平成18年3月27日
東京電力株式会社
当社は、このたび、東京電力グループのさらなる成長・発展と持続的な企業価
値の向上をめざし、今後3年間に重点的に取り組む課題と主要な経営目標をまと
めた「平成18年度経営計画」を策定いたしました。
当社は、平成16年10月に、2010(平成22)年度を目標年度とした東京電力グル
ープの中期経営方針「経営ビジョン2010」を公表いたしました。
このたび策定した「平成18年度経営計画」では、この「経営ビジョン2010」
で掲げた目標を達成するための具体的なアクションプランを、「社会の信頼を得
る」「競争を勝ち抜く」「人と技術を育てる」という3つのグループ経営指針に
沿ってまとめるとともに、平成18~20年度の3年間で達成すべき目標を示してお
ります。
主な内容は、以下のとおりです。
1.社会の信頼を得る
当社は、安定供給、エネルギーセキュリティの確保にグループ一体となって
取り組むとともに、安全確保・品質管理、ならびに企業倫理・法令遵守を徹底
いたします。
また、地球温暖化問題への的確な対応として、「経営ビジョン2010」に
おける地球環境貢献目標(平成22年度までに「CO2排出原単位を1990(平成2)
年度比で20%削減」)達成に向け、原子力発電所の安全・安定運転、火力発電
の熱効率向上、自然エネルギーの利用拡大、京都メカニズムの活用などを推進
します。
【電力需要見通し】
中長期的には、1%台半ば程度の経済成長が見込まれるなか、他エネルギー
産業との競合激化や省エネの進展などが予想されることから、平成16~27年度
の年平均伸び率は、1.0%(気温補正後)と見込んでおります。また、最大電力
については、家庭用や業務用を中心とした冷房需要の増加はあるものの、蓄熱
システムの普及促進等により、平成16~27年度の年平均伸び率は、1.1%(気温
補正後)と見込んでおります。
なお、平成18年度の販売電力量は、景気の緩やかな回復傾向を背景に、産業
用需要の増加が見込まれるものの、平成17年度夏季の高気温や厳冬による冷暖
房需要増の反動減により、前年度比0.4%減の2,871億kWhと3年ぶりのマイナ
スとなる見込みです。
夏の最大電力(発電端1日最大)については、通常の暑さとなった場合で
6,120万kWと見込んでいます。
【電源設備計画】
安定供給、エネルギーセキュリティの確保を基本に、経済性、運用性および
環境への適合などを総合的に勘案し、原子力を中心とした電源のベストミック
スを着実に推進してまいります。
2.競争を勝ち抜く
競争が激化する中、多様化・高度化するお客さまニーズに迅速・的確にお応
えし、お客さま満足を獲得するためのトータルソリューションサービスにグル
ープ一体となって取り組むとともに、あらゆる分野でコストダウンを推進して
まいります。
<お客さま満足の獲得をめざした営業活動の推進>
「経営ビジョン2010」における販売電力量の開拓目標(平成16~22年度
の累計で「100億kWh以上を開拓」)の達成に向けて、平成18~20年度の3年間
合計で、50億kWh程度の販売電力量開拓をめざします。
1)法人・大口のお客さま
・お客さまの電気の使用状況・計画に応じ、各種電気料金メニューと電
化機器・システムとを最適に組み合わせ、省コスト・省エネ・CO2
排出量削減に寄与する効率的なエネルギー利用システムを提案してま
いります。
・多様化・高度化するお客さまニーズに対し、電気・ガス・蒸気等のエ
ネルギー供給のみならず、通信も含めた建物設備の設計・施工・メン
テナンスや環境への配慮、オフバランス化、業務のアウトソーシング
などを組み合わせたトータルソリューションサービスを、グループ会
社とともにワンストップで提供してまいります。
2)家庭用のお客さま
・快適性や省エネ・環境性、安心・安全性とともに経済性にも優れた
「オール電化住宅」をご採用いただけるよう、CM等のマス広告や
Switch!キャンペーンの展開に加え、住宅を企画、建築、販売されて
いる住宅業界の皆さまへも引き続き営業活動を実施し、平成20年度ま
でに新築住宅におけるオール電化率22%(9.5万戸相当)をめざします。
<コストダウンへの取り組み>
「経営ビジョン2010」における業務効率改善目標(平成22年度までに
「2003(平成15)年度比で20%以上改善」)の達成に向け、設備安全・品質確
保を大前提に、グループの総力をあげて、設備形成や運用・保守の合理化、業
務プロセスの見直しなどあらゆる分野でコストダウンに取り組んでまいります。
【設備投資の水準】
設備投資額は、平成18~20年度の3年間平均で6,200億円程度(前年度計画
と同水準)といたします。
【社員数の抑制】
