プレスリリース 2005年

柏崎刈羽原子力発電所補助ボイラーにおける定期事業者検査の開始遅延に関する報告書の提出について

                            平成17年2月15日
                            東京電力株式会社

 当社・柏崎刈羽原子力発電所の補助ボイラー※1(1A)については、平成17
年1月12日、定期事業者検査を開始すべき平成17年1月11日を超えて運転してい
たことが判明したため、同日午後6時50分に当該ボイラーを停止し、ただちに定
期事業者検査を開始いたしました。また、翌13日、経済産業省原子力安全・保安
院より、定期事業者検査を所定の時期に開始しなかったことに対し厳重注意を受
けるとともに、原因調査ならびに対策についてすみやかな報告を求める旨の指示
文書を受領いたしました。(平成17年1月12日、1月13日お知らせ済み)

 本日、この指示にもとづき報告書をとりまとめ、原子力安全・保安院に提出い
たしましたのでお知らせいたします。

 調査の結果、原因は以下の通りです。

(1) 当発電所において、「法定期限」という重要な情報に対する所員の意識
   が希薄であったことに加え、平成16年7月の発電所組織改編において、補
   助ボイラーの保全計画と運転管理を別々のグループで所管することになっ
   た際、各所管グループで共有すべき情報について明確にしておらず、法定
   事項の変更に組織として適切に対応する機能が十分でありませんでした。
    この結果、保全を所管するグループ(以下「保全所管グループ」)は当
   該ボイラーの定期事業者検査開始日を運転管理を所管するグループ(以下
   「運転管理所管グループ」)に伝えていませんでした。あわせて、運転管
   理所管グループは定期事業者検査の開始日を確認することなく、ボイラー
   の運転計画を定めていました。
    また、平成12年9月に福島第二原子力発電所で発生した類似事象※2へ
   の対策については、申請の手続き忘れを防止する管理は行っていましたが、
   法定事項の遵守を前提とした、実施段階を含む管理プロセス全体を改善す
   る観点からの対策が不足しておりました。
(2) 原子力発電所の運転・管理をする事業者としてのトップマネジメント※3
   は、原子力発電所の品質・安全レベルの一層の向上を図るべく、「法令・
   ルールの遵守」を品質方針に掲げ、これを明確に組織全体に伝達している
   ものの、品質マネジメントシステムの構築・継続的改善に関する人的資源
   の調整が十分でない等の現状を的確に把握しておらず、結果として是正活
   動が適切になされませんでした。

 上記を踏まえた再発防止対策は以下の通りです。

  トップマネジメントによる是正活動が適切になされなかったことを踏まえ、
 トップマネジメントは、発電所長に以下の対策を確実に実施させるとともに、
 発電所の人的資源の調整についてバックアップいたします。またトップマネジ
 メントは、対策実施後に組織改編や法令改正に伴う法定事項の変更への対応が
 適切に行われていることを確認することといたします。

(1)意識の高揚の再徹底
   当発電所の全所員に対し『法定事項を遵守するという当事者意識を強く持
  ち、自らの業務を的確に認識し、確実に責任をもって実行すること』を再徹
  底いたします。

(2)管理手順の明確化と意識付け
  1 補助ボイラーの定期事業者検査に関わる業務フローの明確化
     保全所管グループは補助ボイラーの定期事業者検査に関する計画を、
    また、運転管理所管グループは補助ボイラーの運転計画を相互に提供し、
    保全計画と運転計画の整合を図るとともに、グループ間で情報共有を行
    います。
  2 補助ボイラーの定期事業者検査開始日の明確化と意識付け
     補助ボイラーの定期事業者検査作業に関する作業許可申請書に、定期
    事業者検査開始日(補助ボイラー停止日)を明記するとともに、補助ボ
    イラー制御盤に定期事業者検査開始日を明示いたします。
  3 業務情報共有のルール化
     補助ボイラーを含め、法定期限を有する重要な設備(原子炉、蒸気タ
    ービン)について、法定事項を遵守できるルールを定めます。
  4 スケジュール管理の徹底と管理方法の改善
     従来から使用していたスケジュール表に、原子炉・タービン・補助ボ
    イラーの法定期限を明記し、スケジュール管理を徹底するとともに、今
    後スケジュール管理のシステム化を図ります。

(3)組織面の見直し
  1 品質・安全部の関与
     組織改編にともない、複数のグループに所掌が分割された業務につい
    て、法定事項を厳格に遵守するための業務状況になっていることを確認
    いたします。
     また今後、組織改編や法令改正が行われた場合においても、適切に対
    応できることを確認いたします。
  2 各主任技術者の関与
     補助ボイラー設備を含め、各主任技術者(原子炉、電気、ボイラー・
    タービン)が、所掌する設備の法定事項遵守状況を確認するものとし、
    そのための各主任技術者へのサポートを強化いたします。

(4)水平展開
   当社の他原子力発電所についても、同様な対策を実施いたします。

 当社といたしましては、このたびの原子力安全・保安院からの厳重注意を真摯
に受けとめ、再発防止に取り組んでまいります。

                                 以 上

※1 補助ボイラー
    発電所建屋内の暖房等に使用する蒸気やプラント起動・停止時のタービ
   ン軸封部へのシール蒸気を供給するためのボイラー。
    柏崎刈羽原子力発電所には7台設置されており、重油を燃料とするボイ
   ラーと電気ボイラーがあるが、当該ボイラーは重油を燃料とするもの。
    なお、蒸気を発生させるための水には純水を使用している。

※2 平成12年9月に福島第二原子力発電所で発生した類似事象
    福島第二原子力発電所2号機の蒸気タービンに関わる定期検査時期変更
   の国への承認申請について、社内の申請手続きの不備により、定められた
   期日までに所定の手続きがなされていなかったもの。

※3 トップマネジメント
    品質保証の実施に関わる組織を運営する者で、原子力発電所においては
   原子炉設置者(法人にあってはその代表者)を示します。

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