平成19年6月14日
東京電力株式会社
当社・柏崎刈羽原子力発電所6号機(改良型沸騰水型、定格出力135万6千キロ
ワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、平成19年4月25日にタービン建屋1
階復水器室内にある給水ポンプの軸封部のシール水を排水するための配管(外径:
約10cm)のエルボ部(配管を曲げている部分)付近から水が漏れていることを確認
したことから、点検、原因の調査および補修を行うため、4月27日にプラントを停
止いたしました。その後、5月24日より第8回定期検査を開始しております。
(平成19年4月25日、26日および5月23日お知らせ済み)
点検を実施したところ、排水配管からの水漏れは、第3給水加熱器(C)に接続
するC系配管のオリフィス*1上流のエルボ部で発生しており、配管の表面・断面
調査および解析結果などから以下のことが確認されました。
・C系配管には、当該エルボ部からオリフィスにかけて減肉傾向があり、当該エ
ルボ部は主に背側で減肉し、微小な貫通に至ったこと(孔径は約0.5mm)。
・当該系統内の運転時の圧力が設計圧力より低かったこと。
・A系、B系配管には有意な減肉はなかったこと。
これらのことから、今回の水漏れの原因を以下のように推定いたしました。
・当該系統は、流体が水だけの状態(単相流)と想定した設計であったが、エル
ボ部下流に設置しているオリフィスの穴の径が大きかった(約3cm)ため、A
系、B系、C系配管のオリフィス入口までの系統内圧力が、いずれも設計圧力
より低くなった結果、飽和蒸気圧力*2を下回り、流体が水と蒸気の状態(二
相流)になっていた。
・C系配管では二相流の環境となったため、当該エルボ部からオリフィスにかけ
て減肉が発生*3し、徐々に進展して水漏れに至った。
・A系、B系配管でも二相流となっていたが、配管接続位置など構造上の条件に
より、水が多く流れている状態となっていたため、減肉しにくい状態であった。
このため、以下の対策を実施いたします。
・A系、B系、C系配管のオリフィスを穴の径の小さなタイプ(約2cm)に変更
し、当該系統内の圧力を飽和蒸気圧力よりも上げることにより、二相流の発生
を防止する。
・C系配管について、水漏れのあった当該エルボ部からオリフィス上流までの配
管を同型新品に取り替える。
今後も配管減肉管理指針に基づき計画的に点検を行い、配管の減肉管理を適切に
実施してまいります。
以 上
*1:C系配管のオリフィス
オリフィスとは、配管内を流れる気体もしくは液体等の流体の流路中に設
置する絞りのこと。
給水ポンプ軸封部シール水の排水配管は、1本の配管からA系、B系、C
系の3本に分岐し、それぞれ第3給水加熱器(A)、(B)、(C)に接続
する構造となっている。各給水加熱器入口付近にはオリフィスを設置してお
り、オリフィス上流配管の圧力が飽和蒸気圧力を上回り、流体が水だけの状
態(単相流)になるように設計している。
*2:飽和蒸気圧力
液体にかかる圧力と沸点の関係を示す特性値。同じ液体でも圧力が下がり、
その温度の飽和蒸気圧力以下になれば、液体は沸騰する。
*3:減肉が発生
配管減肉事象は、化学的な作用による腐食要因(温度、溶存酸素等)と機
械的作用による浸食要因(流速、湿り度、形状効果)により発生する。
C系配管では、二相流となったことにより溶存酸素濃度が減少するととも
に、配管内の流速が速くなったため、当該エルボ部背側に浸食による減肉が
発生したと推定している。
添付資料
・柏崎刈羽原子力発電所6号機 水漏れ 概略図(PDF 54.9KB) |