平成19年1月10日
東京電力株式会社
当社は、他電力会社の火力発電所において冷却用海水の取水温度測定値に補正が
行われていたことを踏まえて調査した結果、柏崎刈羽原子力発電所1号機および4
号機、福島第一原子力発電所1号機において、プロセス計算機*1の復水器出口海
水温度データ*2を改ざんしていたことを確認いたしました。
これに関し、平成18年12月5日、経済産業省原子力安全・保安院より、福島第一
原子力発電所1号機および当社発電設備における検査データの改ざん等に係る報告
徴収の指示*3を受領いたしました。
(平成18年11月30日、12月5日お知らせ済み)
また、同日(5日)、福島県から、不正問題の再発防止に向けた取り組みの再徹
底、迅速かつ的確な情報提供に関する要請を受領いたしました。
このたび、この調査の一環として、福島県温排水調査管理委員会*4に報告してい
る「福島県温排水調査管理委員会報告書(以下、『県報告書』)」および当社が所
有するモニタリング調査*5に係る委託報告書*6等に記載されている取放水口温度
データ*7を調査いたしました。
調査の結果、福島第一原子力発電所4号機において、昭和59年度〜平成9年度に
かけて、取放水温度差を復水器の設計水温上昇値*8(8.4℃)となるように改ざん
していたことを確認いたしました。
また、平成10年度以降については、改ざんは行われていないことを確認いたしま
した。
なお、その他のプラントについては、現段階において、県報告書に記載されてい
る取放水口温度データの改ざんは認められておりません。
当社は、調査の結果、取放水口温度データの改ざんの事実を確認したこと、なら
びにその原因と再発防止対策をとりまとめ、本日、地元自治体に報告いたしました
のでお知らせいたします。
当社といたしましては、取放水口温度データの改ざんを行っていたことについて、
立地地域をはじめ社会の皆さま方に深くお詫び申し上げます。
今後、引き続き報告徴収の指示に基づき調査を実施し、このような事態を二度と
起こさないよう再発防止対策を着実に実施してまいる所存です。
以 上
【別添資料】
・福島第一原子力発電所4号機取放水口温度のデータ改ざんについて(概要)(PDF 76.4KB)
・福島第一原子力発電所4号機取放水口温度のデータ改ざんについて(PDF 296KB)
*1:プロセス計算機
プラントの運転状態を監視・記録している装置。
*2:復水器出口海水温度データ
原子力発電所では、タービンで使用された蒸気を冷却して水に戻すために、
取水口から海水を取水し、復水器で熱交換した後に放水口から温排水として
海に戻している。その際、放水した海水の温度を復水器の出口に設置された
複数の温度計にて測定し、その平均データを監視している。
*3:報告徴収の指示
○ 今般確認された福島第一原子力発電所第1号機におけるデータの改ざん
について、その事実関係、根本的な原因及び再発防止対策を平成19年1月
11日までに報告すること。
○ 貴社の発電設備に関し、電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原
子炉の規制に関する法律に基づく検査(使用前検査、定期検査、定期事業
者検査、保安検査等の法定検査)に関するデータ処理における改ざんの有
無(有の場合にあっては、その内容を含む。)について平成19年1月31日
までに報告すること。
*4:福島県温排水調査管理委員会
福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、広野火力発電所の温排水
を適正に管理していくために必要な周辺海域における基礎的諸調査に関し、
企画・解析・評価等の基本的な事項を審議するために設置された、福島県の
専門機関。
*5:モニタリング調査
発電所からの温排水の拡散範囲(航空機による赤外線写真により計測)の
水温分布や海域の流速等を調査している。
*6:委託報告書
モニタリング調査および参考データの測定結果を取りまとめて委託会社か
ら当社が受領する報告書。
*7:取放水口温度データ
モニタリング調査実施時の諸状況を取りまとめている参考データの一つ。
取水口温度は各号機の取水口スクリーン室前面海域の表面温度を測定し、放
水口温度は各号機の放水口前面海域の表面温度を測定している。
*8:復水器の設計水温上昇値
プラントの基本的な設計条件から導き出される復水器の出入口における海
水の温度差。取水口から取水された海水は、設計条件上、復水器において
「設計水温上昇値」分の温度が上昇した温排水となり、放水口より海に戻さ
れる。
|