平成17年10月4日
東京電力株式会社
当社は、このたび、石炭火力発電で発生する石炭灰を保水材および路盤材に再
生利用するとともに、保水性のアスファルト層および路盤層の二層構造の舗装と
することにより、路面冷却効果の持続性を大幅に向上させる日本初の「ヒートア
イランド抑制舗装」の技術を開発いたしました。
現在、ヒートアイランド現象の一因とされる路面アスファルトの高温化につい
ては、その抑制が喫緊の課題となっており、保水性舗装などの設置が求められて
います。
こうした中、当社は、石炭火力発電所から排出される石炭灰について、従来か
ら土地造成材やセメント原料として100%リサイクルしておりますが、さらなる
有効利用方法を検討する中で、昨年10月から、石炭灰を再生利用した「ヒートア
イランド抑制舗装」の技術開発に取り組んでまいりました。
現在利用されている一般の舗装は、その大半が水分を浸透させないアスファル
ト層と路盤層から構成されており、路面の高温化につながっています。
また、一部で導入されている保水性舗装は、夏場に晴天が続き、保水したアス
ファルト層の水分が蒸発すると、路面が高温化して冷却効果が長続きしないとい
う課題があります。この対策として、散水・給水設備を設置するなど強制的に給
水する方法が検討されておりますが、コスト面等から普及は難しい現状にありま
す。
これに対して、このたび開発した「ヒートアイランド抑制舗装」は、アスファ
ルト層に石炭灰と数種類の添加材を配合した保水材を施した「保水性石炭灰アス
ファルト層」(以下、上層)と、石炭灰に少量の石灰などを添加した路盤材を使
用する「保水性石炭灰路盤層」(以下、下層)の二層構造となっております。
【別紙1参照】
このたびの技術開発により路面冷却効果の持続性を高めることができるメカニ
ズムは、以下の二つの特性によります。
1 石炭灰と数種類の添加材が反応すると、微細なすきまを多くもつ硬化体が形
成されるため、その空間に水分を保持することができる。なお、路盤層に石
炭灰を再生利用することにより、一般的な天然採石の路盤層に比べて約10倍
の保水能力が認められる。
2 毛細管現象により、水は湿潤状態の場所から乾燥状態の場所へ移動するとい
う性質を持っている。
具体的には、夏場の日照等で上層が乾燥状態になると、湿潤状態の場所から乾
燥状態の場所へ移動するという水の特性により、下層に蓄えられた水分が上層に
自然供給されます。一方、下層は同様の特性により地中の水分を吸収するととも
に、雨水などにより上層から浸透した水分を保水する機能を持つことから、水分
を長期にわたり豊富に蓄えることが可能となります。
以上により、下層から上層への自然給水が継続し、水の気化熱を利用した路面
冷却効果を長期間持続することが実現できます。
なお、当社の技術開発研究所におけるフィールド実験(実証試験)【別紙2参
照】では、2週間の晴天が続き外部からの水分供給がない状況においても、一般
的な舗装と比べて路面温度を約10℃低く抑えられるという長期間の冷却効果を確
認いたしました。
これらを踏まえ、今後は、実証試験の再現性を確認するために、実規模での路
面冷却効果の持続性や耐久性、そして経済性の検証を進め、平成19年度を目途に
実用化を目指してまいります。
当社は、今後とも、環境改善に資する技術開発を通じて、循環型社会の実現に
貢献してまいります。
以 上
添付資料
・別紙1:石炭灰を再生利用した「ヒートアイランド抑制舗装」の概要(PDF 82.6KB)
・別紙2:石炭灰を再生利用した「ヒートアイランド抑制舗装」実証試験の概要
(PDF 81.6KB) |