マレーシアLNG社とのLNG売買契約に関する合意覚書の締結について
~長期/短期、Ex-Ship/FOBを組み合わせた契約概念を導入経済的・弾力的なLNG調達をめざす~
平成14年3月8日
東京電力株式会社
東京ガス株式会社
東京電力株式会社と東京ガス株式会社は、本日、マレーシアLNG社(マレー
シア国営石油会社(ペトロナス)の子会社)と、2003年4月から15年間にわた
るLNG売買に関する合意覚書(MOA:Memorandum of Agreement)に調印い
たしました。
両社は、現在、マレーシアLNG社との20年間にわたる(1983年4月~)売
買契約に基づきLNGの共同購入を行っております。
現契約は2003年3月で期限切れとなるため、かねてより契約更改について交
渉してまいりましたが、このたび、3社の間で主な契約条件について合意に達し、
合意覚書の締結に至りました。今後は、今回の合意覚書をもとに、本年末を目途
として売買契約書を締結する予定です。
電力、ガス市場における規制緩和の進展や地球温暖化問題への対応、需要の鈍
化傾向など、エネルギー業界を取り巻く状況が変化するなか、今後の日本のエネ
ルギー需給の見通しは非常に不透明であり、燃料や原料の調達面においても、安
定供給を第一とした従来までの長期・固定的な形態から、より経済的・弾力的で
柔軟性に富んだ形態が求められる状況になってきております。
今回の契約更改では、こうした市場の変化に対応し、既存の契約条件を大幅に
見直すことで弾力性に優れたものとすることができました。今回合意された主な
契約条件の特徴は以下のとおりです。
1、短期数量という新たな契約概念を導入することにより、引取数量の弾力性
が大幅に拡大しLNG需要の変動に対処しやすくなること。
2、全量Ex-Shipベースだったものを一部FOB化し、両社がそれぞれ子会社を
通じて保有するLNGタンカーで輸送することにより、より弾力的なLNG調
達とコストダウンが可能となること。
3、上方弾力性、下方弾力性を拡大することにより、年度内の短期的な調達量に
おいても弾力的な運用が可能になること。
両社は今後とも、経済性と安定供給の確保を前提に、より弾力的なLNG調達
をはかってまいります。
以 上
基本合意された主な契約条件
1、契約当事者:売主…マレーシアLNG社
買主…東京電力株式会社、東京ガス株式会社
2、契約期間:2003年4月~2018年3月(15年間)
3、契約数量:下表のとおり
(単位:万t/年)
東京電力 東京ガス
Ex-ship数量 360 200
FOB数量 120 60
合 計 480(70) 260(50)
(うち短期数量)
*短期数量については最大引取量を示してあり、両社のそれぞれが4年間の引取
数量を各年度別に、任意に決定する権利を持つ。
4、輸送手段:Ex-ship…売主がLNGタンカーを手配し、両買主向け数量を輸送。
FOB…両買主が各々LNGタンカーを手配し自社向け数量を輸送。
(FOBでは各々の子会社が保有するLNGタンカーを使用予定)
以 上
<参考>
1、既存売買契約の概要
契約当事者:売主…マレーシアLNG社
買主…東京電力株式会社、東京ガス株式会社
契約期間:1983年4月~2003年3月(20年間)
契約数量:東京電力480万t/年、東京ガス260万t/年
受渡形態:全量Ex-ship
2、マレーシアLNG社の概要
会社名:Malaysia LNG Sdn. Bhd.
本社所在地:マレーシア国サラワク州ビンツル
事業内容:天然ガスの調達、LNGの液化・販売
資本金:6億マレーシアリンギ(約200億円)
出資比:
ペトロナス :65%
シェル・ガスBV(オランダ):15%
三菱商事(株) :15%
サラワク州政府 :5%
会社設立:1978年6月14日
3、用語解説
(1)Ex-ship取引
・LNGが買主の受入基地に到着し、荷揚げされた時点で、その所有権な
らびに危険負担が売主から買主に移転する取引。売主側が海上保険、海
上輸送の手配を行い、保険料や運賃の負担は売主が負う。
(2)FOB(Free on Board)取引
・LNGが売主の出荷基地でLNGタンカーに積み込まれた時点で、所有権ならび
に危険負担が売主から買主に移転する取引。買主側が海上保険、海上輸送の手
配を行い、保険料や運賃の負担は買主が負う。
(3)上方弾力性・下方弾力性
・一般にLNGの売買契約に規定されている、年間契約量に対する取引量の増加
/削減許容量。各許容量の幅や行使にあたっての条件等、具体的な規定内容は
各契約毎に売主・買主間で決定されるため一律ではない。
以 上
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