プレスリリース 2000年

福島第一原子力発電所2号機の手動停止の原因と対策について



                         平成12年8月11日                                                  
                                                  東京電力株式会社

  すでにお知らせいたしましたとおり、当社・福島第一原子力発電所2号
機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)は定格出力にて運転中のと
ころ、7月23日午後8時30分頃、タービン制御油の油面に低下傾向が認め
られ現場調査を行った結果、同9時03分頃にタービンバイパス弁付近から
タービン制御油の漏えいが確認されたため、同9時17分に原子炉を手動停
止しました。
 また、その後、運転員による停止後の現場パトロールを行ったところ、
同10時20分頃、原子炉建屋1階の制御棒駆動水圧系制御ユニット付近にお
いて水たまりを発見いたしました。
                                       (7月23,24日お知らせ済み)

  タービン制御油の漏えいおよび制御棒駆動水圧系制御ユニットからの漏
えい(水たまり)の調査結果は、以下のとおりです。なお、いずれの事象
も7月21日に発生した茨城県沖地震の影響はなかったことを確認いたしま
した。

1.タービン制御油漏えいに伴う停止について
 調査の結果、タービン制御油の漏えいはタービンバイパス弁用蓄圧槽
(アキュムレーター*1)3台のうち、1台のアキュムレーターとドレン配
管*2の継手溶接部近傍の周方向のひび(長さ3.7cm)からであることが判
明しました。
 この継手溶接部近傍のひびを詳細に調べたところ、ひびの破面には振動
による高サイクル疲労の特徴である縞状模様が確認され、地震に伴う過大
応力で破断したものではないことを確認いたしました。
 プラントの起動・停止時において、タービンバイパス弁が開いている際
に蒸気が流れることによる振動と、当該配管の固有振動数がほぼ同じであ
り、共振しやすい状態であったことから、溶接部近傍に繰り返し応力が加
わり、微小なひびが発生したものと推定されます。更に、その後の運転時
の振動によりこのひびが進展し貫通したものと推定いたしました。
 なお、今回の調査における浸透探傷検査の結果、他の制御油配管の逆止
弁溶接部近傍にも同じ原因で発生したと考えられる微小なひびが見つかっ
ております。
 対策としては、これら当該部の配管を取り替えるとともに共振を避ける
ためタービン制御油配管のサポート等の見直しを実施することといたしま
す。

2.制御棒駆動水圧系制御ユニットからの漏えいについて
 調査の結果、制御棒駆動水圧系制御ユニットのスクラム時に使用する排
水ラインに設置されている逆止弁137台のうち、1台の逆止弁フランジ部の
ボルトが緩んでいました。
 このため、今回の原子炉手動停止の際に逆止弁フランジ部に排水による圧
力によってすきまが生じたことから、制御棒駆動機構内の水が当該弁から
漏れたものであることが判明いたしました。
 対策としては、逆止弁組立時のボルト締付けおよびフランジ部すきまの
確認において作業実施者と品質管理担当者でダブルチェックを行うこと、
および最終段階において作業実施者と当社監理員で再確認を行うなど作業
管理方法の改善、強化を実施することといたします。

  なお、資源エネルギー庁による国際原子力事象評価尺度(INES)暫
定評価では、0-となっています。
                                                            以 上


<参考>

*1 アキュムレーター
  制御油圧の脈動を抑え、一時的な圧力変動を抑制するためのものです。

*2 ドレン配管
  アキュムレーター点検時に制御油を抜くための配管

        
                     








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