平成18年9月29日
東京電力株式会社
当社・福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)
は、定格出力で運転中の平成18年5月21日、気体廃棄物処理系*1の入口側に設置
された高感度オフガスモニタ*2の指示値が上昇し、中央操作室のデータ表示装置
に警報が発生しました。このため、気体廃棄物処理系の希ガスを分析した結果、燃
料集合体からの漏えいの徴候を示すキセノン133の値に有意な上昇が確認されたこ
とから、5月22日より関連パラメータの監視強化*3を行うことといたしました。
その後、当該モニタの指示値に変動が見られ、キセノン133の分析値に上昇傾向
が見られたことから、5月24日よりプラントの出力を約45万キロワットまで降下さ
せ、安定した状態で制御棒を操作し、気体廃棄物処理系の希ガスを測定することに
より漏えいの疑いのある燃料集合体を特定する調査を行いました。その結果、5月
27日に漏えいの疑いのある燃料集合体の範囲を特定したことから、その付近の制御
棒5本を全挿入とした後、プラントの出力上昇を開始いたしました。
なお、希ガスは気体廃棄物処理系で減衰処理されており、排気筒モニタ*4の指
示値に変動は見られないことから、外部への放射能の影響はありません。
引き続き、監視強化を行いながら運転を継続してまいります。
(平成18年5月22日、24日、29日お知らせ済み)
現在、4号機は定格出力にて運転しており、関連パラメータ*5は安定して推移
していることから、このまま運転を継続しても安全性は確保されておりますが、電
力需要が高まる冬期の安定供給に万全を期すため、このたびプラントを約1ヶ月間
停止し、漏えいの疑いのある燃料を特定した後、健全な燃料と交換することといた
しました。
プラントの停止操作は、10月1日午後5時より開始いたします。
以 上
*1 気体廃棄物処理系
復水器内の真空維持のため、復水器内で凝縮できなかった放射性ガスを抽出
して減衰処理し、排気筒から放出するための系統。
*2 高感度オフガスモニタ
燃料棒からの微小漏えいを早期に発見する目的で補助的に設置されたもので
あり、通常の気体廃棄物処理系の監視は、これとは別に設置されている放射線
監視モニタにより監視している。
*3 関連パラメータの監視強化
原子炉水のよう素濃度および気体廃棄物処理系のキセノン133濃度の分析を
1日1回、放射線監視モニタ指示値および排気筒モニタ指示値の確認を1時間
に1回実施する。
*4 排気筒モニタ
環境へ放出される排気中の放射線を測定する装置。
*5 関連パラメータ
・よう素濃度:4.6×10-2Bq/g(通常値:2.21×10-2Bq/g)
・キセノン133濃度:15Bq/cm3(通常値:2.4Bq/cm3)
・放射線監視モニタ指示値:1.5×10-1mSv/h(通常値:1.7×10-1mSv/h)
・排気筒モニタ指示値:2.5cps(通常値:2.5cps)
なお、濃度および指示値は9月25日の値。
<参考>当社原子力発電所の現況
福島第一・1号機( 46万キロワット) 運転中
2号機( 78万4千キロワット) 定期検査中
3号機( 78万4千キロワット) 運転中
4号機( 78万4千キロワット) 10月2日から点検停止予定
5号機( 78万4千キロワット) 定期検査中
6号機(110万キロワット) 運転中
福島第二・1号機(110万キロワット) 運転中
2号機(110万キロワット) 運転中
3号機(110万キロワット) 運転中
4号機(110万キロワット) 定期検査中
柏崎刈羽・1号機(110万キロワット) 運転中
2号機(110万キロワット) 運転中
3号機(110万キロワット) 運転中
4号機(110万キロワット) 定期検査中
5号機(110万キロワット) 運転中
6号機(135万6千キロワット) 運転中
7号機(135万6千キロワット) 定期検査中
これにより、停止中のプラントは、6基、合計590万8千キロワット、運転中の
プラントは、11基、合計1,140万キロワットとなります。
添付資料
・4号機における漏えいの疑いのある燃料集合体の範囲(PDF 14.9KB) |