社員数については、業務運営・組織の見直しや設備自動化など、効率化方策
を引き続き徹底して推進することにより、平成20年度末に37,500人程度に抑制
します。
<成長性確保に向けた収益力のある新事業開発>
「情報通信」「エネルギー・環境」「住環境・生活関連」「海外」の4分野
で新事業を推進し、グループの持続的な成長・発展を実現してまいります。な
お、新事業の推進にあたっては、選択と集中を徹底してまいります。
【電気事業以外の売上高・営業利益目標】
情報通信事業におけるKDDI(株)との包括提携に伴い、「経営ビジョン
2010」にて掲げた目標(平成22年度までに「電気事業以外の売上高6,000
億円以上、電気事業以外の営業利益600億円以上を確保」)について以下のと
おり見直します。
これに伴い、平成18年度経営計画においては、以下の目標の達成をめざしま
す。
(具体的な目標)
[経営ビジョン2010における目標]
平成22年度までに、以下の目標の達成をめざします。
■電気事業以外の売上高 3,000億円以上
■電気事業以外の営業利益 500億円以上
[平成18年度経営計画における目標]
平成20年度に、以下の目標の達成をめざします。
■電気事業以外の売上高 2,700億円程度
■電気事業以外の営業利益 400億円程度
〔参考〕
〈情報通信事業〉
・FTTH(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)事業については、KDDI(株)
との統合サービスを本格的に展開していきます。
・PLC※などの情報通信技術を活用し、インターネットサービス、エネルギ
ーマネジメント、ホームセキュリティ、家電制御などのサービスを提供して
いきます。
※PLC (Power Line Communication):高速電力線通信。電気を送るために敷
設されている配電線や屋内電線を利用して高速の通信を実現。
〈ガス関連事業〉
・火力発電用のLNG(液化天然ガス)の調達力の強化や収益機会の拡大を図
るため、LNG上流部門、LNG船事業、LNG販売事業を推進していきま
す。
・また、お客さまの幅広いニーズに対応したトータルエネルギーソリューショ
ンを実現するため、ガス供給事業に積極的に取り組んでいきます。
〈海外事業〉
・海外でのビジネスチャンスの発掘による新たな成長・発展をめざし、海外に
おける発電事業や多様な投資事業を推進するとともに、当社の技術力・ノウ
ハウを活用したコンサルティング事業を推進します。
3.人と技術を育てる
働きがいや達成感が得られるような職場づくりを推進するとともに、技術・
技能の強化・向上、将来の成長を支える技術戦略にグループ一体となって取り
組んでまいります。
4.主要目標
【利益・フリーキャッシュフロー目標】
グループ一体となった業務全般にわたる徹底した効率化の推進やお客さま満
足の獲得をめざした営業活動の積極的展開による売上の拡大などを通じて、収
益性の向上を実現するとともに、設備投資などの現金支出を抑制し、フリーキ
ャッシュフローの確保に努めてまいります。また、設備の運用合理化や資産を
スリム化することなどにより、資産効率性の向上を図ります。
こうした取り組みにより、平成18~20年度の3年間平均で、以下の目標の達
成をめざします。
(具体的な目標)
■経常利益 [連結] 3,800億円以上
[単体] 3,500億円以上
■ROA(総資産利益率)[連結・単体] 4%以上
■フリーキャッシュフロー[連結・単体] 4,000億円以上
【財務体質改善目標】
電力自由化の範囲拡大やエネルギー間競争の激化など経営環境が大きく変化
する中、財務体質の改善は、当社にとって喫緊の課題となっており、フリーキ
ャッシュフローを有利子負債の削減に重点的に充てることなどにより、株主資
本比率の向上をめざしてまいります。
具体的には、「経営ビジョン2010」にて掲げた目標(平成22年度までに
「株主資本比率25%以上」)の達成に向け、平成20年度末時点で以下の目標達
成をめざします。
(具体的な目標)
■株主資本比率[単体] 23%以上(平成20年度末)
(有利子負債削減額[単体] 7,000億円以上(平成18~20年度累計))
以 上
<参 考>
[経営ビジョン2010(東京電力グループ中期経営方針)]
「経営ビジョン2010」では、「エネルギーの最適サービスを通じて豊か
な生活と快適な環境の実現に貢献する」というグループ経営理念のもと、「社
会の信頼を得る」「競争を勝ち抜く」「人と技術を育てる」という3つのグル
ープ経営指針を掲げた上で、5つの数値目標を設定しております。
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