平成18年2月28日
東京電力株式会社
当社・福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)
は、平成17年12月3日に発電を開始し調整運転中のところ、発電機出力を約59万
キロワットまで上昇させた際に復水器の真空度が低下したことから、同日、発電
機出力を約32万キロワットまで手動にて低下させ調査を実施*1いたしました。
その後、復水器の真空度を可能な限り通常運転時に近い値に調整して12月6日
より発電機出力の上昇を再開し、約55万キロワットまで上昇させましたが、12月
7日、再度、復水器の真空度に低下傾向が見られたため、出力を約32万キロワッ
トまで手動にて低下させたところ、真空度の低下傾向は見られなくなりました。
また、12月7日、4号機タービン建屋排気筒モニタ*2の指示値が2.8cps(通常
値)*3から3.3cpsに一時的に上昇し、元に復帰する事象が発生しましたが、発電
所敷地境界付近のモニタリングポスト*4の指示値に変化はなく、外部への放射能
の影響はないものと考えております。
その後、12月10日、復水器真空度低下の調査の過程において、高圧復水ポンプ*5
入口側の配管に取り付けられたサンプリング配管*6の溶接部に、水のにじみが確
認されたことから、水にじみの原因調査を行い必要な対策を講じるため、12月12
日、プラントを停止することといたしました。
(平成17年12月4日、6日、7日、12日お知らせ済み)
当社は、12月13日にプラントを停止した後、復水器を真空にした状態で復水器
側への空気流入の有無を確認する調査などを実施いたしました。しかしながら、
本調査において機器の故障などの異常は確認されなかったことから、念のため、
復水器につながる主要な配管や弁の接続部に空気の流入防止の処置を施しました。
今後、プラントを起動し出力を上昇させて、復水器真空度に係るデータの幅広
い採取や現場での機器の状態確認などの原因調査を実施し、調査結果を踏まえて
必要な対策を行います。
なお、復水器の真空度が低下した場合には出力を低下させて、プラントを安定
な状態にするなど、慎重に対応いたします。
一方、タービン建屋排気筒モニタの指示値が一時的に上昇した原因については、
復水器真空度の低下にともなう気体廃棄物処理系のガス流量の急速な増加により、
当該系統の圧力が上昇し、その影響で同系統に設置されている排水配管*7のU
字シール内の水が押し出されたため、排水配管を通じて非凝縮性のガスが漏れた
ものと推定いたしました。
対策として、気体廃棄物処理系のガス流量に変動を与える操作を行う場合は、
U字シール内の水が排出されないよう排水弁を閉め、当該系統の圧力が安定して
いることを確認した後に、当該排水弁を開操作することとし、その旨を操作手順
書に明記いたします。
また、設備的な対策についても今後検討してまいります。
なお、プラントの起動については、準備が整い次第、操作を開始いたします。
以 上
*1 調査を実施
復水器の真空度低下の原因については、真空度を通常運転時より低い状
態で維持していたところへ、発電機出力を比較的大きく上昇させたことに
より非凝縮性ガスが急速に増加して復水器内へ流入し、一時的に気体廃棄
物処理系での処理が追いつかず、復水器内に非凝縮性ガスが滞留したため
と推定していたが、その後の出力上昇においても同様の事象が発生した。
*2 タービン建屋排気筒モニタ
タービン建屋内の空気を環境へ放出する際、排気中の放射線を測定する
装置。
*3 cps(カウント・パー・セカンド)
単位時間(秒)あたりに測定される放射線の数。
*4 モニタリングポスト
発電所敷地周辺に設置され、空間線量を測定する機器。
*5 高圧復水ポンプ
タービンで仕事をした蒸気は復水器で冷却され、水(復水)に戻される
が、その復水を原子炉に戻すためのポンプのひとつ。
*6 サンプリング配管
配管内を流れる水(復水)を分析・測定するために設けられた配管。
*7 排水配管
気体廃棄物処理系の配管内に溜まった凝縮水を排水するための配管。
添付資料
・4号機タービン建屋換気系モニタの指示値上昇の概要図(PDF 23.9KB)
|