平成13年3月29日
東京電力株式会社
当社はこのたび、さらなる競争力強化をめざした利益・財務体質改善目標と、
その達成に向けた経営効率化計画、電力需給・設備計画をまとめた「平成13年度
経営計画」を策定いたしました。
電気事業をめぐる情勢は、電力小売自由化のスタートから1年が経過し、競争
が本格化していることや、経済の低成長化や電力需要の構造変化により需要の増
勢が鈍化しているなど大きな変化を迎えています。
当社は、こうした経営環境の変化を自らの変革につなげ、新規電源開発計画の
見直しを含めた一層の経営効率化に取り組むとともに、お客さまにとって魅力あ
る料金・サービスメニューをご提供し、将来にわたってお客さまに選ばれ続ける
ための競争力強化にチャレンジしてまいります。
加えて、発・送・配電を一貫した経営の強みを活かし、効率性を追求しつつ、
安定供給の確保や原子力を中心とする電源のベストミックス推進や環境対策な
ど、これまで堅持してきた電気事業の使命を引き続き着実に果たし、お客さまと
社会から確かな信頼をいただけるよう努めてまいります。
なお、今回計画の策定にあたっては、21世紀における持続的な発展をめざして
新たに策定した「経営ビジョン」にもとづいて、前回計画の目標値を大幅に上方
修正し、よりチャレンジングな目標設定を行っております。
1.利益・財務体質改善目標を大幅に上方修正し、よりチャレンジングな目標に
前回計画の利益・財務体質改善目標を大幅に上方修正し、経営体質と競争力
のさらなる強化をめざします。具体的な目標(平成13~15年度の3年間平均)
は以下のとおり。
・ 経常利益 → 3,000億円以上
・ ROA(総資産利益率) → 4%以上
・ ROE(株主資本利益率) → 9%以上
・ フリーキャッシュフロー → 4,500億円以上
・ 有利子負債残高 → 3,000億円以上削減
・ 自己資本比率 → 16%台(平成15年度末)
東京電力グループ全体の競争力強化、収益性向上をめざした経営強化を行っ
てまいります。具体的な目標(平成13~15年度の3年間平均)は以下のとおり。
・ 連結ROA(総資産利益率) → 4%以上
・ 連結フリーキャッシュフロー → 4,500億円以上
2.効率化をさらに加速し、13年度の設備投資計画は22年ぶりに1兆円以下に
設備投資については、これまで蓄積してきたメンテナンス診断技術を活かし
て既存設備を最大限活用することに加え、計画・設計・契約・施工の各段階に
おいて、従来以上にコストダウンを徹底するとともに、需要動向の不確実性の
増大に対応した柔軟で効率的な設備形成を推進することにより、平成13~15年
度の3年間平均で9,000億円以下という目標を設定いたしました。これにもと
づいて平成13年度の設備投資額については、前回計画の1兆600億円程度から
9,700億円程度に削減いたします。
修繕費については、供給信頼度を確保しつつ、設備診断データの評価・分析
にもとづく点検周期の延伸や対象設備の選別、巡視・点検業務の効率化などに
努めることにより、前回計画(平成12~14年度の3年間平均5,900億円程度)
に比べ約600億円減の5,300億円程度(平成13~15年度の3年間平均)といたし
ます。
3.13年度における4つの重点的な取り組み
平成13年度の諸計画を進めるにあたり、新たな「経営ビジョン」にもとづいて、
以下の4つの重点課題に積極的にチャレンジしてまいります。
(1)お客さまから選択していただくために
お客さまから引き続き当社を選んでいただけるよう、自由化部門の営業活動
をさらに強化するとともに、高圧・低圧のお客さまに対しても、選択の幅が広
がる料金メニューやお客さまのニーズにお応えできるサービスを充実してまい
ります。
さらに、今後とも電源のベストミックスを追求することにより、原油価格・
為替レートなどの変動が電気料金に与える影響を低減するとともに、料金の低
廉化に向けて努力してまいります。
(2)競争力の強化と収益性の向上
本格的な競争時代に対応し、電気事業における競争力強化と収益性向上をは
かるため、合理的な設備形成・設備保全方策、ならびに設備投資抑制などの検
討を進め、さらなる原価低減へチャレンジしてまいります。
また、電力自由化にともない当社が新しいフィールドへ飛び出すチャンスが
広がったため、これまで培ってきた経営資源やグループ全体の総合力を活かし
つつ、新たな成長・発展につながる新規事業開発や海外事業展開を推進します。
(3)お客さまと社会からの信頼を確かなものに
発・送・配電を一貫した設備の形成・運用と、電源のベストミックスを実現
することにより、安定供給やエネルギーセキュリティ確保という、従来より堅
持してきた課題に引き続き取り組んでまいります。
また、原子力への信頼回復に全力を尽くすとともに、CO2排出抑制・大気
保全などの環境対策についても、経営の重要テーマとして取り組み、よりよい
環境の実現に貢献いたします。
(4)21世紀の当社の発展を支える経営基盤強化
店所経営の強化・効率化、販売営業力とお客さまサービスの向上をはかるた
め、都区内4支店を統合(平成13年6月末実施目途)するなど、新しい時代に
ふさわしい組織・業務運営体制を構築します。
また、ITの活用拡大や効率化・サービス充実につながる技術開発を進め、
21世紀にも発展し続ける企業をめざします。
4.平成22年度までの販売電力量・最大電力の年平均増加率は過去最低
経済成長の鈍化や電力需要の構造変化などにより、販売電力量・最大電力と
もに増勢は緩やかになることが見込まれますが、最大限の営業努力で競争に勝
ち抜くことを前提に、平成11~22年度の年平均増加率は、販売電力量1.7%(気
温うるう補正後)、最大電力1.6%(気温及び一過性要因補正後)と見通してい
ます。
今回の年平均増加率は、販売電力量・最大電力ともに過去最低水準であった
前回計画をさらに下回るものであり、3年連続の下方修正となります。
5.将来の設備過剰リスクを勘案し、新規電源開発計画を見直し
最大電力が平成8年7月以降4年連続で記録を更新しておらず、需要増勢が
鈍化している一方で、これまで電源設備は計画的に開発しており、当面の需要
増に対応できるだけの設備は確保している状況にあります。
こうしたなか、将来的な設備過剰リスクを回避し、一層のコスト低減をはか
るために、新規電源開発計画の見直しを行い、柔軟で効率的な設備形成を進め
てまいります。
今回計画では、今後10年間(平成13~22年度)で1,687万kWの電源開発を行
いますが、これを前回計画と比較すると、平成21年度断面で349万kWの下方修
正となります。
以 上
|