平成17年9月22日
東京電力株式会社
当社・福島第二原子力発電所1号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)
は、定格熱出力一定運転中のところ、平成17年9月4日頃より、原子炉冷却材再
循環ポンプ*1(B)の第2段軸封部(メカニカルシール)*2の温度に上昇傾
向が見られたことから、継続的に監視していたところ、温度の上昇傾向は収まり
ましたが、9月9日頃より圧力に低下傾向が確認されました。
これは、第2段軸封部に何らかの不具合が生じたため、圧力が低下しているも
のと推定しておりますが、第1段軸封部についてはシール機能に関する警報が発
生していないため、シール機能は維持されていると考えられることから、直ちに
原子炉冷却材再循環ポンプの運転状態に支障を与えるものではありません。
しかしながら、第2段軸封部の圧力低下傾向は継続していることから、計画的
にプラントを一旦停止し、当該軸封部の点検・取り替えを行うことといたしまし
た。本事象による外部への放射能の影響はありません。
(平成17年9月16日お知らせ済み)
当該軸封部の点検の結果、第2段軸封部の静止リングと回転リングのシール摺
動面において、静止リング側の表面に筋状の浅い傷および面荒れを確認いたしま
した。これは、第2段軸封部に微細な異物が混入し、当該シール摺動面にかみ込
んだこと、および静止リングと回転リングの接触状態が安定していないことによ
り、筋状の浅い傷および面荒れが発生したものと考えております。これらが原因
で第2段軸封部のシール機能が低下し、より多くのシール水が流れ出し第2段軸
封部の圧力が低下したものと推定いたしました。
なお、当初第2段軸封部の温度上昇傾向が見られましたが、これは第1段およ
び第2段軸封部の静止リングと回転リングのシール摺動面において摺動痕が認め
られており、その摺動熱が第2段軸封部に伝わったことから、温度が上昇傾向に
なったものと推定いたしました。
当該軸封部については新品に取り替え、健全性を確認いたしました。従来から
実施している再発防止対策として、異物混入防止管理の徹底を図るとともに、今
後、シール摺動面の更なる安定性向上に向けて、構造・材料などの検討および試
験を実施いたします。
準備が整い次第、原子炉起動操作を開始いたします。
以 上
*1:原子炉冷却材再循環ポンプ
原子炉圧力容器の中の水(冷却材)を強制的に循環させるポンプで、運転
中はポンプの回転数(スピード)を制御することで流量を増減させ、原子
炉の出力をコントロールしている。このポンプは2台設置されている。
*2:軸封部(メカニカルシール)
ポンプ内部の水(冷却材)が軸を通してポンプ外部に出ないようにするた
めに設けられている部分。軸封部は2段構成となっており、2段のどちら
か一方のシール機能が低下した場合でも、他の1段でシール機能が維持で
きるよう設計されている。
添付資料
・1号機原子炉冷却材再循環ポンプ軸封部概略図(PDF 16.7KB) |