平成16年10月22日
東京電力株式会社
当社は、福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の建設時に使用
されたコンクリート用骨材を納入した事業者が、骨材の品質を保証するアルカ
リ骨材反応(注)性試験(以下「試験」という)の成績書をねつ造し危険性のあ
る材料を納入していた、という趣旨の報道があったことを受け、これまで事実
関係を調査してまいりましたが、以下のとおり調査結果等をとりまとめ、本日、
原子力安全・保安院に報告いたしましたのでお知らせいたします。
1.調査概要
両原子力発電所における過去の試験の実施状況や、生コンクリート会社と
骨材会社が保有している試験成績書の内容確認、公的試験機関が保有してい
る試験成績書原本との照合、関係する骨材会社等へのヒアリングなどを実施
いたしました。
2.調査結果
昭和61年以降、骨材会社は試験の実施を公的試験機関に依頼し、その結果
(成績書原本)を生コンクリート製造会社へ提出し、生コンクリート製造会
社は建設会社へ、建設会社は当社へ、それぞれその控えを提出するようにな
りました。
このような試験の実施が公的基準として整備されて公的試験機関からの試
験成績書の提出が開始されたのは昭和61年以降であり、原子炉建屋やタービ
ン建屋等の主要な建物は昭和61年以前に建設されていることから、報道され
たような試験成績書がねつ造されるといった事実はありません。
昭和61年以降、両発電所において建設されたコンクリート建物・構築物の
うち、電気事業法に基づく工事計画認可を受けたものは、建物が6施設、構
築物が10施設ありますが、これらについて残存する成績書を可能な限り確認
した結果は、いずれも「無害」である(アルカリ骨材反応を起こす可能性は
ない)という内容でした。
しかしながら、この調査の過程で、骨材会社の株式会社東洋機工(以下「東
洋機工」という)が以下の不適切な行為を行っていたことが判明しました。
・平成7年5月から平成12年4月までの間に公的試験機関から報告を受け
た試験成績書のうち、試験で「無害でない」(アルカリ骨材反応を起こす
可能性がある)と判定されたものを、「無害」という内容に改ざんし提出
していた。(対象は添付資料の3施設)
・昭和61年以降平成7年5月までの間は成績書が残されていないため、改
ざんの可能性が否定できない。(同7施設)。
・同時期にこれらの試験用試料を採取する際に、アルカリ骨材反応が起き
ない場所のものを優先して採取していた。(アルカリ骨材反応が起きに
くい、同一採石場から採取した試料により混合調整していたことが、聞
き取りにより確認された。)
なお、上記の調査の過程で、東洋機工の骨材を使用していた広野火力発電
所でも、1施設で使用されたコンクリートの骨材について、改ざんの事実が
あったことが確認されましたので、目視点検等を含め継続調査中です。
3.コンクリートの健全性
当社の原子力発電所のコンクリート建物・構築物については、これまで行
ってきた定期的な目視による点検、コンクリートコアの抜き取りによる強度
試験等により、コンクリートの健全性が確保されていることを確認しており
ます。また、昭和61年以降、福島県内の原子力発電所において東洋機工の骨
材を使用して建設された施設(添付資料参照)のうち、コンクリート製造時
のアルカリ総量のデータが残っている施設については、いずれもアルカリ骨
材反応を起こさない数値であることが確認されました。
さらに今回の調査と並行して、臨時の目視点検等を行いましたが、アルカ
リ骨材反応によるひび割れ等は確認されておりません。
以上のことから当社は、福島第一原子力発電所ならびに福島第二原子力発
電所のコンクリートの健全性は確保されていると判断しました。
4.今後の原子力発電所の対応
再発防止対策として今後は以下を徹底します。
(1) 試験成績書の原本を第三者機関から直接当社宛に送付するよう建設会社
に義務づけ、当社は提出された試験成績書の原本を確認いたします。
(2) 骨材の試験サンプルを採取及び発送の際には、当社または当社が指定す
る第三者が立会確認を実施することといたします。また、当社は試験サ
ンプリング採取及び発送に関する記録を保管します。
なお、今後も引き続き、計画的な点検および試験を実施し、コンクリートの
健全性を確認していく所存です。
以 上
注:アルカリ骨材反応
コンクリート中のアルカリ金属イオンと砂や砂利に含まれるある種の鉱物
との化学反応による生成物が、水分の供給により膨張する現象。
これにより、コンクリートが膨張し、ひび割れが生じる。
添付資料
・規準類整備以降の建物、構築物のコンクリートの健全性確認状況(PDF 14.4KB) |