平成17年12月6日
東京電力株式会社
当社・福島第一原子力発電所4号機は、平成17年12月3日午前3時39分に発電
を開始し、調整運転中ですが、電気出力を約59万キロワットまで上昇させた際、
復水器真空度が低下したことから、同日午後10時45分、発電機出力を約32万キロ
ワットまで手動にて低下させたところ、復水器真空度の低下傾向が見られなくな
りました。(12月4日お知らせ済み)
その後、発電機出力は約31万キロワットで、復水器の真空度は安定しておりま
す。
調査の結果、設備上の不具合や手順書を逸脱するような誤操作等は確認されま
せんでしたが、復水器内の真空度調整*1は手順書で定めた真空度の範囲内では
あるものの、通常運転時より低い状態に真空度を維持していたことが分かりまし
た。
また、発電開始から定格出力までの発電機出力の上昇については、燃料の健全
性を考慮してあらかじめ決めていますが、事象発生直前の出力上昇率*2は過去
の起動実績と比較すると大きいことが分かりました。
復水器真空度が低下した原因は、復水器真空度を通常運転時より低い状態で維
持していたところへ、発電機出力を比較的大きく上昇させたことにより非凝縮性
のガス*3が急速に増加し、復水器へ流入したことから、一時的に気体廃棄物処
理系*4での処理が追いつかず、復水器内に非凝縮性のガスが滞留したためと推
定いたしました。
今後、発電機出力を上昇させる際には、復水器真空度を可能な限り通常運転時
に近い値に調整した後に出力上昇させることを、手順書に明記いたします。また、
発電機出力の上昇を計画するにあたっては、過去の実績をふまえ気体廃棄物処理
系の処理能力を考慮したものといたします。
以 上
*1 復水器内の真空度調整
復水器内の真空度は、復水器から排出する非凝縮性のガス量を空気抽出
器入口弁等の開度を調整することにより、適切に維持している。
*2 出力上昇率
発電機出力の1時間あたりの上げ幅。
*3 非凝縮性のガス
原子炉から発生した蒸気に含まれる酸素、水素等の気体や微量な放射性
希ガス。復水器内の非凝縮性のガスは、復水器内の真空度維持のため、気
体廃棄物処理系に抽出し処理している。
*4 気体廃棄物処理系
復水器内の真空維持のため、復水器内で凝縮できなかった放射性ガスを
抽出して減衰処理し排気筒から放出するための系統。
添付資料
・4号機復水器真空度低下の概要(PDF 21.0KB) |