平成17年8月3日
東京電力株式会社
本年5月に福島第一原子力発電所6号機で発生した可燃性ガス濃度制御系※1
(以下FCS)の流量計不具合への対応過程において、流量制御器の換算式に根
拠が不明確な補正係数※2が使用されており、所定の流量(170Nm3/h)が確保
されていないおそれがあることを当社社員が発見いたしました。このため、補正
係数の根拠について調査するとともに、補正係数を除いた状態で所定の流量が確
保できることをチェックすることといたしました。
(このことは6月1日に当社から既に公表済みですが、7月4日に福島県へ関連
する情報提供(*)があり、同日、その旨を福島県から公表されております。)
このたび当該補正係数の根拠等について調査結果をとりまとめましたので、そ
の内容について以下のとおりお知らせいたします。
1.調査結果
○ 福島第一原子力発電所6号機が運転開始(昭和54年)して以降、設備改良
や計測装置の変更に伴い、補正係数を過去2回(昭和58年と平成4年)変更
していたことが判明しました。
この補正係数の設定に関する経緯等を調査したところ、
・昭和58年は、流量計測用オリフィス※3を交換したことが流量を減少させ
た原因であることに気づかなかった
・平成4年は、流量制御器をデジタルに変更したが、設備的な状況に変化が
ないため、専ら現状維持を図ることを優先させてしまった
ことから、それぞれの時点で所定の流量を満足するような適正でない補正係
数を設定していたことが判明いたしました。(添付資料参照)
このような補正係数を設定したことは、不適切な行為であったと認識し、
大変申し訳なく深く反省しております。
○ なお、FCSの流量につきましては、6月1日に補正係数を除いた状態で
改めて確認運転を行った結果、所定の流量が確保されていることを確認いた
しました。また、過去においても設備全体としては所定の流量を流す能力を
有していたものと考えております。
○ また、他プラントのFCSの流量制御器については、こうした補正係数を
用いていないことを確認しております。
2.今後の対応
○ 当該FCSにつきましては、現時点で所定の流量は確保されていることが
確認されておりますが、余裕が少ないことから、次回定期検査において流量
を増加させる設備の改良を行うことといたします。
○ 当社では、平成14年の原子力不祥事以降、不適合管理のルールを明確化し
ておりますが、今後も今回の調査で判明したような問題が確認された場合に
は、速やかに不適合案件として取り扱い、公表するとともに、引き続き企業
風土改革に全力で取り組んでまいります。
以 上
※1:可燃性ガス濃度制御系
可燃性ガス濃度制御系(FCS:Flammability Control System)は、
原子炉冷却材喪失事故時に発生する水素・酸素が、原子炉格納容器内にた
まり、反応して燃焼を起こすことを防ぐため、水素・酸素ガス濃度を制限
値以下になるよう処理する装置。A系、B系の2系統で構成されている。
※2:補正係数
配管内を流れるガスの流量に応じて、配管内に設置した流量検出器に差
圧が発生し、これを流量信号に変換して流量を測定している。この流量信
号から流量を表示させる際に換算式を用いているが、流量制御器の種類に
より、正しい流量を表示させるために、換算式中に補正係数が必要となる。
※3:流量計測用オリフィス
流量検出器の一種で、中央に円形の穴が開いたドーナツ状の円板。これ
を配管内に設置すると流量に応じてその前後に差圧が発生するので、これ
を測定することで流量が算出できる。
(*)福島県への情報提供内容
・福島第一原子力発電所6号機の可燃性ガス濃度制御系の流量制御器内の流
量換算式に用いられている補正係数は、検査を合格し易くするため意図的
に用いたもので20年前からマニュアル化している。
・1号機の運転開始を優先するため、今もその事実を隠している。会社ぐる
みで不正を隠蔽している。
・すでに調査済みであり、どうごまかすか考えている最中。
・いつもだまされ続ける県民が気の毒。
・至急、事実の解明に取り組むべき。
添付資料
・福島第一原子力発電所6号機可燃性ガス濃度制御系における流量制御器の補正
係数に関する調査概要について(PDF 19.6KB)
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