平成18年8月11日
東京電力株式会社
平成18年8月6日、当社・福島第一原子力発電所の純水補給水系*1(以下、当
該系統)において、自然界に含まれる濃度よりも高い*2トリチウム*3が検出さ
れたことから、8月8日に管理区域外へ放出したと想定されるトリチウム量*4の
暫定評価を行いました。
(平成18年8月6日、8日お知らせ済み)
本日、管理区域外(大気及び周辺海域)へ放出したトリチウム量に係る評価結
果が確定*5(総量約4.7×1010ベクレル)いたしました。
その内、所内ボイラの蒸気に含まれるトリチウムの大気放出については、廃棄
処理施設を経由せず管理されていない状態で放出されたものであり、「実用発電
用原子炉の設置、運転等に関する規則」に基づく報告対象事象であると判断いた
しました。
本事象による一般公衆が受ける放射線量は2.8×10-7ミリシーベルト/年であ
り、法令の線量限度(1ミリシーベルト/年)の約350万分の1でした。
その内訳としては、所内ボイラの蒸気の大気放出による放射線量は2.8×10-7
ミリシーベルト/年、ストームドレン*6などから放水口へ放出した放射線量は
7.4×10-10ミリシーベルト/年でした。
なお、トリチウム放出量の暫定値算出に際し、所内ボイラの蒸気による放出経
路の一部に見落としがあり、結果として本日まで放出が継続していたため、所内
ボイラを停止しました。確定値の評価にあたってはこの間の放出量を含めて評価
いたしました。
また、放水口へ放出したストームドレンのトリチウム濃度は、放出時に復水器
を冷却した海水で希釈され約1.7×10-3ベクレル/cm3になるため、法令で定め
る濃度限度(3ヶ月平均60ベクレル/cm3)に対して十分低い値となります。
したがって、周辺環境への放射能の影響はないものと考えております。
今後、原因調査および再発防止対策などがまとまり次第、原子力安全・保安院
に報告いたします。
なお本件につきましては、当社からの一連の情報提供において、至らない点、
および事象発生後の放出防止に関する対応に不備があり、地域の皆さまにご心配、
ご迷惑をおかけしてしまいましたことを深くお詫び申しあげます。
原子力発電所で発生した全ての不適合事象について、まずは第一報の精神で速
やかに公表することとしており、この公表に係る基本的な考え方については、従
来からいささかも変わるものではなく、今後とも地域の皆さまからご信頼をいた
だけるよう、発電所運営の透明性を確保するために、速やかな公表に努めてまい
ります。
以 上
*1 純水補給水系
発電所の運転に必要な純水を供給する系統。
*2 自然界に含まれる濃度よりも高い
・自然界の海水のトリチウム濃度は約5×10-4ベクレル/cm3
・今回検出された水のトリチウム濃度は最大で約1.3×102ベクレル/cm3
*3 トリチウム
水素の仲間で地球上のどこにでもある放射性物質で、原子炉の中でも発
生している。
*4 放出したと想定されるトリチウム量(暫定値)
・ストームドレン放出量(放水口): 1.9×1010ベクレル
(最大濃度約21ベクレル/cm3で約955m3を放出したと想定)
・5号機復水器水室洗浄水の放出量(放水口): 1.3×108ベクレル
(最大濃度約1.3×102ベクレル/cm3で約1m3を放出したと想定)
・所内ボイラの蒸気による放出量(大気): 3.0×1010ベクレル
(最大濃度約1.3×102ベクレル/cm3で約229m3を放出したと想定)
*5 評価結果が確定
・ストームドレン放出量(放水口): 1.9×109ベクレル
(検出限界未満の濃度から約21ベクレル/cm3で約955m3を放出)
・5号機復水器水室洗浄水の放出量(放水口): 1.4×108ベクレル
(最大濃度約1.4×102ベクレル/cm3で約1m3を放出)
・所内ボイラの蒸気による放出量(大気): 4.5×1010ベクレル
(最大濃度約1.4×102ベクレル/cm3で約330m3を放出)
*6 ストームドレン
空調機の凝縮水、結露水および点検などで排水される海水などの非放射
性の水。
添付:所内ボイラ蒸気の大気放出の概要(例)(PDF 20.6KB)
当社コメント(PDF 14.7KB)
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