プレスリリース 2009年

柏崎刈羽原子力発電所大湊側予備品倉庫における火災に係る原因および再発防止対策等に関する報告書の経済産業省原子力安全・保安院ならびに柏崎市消防本部への提出について

                             平成21年4月17日
                             東京電力株式会社

 当社柏崎刈羽原子力発電所における度重なる火災の発生について、地域の皆さま
および社会の皆さまに大変ご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げ
ます。

 当社は、平成21年4月11日に柏崎刈羽原子力発電所大湊側予備品倉庫において発
生した火災を受けて、4月12日に柏崎市消防本部より原因究明および類似機器の総
点検を実施する旨の指示文書*1を受領いたしました。また、4月13日には、経済
産業省原子力安全・保安院より速やかな原因究明と再発防止に努める旨の指示文書*2 
を受領するとともに、新潟県より火災防止に関する要請*3を受領いたしました。
                  (平成21年4月13日15日お知らせ済み)

 当社は、このたびの火災に関する原因と再発防止対策および火災発生防止の総点
検結果をとりまとめ、本日、同院ならびに柏崎市消防本部へ報告いたしました。

1.事象の概要
  平成21年4月11日午後10時24分頃、大湊側予備品倉庫の火災報知器が発報した
 ことから、当直長より消防署へ通報を行いました。
  自衛消防隊(当社当直員)が当該倉庫の状況を確認したところ、火炎は確認さ
 れないものの煙が当該倉庫内に充満していたため、当該倉庫内を換気いたしまし
 た。その後、消防署とともに現場を確認したところ、当該倉庫内に2台ある計装
 関係保管室用空調機のうち1台(空調機(A))のモーター付近および配線等の
 一部に焦げ跡を確認いたしました。
  また、現場確認時にはすでに、当該空調機は漏電遮断器により電源が自動的に
 遮断され、停止していました。翌4月12日午前0時15分に消防署により鎮火が確
 認されました。
  なお、当該倉庫は原子炉施設ではない一般建築物であり、このたびの火災によ
 る外部への放射能の影響はありませんでした。また、本事象による負傷者の発生
 はありませんでした。

2.調査状況
  調査の結果、火災が発生したメカニズムは以下のとおりと推定いたしました。
 (1)空調機(A)の加熱装置は、計装関係保管室の室温・湿度を制御するために加
  熱と停止を繰り返していた。
 (2)空調機(A)のファンベルトの劣化が進み、徐々にファンベルトが切れ始めた。
  また、この際に一部がはく離片となって落下した可能性がある。
 (3)ファンベルトが切れ、加熱装置の保護カバー上に落下した。
 (4)ファンベルトの切断によりモーターの駆動力が送風機に伝わらなくなり、送風
  機は停止した。
 (5)送風機の停止に伴い、加熱装置の温度が上昇した。なお、加熱防止の保護回路
  を空調機メーカーとは別の納入者が独自に設計し直したため、加熱装置が異常
  な高温となり電源が一旦切れても、温度が下がると再度温度スイッチが入る設
  定となっていた。
 (6)加熱装置上のファンベルトのはく離片または切れて落下した一部が、加熱装置
  の熱により発火し、保護カバー上のファンベルトやモーターケーブル等に燃え
  拡がった。
 (7)モーターケーブルの被覆が焼損したため地絡し、漏電遮断器により電源が停止
  しモーターが停止した。モーター停止により加熱装置も停止した。

3.問題点
  火災発生の推定メカニズム調査の過程において、中越沖地震後巡視点検が行わ
 れていないなど、防火管理に対する問題が確認されたことから、火災発生の背後
 要因の分析・調査を行いました。この結果、背後要因として、主要な要因を以下
 のとおり抽出しました。

[役割認識に関する問題]
 (1)当該予備品倉庫の運営を担当するグループ(以下、建物運用箇所)は日常的に
  巡視を行う役割を、当該空調機の点検を担当するグループ(以下、建物所管箇
  所)は建物所管箇所として空調機の定期点検を行う役割であるが、相互が相手
  方の巡視・点検の実施状況を認識していなかった。
 (2)建物運用箇所は、建物所管箇所により適切な点検が行われていると考え、自ら
  適切な巡視点検を行っていなかった。建物所管箇所は定期点検を年2回実施し
  ていたが、その内容が十分ではなく、事後保全でも設備が容易に取り替えるこ
  とができると考え、火災の発生について思い至らず、適切な保全を設定しなか
  った。
 (3)所長、ユニット所長、部長は、このような状況を把握せず、建物運用箇所およ
  び建物所管箇所に対し、適切に指導・管理をしていなかった。

[防火管理者による一般設備の防火活動の把握・チェックに関する問題]
 (4)防火管理者は、防火管理全般に対し監督する役割であったが、今回火災が発生
  した空調機のような建物の付属品(以下、一般設備)に関する防火のための巡
  視や定期点検の状況を把握・チェックするプロセスを構築していなかった。防
  火の管理権原者(所長)は、このような状況を把握せず、適切に指導・管理し
  ていなかった。

[当社の現場把握に関する問題]
 (5)建物所管箇所は、設備点検時の現場の状況や不適合の発生状況を正確に把握し
  ていなかった。所長・部長は、このような状況を把握せず、適切に指導してい
  なかった。

 以上のことから、当該空調機に対して十分な定期点検・巡視が実施されず、また
この状態が是正されなかったため、ファンベルトが劣化し、さらには劣化したファ
ンベルト片に引火し、火災に至ったものと推定いたしました。

