果がある。
*2 ウォーター・ジェット・ピーニング
溶接部表面に高圧水をあてることによって、表面の残留応力改善を図る方法。
高圧水を水中でノズルから噴射することにより気泡が発生し、この気泡が崩
壊したときに生じる衝撃圧力を利用して、材料表面の残留応力を引張応力から
圧縮応力に改善し、ひびを起こしにくくするもの。
*3 酸化チタン
チタンと酸素の化合物(TiO2)。白色顔料として歯磨き粉や紫外線吸収材
として日焼け止めに用いられている。また、光(紫外線)に照射されることに
より触媒作用を示すことから汚れ除去や抗菌等に用いられる。
原子炉内に注入された酸化チタンは炉内構造物に付着し、光触媒効果により
金属酸化反応を抑制する効果が期待できる。
応力腐食割れ対策としては、これまでも水素注入や貴金属(白金、ロジウム)
注入などの予防保全対策を実施してきたが、近年実施した試験等の状況から、
酸化チタン注入による応力腐食割れ対策の有効性が確認されたため、このたび、
当所1号機の原子炉内に酸化チタンを注入して効果を評価することとしている。
<参考>当社原子力発電所の現況
福島第一・1号機( 46万キロワット) 調整運転中
2号機( 78万4千キロワット) 定期検査中
3号機( 78万4千キロワット) 調整運転中
4号機( 78万4千キロワット) 運転中
5号機( 78万4千キロワット) 運転中
6号機(110万キロワット) 定期検査中
福島第二・1号機(110万キロワット) 9月24日から発電開始
2号機(110万キロワット) 運転中
3号機(110万キロワット) 運転中
4号機(110万キロワット) 運転中
柏崎刈羽・1号機(110万キロワット) 運転中
2号機(110万キロワット) 定期検査中
3号機(110万キロワット) 定期検査中
4号機(110万キロワット) 定期検査中
5号機(110万キロワット) 定期検査中
6号機(135万6千キロワット) 運転中
7号機(135万6千キロワット) 運転中
これにより、停止中のプラントは、6基、合計628万4千キロワット、運転中の
プラントは、11基、合計1,102万4千キロワットとなります。
一覧へ