平成18年12月５日
東京電力株式会社
当社は、他電力会社の火力発電所において冷却用海水の取水温度測定値に補正
が行われていたことを踏まえて自主的に調査した結果、柏崎刈羽原子力発電所１
号機および４号機において、採取している取放水温度＊１について不適切な取り
扱いがあることを確認いたしました。 （平成18年11月30日お知らせ済み）
その後、平成18年11月30日、経済産業省原子力安全・保安院より当社の発電用
の水力設備、火力設備、原子力設備に対して、データ改ざん、必要な手続きの不
備その他同様な問題がないかについて、点検を行うことを求める文書を受領し、
点検を進めているところです。
一方、12月１日、当社は、福島第一原子力発電所１号機（沸騰水型、定格出力
46万キロワット）の次回定期検査で予定しているプロセス計算機＊２改造の準備
作業としてプログラムの確認を実施していたプラントメーカより、復水器海水出
口温度を測定したデータ＊３について、以下のことを把握したとの連絡を受けま
した。
・同号機の現在のプロセス計算機における、復水器海水出口温度のデータ処理に
ついて、測定データを平均処理した後に、1.0℃下げるデータ処理を行ってい
る可能性があること。
・昭和60年に復水器海水入口温度を1.2℃上げるデータ処理を実施し、その後処
理を元に戻している可能性があること。また昭和63年に復水器海水出口温度を
1.0℃下げるデータ処理を実施している可能性があること。
このため、ただちに当社において事実関係について調査を行ったところ、本日
までに、以下の不適切な取り扱いを確認いたしました。
・当該プラントにおいて、復水器海水出口温度として復水器の出口に設置された
温度計で測定したデータを平均処理した後、現状1.0℃差し引いていること。
・至近の定期検査等の記録に、この1.0℃を差し引いた値が記載されていること。
本件を踏まえ、その他の全原子力プラントについて、福島第一原子力発電所１
号機で確認したプロセス計算機のプログラムを確認する方法で再度点検した結果、
現段階では同様な不適切な取り扱いは確認されませんでした。
本データは、プラントの運転状態を確認するもので、運転制御や警報に関わる
ものではなく、発電所の運転に安全上の影響を与えるものではありません。また、
福島県温排水調査管理委員会へは、運転状況データの一部として取放水温度を報
告しておりますが、プロセス計算機のデータは使用しておらず、取放水口にて直
接測定したデータを報告しているため、温排水の調査結果に影響はありません。
今回確認した不適切な取り扱いについては、柏崎刈羽原子力発電所における取
放水温度差の不適切な取り扱いが確認された際、同号機についても調査を行い、
同様な事例がないことを確認しその旨をお伝えしておりました。しかしながら、
先の調査において当社が事実関係の確認のために使用した設備図書には、今回の
データ処理に関する記載がなく、当該の不適切な取り扱いについて確認すること
ができませんでした。
当社といたしましては、過去に不適切な取り扱いが行われたデータの使用が継
続されたこと、および先の調査が不十分であったため誤った情報をお伝えしたこ
とにつきまして深くお詫びいたします。
また、当社はこれまで信頼回復のため「しない風土」と「させない仕組み」の
もとで、企業倫理を遵守した業務運営の実践・定着に取り組んでまいりましたが、
このたびの不適切な取り扱いがあったことを極めて深刻に受け止めております。
今後、当該プラントにおける不適切なデータ処理を取りやめるとともに、本件
について徹底的な原因究明を行い、再発防止に努めるとともに、全社をあげて原
子力安全・保安院からの指示に基づく点検に取り組み、品質保証の向上に努めて
まいります。
以 上
＊１：原子力発電所では、タービンで使用された蒸気を冷却して水に戻すために、
取水口から海水を取水し、復水器で熱交換した後に放水口から温排水とし
て海に戻している。その取水した海水温度と放水した海水温度を監視して
いる。
＊２：プラントの運転状態を監視・記録している装置。
＊３：福島第一原子力発電所１号機には、復水器は２つあり１つの復水器は２つ
の水室を有している。温度計は１つの水室の出入口にそれぞれ４個設置し
てあり、出口温度は合計16個（復水器１台あたり８個）の温度計の平均デ
ータを表示している。
添付資料：取水口・放水口の概要、福島第一原子力発電所１号機における
復水器海水出入口温度測定の概要（PDF 101KB） |
