平成16年９月30日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京電力株式会社

　当社・福島第一原子力発電所５号機（沸騰水型、定格出力78万４千キロワット）に
おいて、平成16年５月24日発生したシャワー廃液＊１放出に係る不適合については、
当社から原子力安全・保安院に事象の発生原因および再発防止対策についてご報告を
してまいりましたが、本日、原子力安全・保安院より原子力安全委員会に、本件が保
安規定第88条（放射性液体廃棄物の管理）＊２に違反していること、ならびに、当社
の再発防止対策などについて報告がなされました。

　事象の概要、再発防止対策、および違反事項は、以下のとおりです。

１．事象の概要および再発防止対策
　　平成16年５月24日、当該５号機は定格熱出力一定運転中のところ、シャワー廃液
　収集タンク（Ｂ）の廃液放出を行うにあたり、当該タンク（Ｂ）廃液の放射能測定
　を行わないまま、シャワー廃液を放出したことが、翌25日に分かりました。
　　なお、当該タンク（Ｂ）サンプリング配管内に残った廃液から放射能は検出され
　ず、放水口モニタの指示値にも異常がなかったことから、本事象による外部への放
　射能の影響はなかったものと判断しております。（５月25日お知らせ済み）
　　その後、事実関係を詳細に調査したところ、タンク（Ｂ）が放出レベルとなった
　ことを確認した廃棄物処理設備の委託運転員（以下「委託運転員」）が、放出情報
　票を作成して当直員にタンク（Ｂ）の放出分析を依頼したが、当直員が分析依頼票
　を作成する際、タンク（Ｂ）を（Ａ）と誤って転記したため、タンク（Ａ）の分析
　依頼がなされたことが分かりました。
　　その結果、委託分析員によるタンク（Ａ）の試料採取が行われ、その分析結果が
　当直長に報告されました。当直長は分析結果が放出条件を満足していることを確認
　しましたが、放出準備を進めていたタンク（Ｂ）の放出許可を求めてきた委託運転
　員にタンク（Ａ）（Ｂ）の確認を行わないままそのまま放出指示を行いました。
　　このように、放出に関わった当直長、当直員および委託運転員の間で、相互の連
　絡と確認が適切に行われていなかったことから、それぞれが間違いに気付きません
　でした。
　　以上のことから、再発防止対策として、以下の２つを含む業務の改善ならびに基
　本動作の徹底を図ることといたします。
（１）当面の対策として、以下を実施しました。
　　　・転記ミス防止のため、分析依頼業務に関わる申請書を一本化。
　　　・当直長は放出時タンク名称、タンクレベルに相違のないことおよび測定結果、
　　　　放出条件を確認後、放出許可を行う。
　　　・関係者による事例検討会を実施。
（２）恒久的な対策として、放出に関わるプロセスについて各ステップでの確認項目
　　　などの明確化を図り、さらにＩＴ化することにより、業務の適正化および信頼
　　　性の向上を図ります。

２．違反事項について
　　保安規定第88条（放射性液体廃棄物の管理）においては、「放射性液体廃棄物を
　放出する場合の管理事項」および「放射性物質の濃度を放出の都度測定する」と規
　定されており、本件につきましては、この規定に違反しているとの指摘を受けたも
　のです。

　当社といたしましては、今般の原子力安全・保安院の評価結果を真摯に受け止め、
再発防止に取り組んでまいります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以　上


＊１　シャワー廃液
　　　作業終了後に作業員が使用する手洗いやシャワーにより発生した廃液。

＊２　保安規定第88条（放射性液体廃棄物の管理）
　　　一般公衆にあたえる影響を把握するという観点で規定されているものであり、
　　　本条において、放射性液体廃棄物を放出する場合の測定、放出経路、放射性液
　　　体廃棄物の濃度が法令に定める濃度限度を超えないことおよびその放出量が管
　　　理目標値を超えていないことを管理することが求められている。

添付資料
・別紙：５号機シャワー廃液放出処理フロー概要（PDF 22.5KB）