平成19年3月22日
東京電力株式会社
当社は、現在、北陸電力株式会社による同社志賀原子力発電所1号機の定期検査
中の原子炉における平成11年6月に発生した事故に係る報告、および経済産業省原
子力安全・保安院からの指示(平成19年3月15日、19日)を踏まえ、過去に制御棒
が想定外に引き抜けた事象の有無について調査を行っております。
これまでに、平成5年6月に定期検査中の福島第二原子力発電所3号機(沸騰水
型、定格出力110万キロワット)において、また、平成12年4月に定期検査中の柏
崎刈羽原子力発電所1号機(同)において、制御棒が想定外に引き抜けた状態になっ
たことを確認いたしました。
(平成19年3月20日お知らせ済み)
引き続き調査を行っていたところ、本日、昭和53年11月2日に定期検査中の福島
第一原子力発電所3号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)において、昭
和54年2月12日に定期検査中の福島第一原子力発電所5号機(同)において、昭和
55年9月10日に定期検査中の福島第一原子力発電所2号機(同)において、制御棒
が想定外に引き抜けた事象があった可能性がある旨を確認いたしました。
当社といたしましては、今後、早急に当時の状況等について調査を実施し、調査
結果がまとまり次第、情報共有を目的に、原子力施設情報公開ライブラリー
(「ニューシア*1」)に登録するとともに、このたびの一連の事象を踏まえ、再
発防止の徹底に努めてまいります。
【事象の概要(推定)】
(1)福島第一原子力発電所3号機における事象について
発生日時:昭和53年11月2日
現時点で確認されている内容:
・原子炉圧力容器の水圧試験に伴う制御棒駆動水圧系*2の水圧制御ユ
ニット*3の隔離作業において、制御棒5本が想定外に引き抜け、原
子炉が臨界となっていた可能性が高い。
・水圧制御ユニットの弁を閉じる隔離操作により発生したものと推定さ
れるが、詳細は調査中。
・原子炉圧力容器の蓋は閉まっていたが、スクラム機能の有無について
は調査中。
・記録の改ざん等については調査中。
(2)福島第一原子力発電所5号機における事象について
発生日時:昭和54年2月12日
現時点で確認されている内容:
・制御棒駆動水圧系の水圧制御ユニットの隔離作業において、制御棒1
本が想定外に引き抜けた。原子炉は未臨界であった。
・水圧制御ユニットの弁を閉じる隔離操作により発生したものと推定さ
れるが、詳細は調査中。
・原子炉圧力容器の蓋は開いており、また、スクラム機能の有無につい
ては調査中。
・記録の改ざん等については調査中。
(3)福島第一原子力発電所2号機における事象について
発生日時:昭和55年9月10日
現時点で確認されている内容:
・制御棒駆動水圧系の水圧制御ユニットの隔離作業において、制御棒1
本が想定外に引き抜けた。原子炉は未臨界であった。
・水圧制御ユニットの弁を閉じる隔離操作により発生したものと推定さ
れるが、詳細は調査中。
・原子炉圧力容器および原子炉格納容器の蓋は閉まっていたが、スクラ
ム機能の有無については調査中。
・記録の改ざん等については調査中。
以 上
*1 原子力施設情報公開ライブラリー(「ニューシア」)
「有限責任中間法人 日本原子力技術協会」が運営する原子力施設の事故
故障や、事故故障に至らない軽微な事象の情報、並びに信頼性に関する情報
を共有するためのインターネット・ホームページ。
*2 制御棒駆動水圧系
復水系統などから制御棒駆動機構に通常操作のための駆動水、スクラム時
の高圧水などを供給する系統。
*3 水圧制御ユニット
制御棒を炉心内に挿入したり引き抜きしたりするため、制御棒駆動機構に
駆動水等を送る装置。また、非常時に制御棒を高圧水で緊急挿入(スクラム)
させるための蓄圧槽が付いている。
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