プレスリリース 2000年

国際大電力システム会議の展示会「CIGRE・EXPO2000」へのNAS電池の出展について

~海外普及を促進し、量産効果によるコストダウンをめざして~



                                                            平成12年8月24日
                                                            東京電力株式会社

 当社は、「NAS(ナトリウム-硫黄)電池」の研究開発に昭和59年度から日本ガ
イシ株式会社と共同で取り組んでおりますが、海外における普及促進をめざして、送
変電新技術の国際交流会議である国際大電力システム会議の展示会「CIGRE・EXPO2000」
(8月28日~8月31日、フランス・パリ)にNAS電池を出展することといたしまし
た。

 NAS電池は、鉛電池に比べて電力貯蔵密度が約3倍と高く、コンパクトで自己放
電がなく長寿命という特長があります。このため、電力負荷が少なく電気料金が比較
的安い夜間に充電し、昼間の電力ピークや停電時に電気を利用することで、昼夜間の
格差が大きい電力負荷の平準化や電力設備の効率的な運用、さらには非常時の電源と
しての役割が期待できます。当社では、現在8カ所で実証試験(13,450kW)を実施し
ておりますが、実用性については目途がついているものの、建設コストが約70万円/
kWと割高で、量産による一層のコストダウンが必要となっております。
 一方、欧米では、電力自由化を背景に、需給が逼迫するピーク時の電気料金が急騰
するなどの問題が発生しており、価格安定化を目的としてピーク時に自前の発電設備
で供給を賄うことができる分散型電源に注目が集まっております。また、情報化社会
の進展に伴い、データセンターやコンピュータセンターなど、品質・信頼性の高い電
気を求めるお客さまから無停電電源装置や非常用電源への需要が高まっております。

 このため当社は、NAS電池がこのような海外の電力ニーズにも適合していると考
え、「CIGRE・EXPO2000」などの場を活用し、NAS電池の効率やコンパクト性、環境
性などを積極的にPRし、海外での普及拡大をめざすことといたしました。こうした
取り組みにより、NAS電池を年間で約5万kW以上生産し、建設コストを揚水式発電
所と同程度の約25万円/kW以下まで低下することをめざしたいと考えております。

 今回の展示会では、50kWのモジュール模型(縮尺2.5分の1)や、電池のカットモ
デルなどを展示いたします。また、変圧器の容量や台数、希望バックアップ時間を入
力すれば、NAS電池を配置した無停電変電所の景観やレイアウトを3次元で表示す
るパソコンシミュレーションも準備しており、騒音が無いことや、省スペース性が実
感することができます。

 当社は、今後、さらなる研究・検証を重ねるとともに、海外への普及による量産効
果も利用してコストダウンをすすめ、電力設備の合理的形成にNAS電池を活用して
いきたいと考えております。

                                                                      以 上

<参 考>

1.国際大電力システム会議「CIGRE」の概要

(1)活動内容

  国際大電力システム会議(CIGRE:Conference Internationale des Grands     
  Reseaux Electriques a haute tension)とは民間の非営利団体で、世界各国のエ
 ンジニアの技術交流の活性化をはかり、多様性に富んだ送変電に関する技術的問題
 を討議する目的で、1921年にフランスで設立された。会員数は760団体50機関、個
 人会員約3,300人(1996年現在)にのぼり、全世界において国、電力会社、メーカ
 ーという立場を超えて送変電技術の発展に貢献している。

(2)「CIGRE・EXPO2000」の概要
 
 o開催期間(現地時間):2000年8月28日(月)~8月31日(木)
 o会場:パリ国際会議場(フランス)
 o当社の出展内容
   「NAS電池関連」
  ・50kWモジュール模型(縮尺1/2.5)、電池カットモデルなど展示物
  ・システムの特長や運転実績などの展示パネル
  ・多機能変電所設計シミュレーション(3次元映像による体感シミュレーション)
  ・パソコンによるNAS電池の活用法紹介
  ・NAS電池の紹介ビデオ
   「NAS電池以外」
  ・UHV送変電設備概要の展示パネル
  ・500kVCVケーブル模型

2.NAS電池システムの特長

 NAS電池は、深夜に電気を充電・貯蔵し、昼間のピーク時などに放電を行うもの
で、揚水式発電所と同様の機能を果たすことができ、しかも、都市部などの需要地や
その近傍に設置できるのが特長である。昼夜間の格差が大きい電力負荷の平準化や電
力設備の効率的運用に役立ち、設備投資の抑制につながるほか、風力や太陽光発電な
どの自然エネルギーと組み合わせて、不安定な電源を安定化したり、非常時の電源と
して活用することもできる。

(具体的特性)
 ・鉛電池の約3倍の高エネルギー密度のため、変電所や需要地の狭いスペースにコ
  ンパクトな設置が可能。
 ・高い充放電効率でかつ自己放電がないため効率的に電気を貯蔵することが可能。
 ・2,250回以上の充放電が可能で、長期耐久性に優れる。
 ・完全密閉型構造の単電池を使用しているため環境に優しく、メンテナンスフリー。
 ・短期間での設置が可能。

3.当社のNAS電池実証試験設備(現在運転中の設備)

   実証試験場所       NAS電池システムの種類       運転開始      備考

  川崎電力貯蔵連系   ○実用原型機 50kW級(屋内)     H4年12月~
  試験場        ○変電所設置用 500kW級(屋内)  H7年8月~
  (神奈川県川崎市)  ○需要家設置用 250kW級(屋外)  H7年12月~

  TEPCO 新エネルギー  ○需要家設置用 50kW級(屋外)   H7年12月~
  パーク
  (千葉県富津市)

  綱島変電所      ○変電所設置用 4000kW級      H9年3月~  H10年
  (神奈川県横浜市)                        (屋外)  (2000kW×2)  1月完成


  鬼怒川発電所     ○需要家設置用 200kW級(屋外)  H10年1月~
  (栃木県鬼怒川市)   〔倍出力タイプ〕


  東光電気株式会社   ○需要家設置用 2000kW級      H11年6月~
  埼玉事業所                            (屋外)
  (埼玉県蓮田市)   (綱島変電所より移設)

  大仁変電所      ○変電所設置用 6000kW級      H11年3月~  H11年
  (静岡県田方郡)                         (屋外)  (2000kW×3)  10月完
                                                                    成

  技術開発センタービ  ○需要家設置用 200kW級       H11年9月~
  ル                          (建物内1F)
 (神奈川県川崎市)

  関電工本社ビル     ○需要家設置用 200kW級       H11年11月~
 (東京都港区)                         (地下1階)

                          合計 8カ所、13,450kW
        
                     








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