4.再発防止対策
(1)当該設備については、火災の予防を考慮した新製品に取り替えを行います。

(2)役割や認識に関する対策
  ○指揮命令系統および責任の明確化(防火管理にかかる体制強化)
    各建屋に設置されている副防火管理者は、管理する建物の予防管理、設備
   管理・運用管理を一元的に管理する責任と権限を有するようにします。
   (a)副防火管理者は、各建屋の使用に際し、各建屋の設備(建物、空調、
      火報設備、消火器、電気設備、クレーン等)の火災防止上の指導監督
      を行う。
   (b)副防火管理者は、各建屋の防火責任者および火元責任者に巡視点検を
      行わせることに加え、一般設備の定期点検、不適合対応については、
      防火の観点から建物所管箇所の下の専門チームに実施させる。
   (c)専門チームは、「その他の区域」(発電関連設備以外の区域)の一般
      設備を一元的に管理し、設備の知識を有する者で構成する。

(3)防火管理者による一般設備の防火活動の把握・チェックに関する対策
   所長は管理権原者として、一般設備に対する実効的な防火・消防計画となる
  よう、現在の「消防計画」を以下のように見直し、所員にこれを周知します。
  ○専門知識を発揮した防火活動の強化
   (1)防災安全担当の設置
     防火に関する専門家として、工事主管箇所の実施業務の監視、指導・助
    言、作業中止命令などを行うため、危険物全体を統括する専門家に加え、
    電気機械の知識をもった防災安全担当を設置し、防火活動の評価、チェッ
    クを行わせる。
   (2)防火管理者補佐の増強(その他の区域)
     副防火管理者が適切に業務を遂行できるように、その上位職にあたる者
    を防火管理者補佐とし、防火に万全を期する。

(4)当社の現場把握に関する対策
  (1)一般設備の現場を把握するチーム(専門チーム)の設置
    建築グループに、組織強化として設備の知識を有する者で構成される専門
   チームを作り、協力企業とともに一般設備の維持・管理を行う。今後組織強
   化に関する具体的な検討を行う。
  (2)専門チームによる現場管理の充実
    専門チームは防火の観点から直接現場管理を行うとともに、不適合発生時
   には現場状況を自ら確実に把握する。

(5)品質・安全部による横串機能の徹底
    品質・安全部は、防火の観点から防火責任者による巡視点検の状況および
   建築グループの下の専門チームによる定期点検、不適合対応などの実施状況
   について確認し、副防火管理者による火災防止上の指導監督のPDCAが廻
   っていることの確認を行う。

(6)一般設備の点検計画
    今回、一般設備の総点検を実施し、火災発生の可能性がないことを確認し
   たが、今後、一般設備に対する管理・計画的な保全について検討し、計画的
   な保全を実施していく。

 なお、今回の火災を踏まえ、「原子力発電所における防火管理の抜本的強化に関
する特別委員会」において、改めて全社的に防火管理の抜本的な強化に取り組んで
まいります。

5.類似機器の総点検
  火災発生防止に万全を期すために、「火災発生防止の総点検計画」を定め、発
 電所構内で使用する全設備について火災発生の可能性の評価を行うとともに、火
 災発生の可能性のある設備については点検等を行いました。
 (平成21年4月17日完了)
  その結果、火災発生のおそれのある異常は確認されませんでした。
  なお、加熱装置付き空調機1台については、ファンベルトの健全性に問題はな
 かったものの、保護回路の一部を改造していることが確認されたことから、念の
 ため、当該空調機の電源を切る応急処置を講じました。
  今後、不適合処置により是正処置を行います。

                                  以 上

○添付資料[H21.4.17更新]
 ・柏崎刈羽原子力発電所大湊側予備品倉庫空調機(A)の火災に係る原因および再発 
  防止対策について(PDF 1.43MB) 
 ※当初掲載時の記載に一部誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

*1 原因究明および類似機器の総点検を実施する旨の指示文書
   火災の再発防止の徹底について(指示) (平成21・4・12消予第43号)
    1 本火災の発生原因を究明し、速やかに報告すること。
    2 類似機器の総点検を速やかに行い、その結果を報告するとともに、火
      災の再発防止対策を講ずること。

*2 速やかな原因究明と再発防止に努める旨の指示文書
   「柏崎刈羽原子力発電所予備品倉庫における火災について(指示)」
                        (平成21・04・13原院第1号)

    平成21年4月11日、原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、貴
   社柏崎刈羽原子力発電所予備品倉庫において火災が発生した旨の連絡を受け
   た。新潟県中越沖地震以降これまでに8件の火災が発生し、これらに対して
   当院から再発防止対策の徹底を指示していたにもかかわらず、本件火災が発
   生したことは、極めて遺憾であり、厳重に注意する。
    このため、当院は、貴社に対し、本件火災の発生原因及び再発防止対策に
   ついて、検討を行い、速やかに報告することを求める。
    また、これまでの火災を踏まえて実施している対策を徹底し、火災防止に
   万全を期するよう指示する。

*3 火災防止に関する要請
   「柏崎刈羽原子力発電所における火災の多発について」
    貴社に対しては、これまでも重ねて安全管理の徹底を申し入れていたとこ
   ろですが、その後も火災が発生したことは、県民の安心と信頼を損なうもの
   であり、誠に遺憾であります。
    ついては、施設設備等の点検や作業体制を見直すことはもちろん、火災防
   止に関する貴社の指揮命令系統や責任の所在が誰にあるのか、どこに問題が
   あったのかを突きつめ、その対応を明らかにするよう、申し入れます。 


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