平成16年3月22日
東京電力株式会社
当社は、本日、総務省関東総合通信局より実験を目的とした「高速電力線搬送
通信(以下高速PLC*1)」設備の設置許可をいただきました。
本日から平成17年3月までの約1年間にわたり、当社社宅や技術開発センター
内に実験設備を設置し、高速PLCによる漏洩電界*2強度の低減技術について、
集合住宅を想定した実証試験を行ってまいります。
既設の電線やコンセントを利用し、高周波(2〜30MHz)を使用帯域とする高速
PLCは、
(1)新たにLANケーブルを敷設する必要がなく経済性に優れ、かつ屋内コンセ
ントの利用により、利用範囲が格段に広がる
(2)壁等の透過で伝送能力が減少する無線LANに比べ利便性に優れる
(3)光ファイバに匹敵する高速の通信が可能となる
などの優れた特長があり、FTTH回線を引き込んだあと、屋内LANケーブル
として電気の屋内配線を使うことにより、手軽に高速インターネットアクセス回
線を実現する手段として実用化が期待されています。一方、実用化にあたっては、
既存の無線設備等に対する影響を防止するために、漏洩電界の低減技術の確立が
不可欠となっています。
当社は、従来から高速PLCの実用化に向けて調査・研究してまいりましたが、
このたび電力線搬送モデムからの漏洩電界の低減技術の効果について一定の見通
しを得るとともに、本年1月の「電波法施行規則*3等」改正により漏洩電界強度
の低減技術の検証実験を行うことが可能となったことから、2月9日に設備の設
置申請をいたしておりました。
今後は、このたび許可を取得した設置場所以外においても、集合住宅(当社の
社宅等)を中心に利便性や漏洩電界低減技術の効果確認を重ねてまいります。加
えて、高品質なブロードバンド環境をより多くのお客さまにご利用いただけるよ
う高速性・利便性に優れる高速PLCの実用化・事業化検討も視野に入れた実験・
検討を進めてまいります。
以 上
*1 高速PLCは、既存の配電線や家庭の電灯線に通信信号を注入して高速な通
信を実現する技術で、従来の低周波帯(10〜450kHz)を利用する低速PLCに
対し、高周波帯(2〜30MHz)を利用する。現在、最大200Mbps級の通信速度を
達成する技術が開発されているが、現行法(電波法)では実用化が認められて
いない。
*2 通信信号を注入した際に副次的に発生する電界・電波であり、発生量が多い
と既存の放送や通信と干渉する原因となる。
*3 電波法無線設備規則第59条ただし書、および総務省告示第87号 等
[別紙]実験の概要(PDF 29.8KB) |