プレスリリース 2000年

原子力事業者防災業務計画の作成ならびに提出について



                                                  平成12年6月16日
                                                  東京電力株式会社


 当社は、原子力災害対策特別措置法に基づき、「原子力事業者防災業務
計画」を福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、柏崎刈羽原子力
発電所ごとに作成し、本日、通商産業大臣に提出いたしました。
 原子力事業者防災業務計画は、昨年12月に公布された原子力災害対策特
別措置法により、各原子力事業者に策定が義務付けられているもので、地
元自治体との協議を経て、本日の法施行にあわせて提出したものです。
 当社では、従来、原子力災害への対策については、災害対策基本法の体
系に基づき自然災害も含めた防災業務計画の一環として定めていましたが、
このたびの原子力災害対策特別措置法制定に基づき、原子力災害対策につ
いては、原子力事業者防災業務計画として独立させるとともに充実・強化
をいたしました。

  当社の原子力発電所におきましては、多重防護の設計や、運転員・保修
員の厳しい教育訓練など、設計、建設、運転の各段階での厳重な安全対策
等により、高い安全性を確保するよう努めてまいりました。今後も引き続
き安全の確保を第一に原子力発電所の運転に取り組んでまいりますが、そ
れとともに、今回策定した原子力事業者防災業務計画に基づき、万が一の
事故に対しても備えを充実させ、地域の方々にさらにご安心いただけるよ
う努めてまいります。
                                                            以 上

<参考>

【今回の主な充実・強化点】

 о通報基準、緊急事態宣言基準の明確化と緊急時態勢区分の見直し
 ・原子力災害対策特別措置法において、事業者が国、自治体等に通報
    すべき事象(特定事象)と、内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を
   行う事態となる事象を規定。
   →これに合わせて緊急時態勢の区分を変更
    第1次緊急時態勢:通報すべき事象が発生した場合
    第2次緊急時態勢:原子力緊急事態宣言が行われた場合

 о原子力防災管理者の選任
  ・原子力災害対策特別措置法において、原子力防災組織の統括、特定
   事象発生時の通報等の職務を行う原子力防災管理者及びその代行・
   補佐を行う副原子力防災管理者を発電所毎に設置することを規定。
   →原子力防災管理者は発電所長、副原子力防災管理者は副所長、部
    長、副部長等から選任。

 оオフサイトセンターへの原子力防災要員の派遣
    ・原子力災害対策特別措置法において、発電所の近傍にオフサイトセ
   ンターを設置することを規定。
  ・オフサイトセンターは原子力災害が発生した際に、国、自治体、事
   業者等が一堂に会して、関係機関が一体となって緊急事態応急対策
   を実施。
   →このため、事業者からもオフサイトセンターに原子力防災要員の
    派遣、原子力防災資機材の貸与を実施。

  о防災訓練の充実
  ・原子力災害対策特別措置法において、国が策定した計画に基づく防
   災訓練の実施が明記。
   →事業者も計画策定段階から訓練に参画する。
  ・原子力災害対策特別措置法において、事業者の通報の義務が明記。
   →特定事象の判断訓練を含めた通報訓練の実施を原子力事業者防災
   業務計画に記載

  о原子力災害時の原子力事業者間協力の明記
    ・原子力災害対策特別措置法において、原子力事業者は、他の原子力
   事業者で原子力災害が発生した場合は、原子力防災要員の派遣、原
   子力防災資機材の貸与等の必要な協力をするよう努めることが明記。
   →9電力会社、日本原電、電源開発及び日本原燃の12社は原子力災
    害時の原子力事業者間協力協定を締結し、周辺地域の環境放射線
    モニタリングや汚染検査等を行うための協力要員の派遣、資機材
    の貸与等の電力業界全体で対応する体制を整備。

                              以 上





            原子力事業者防災業務計画の要旨について

                                平成12年6月16日
                                東京電力株式会社         

 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第7条第1項の規定に基づき、
福島第一原子力発電所,福島第二原子力発電所及び柏崎刈羽原子力発電所の原子力事業者
防災業務計画を作成しましたので,同条第3項の規定に基づき,その要旨を以下のとおり
公表いたします。

1.作成の目的
 福島第一原子力発電所,福島第二原子力発電所及び柏崎刈羽原子力発電所の原子力事
業者防災業務計画は,それぞれの発電所における原子力災害予防対策,緊急事態応急対
策及び原子力災害事後対策その他の原子力災害の発生及び拡大を防止し,並びに原子力
災害の復旧を図るために必要な業務を定め,原子力災害対策の円滑かつ適切な遂行に資
することを目的とする。

2.作成年月日
 平成12年6月16日

3.構成
 第1章 総則
  第1節 原子力事業者防災業務計画の目的
  第2節 定義
  第3節 原子力事業者防災業務計画の基本構想
  第4節 原子力事業者防災業務計画の運用
  第5節  原子力事業者防災業務計画の修正

 第2章 原子力災害予防対策の実施	
  第1節 防災体制
  第2節 原子力防災組織の運営
  第3節 放射線測定設備及び原子力防災資機材の整備
  第4節 原子力災害対策活動で使用する資料の整備
  第5節 原子力災害対策活動で使用する施設及び設備の整備・点検
  第6節 防災教育の実施
  第7節 防災訓練の実施
  第8節 関係機関との連携
  第9節 周辺住民に対する平常時の広報活動
 
 第3章 緊急事態応急対策等の実施	
  第1節 通報及び連絡
  第2節 応急措置の実施
  第3節 緊急事態応急対策
 
 第4章 原子力災害事後対策
  第1節 発電所の対策
  第2節 原子力防災要員の派遣等	
 
 第5章 その他
  第1節 他の原子力事業者への協力

4.主な内容
(1)原子力災害予防対策
 イ.緊急時態勢の区分
  原子力災害が発生するおそれがある場合又は発生した場合に,事故原因の除去,原
 子力災害の拡大の防止その他必要な活動を迅速かつ円滑に行うため,原子力災害の情
 勢に応じて次に掲げるとおり緊急時態勢を区分する。
 第1次緊急時態勢:原子力災害対策特別措置法第10条の通報すべき事象(特定事
 象)が発生した場合
 第2次緊急時態勢:原子力災害対策特別措置法第15条に基づく原子力緊急事態宣
 言が発出される事態(原子力緊急事態)に至った場合
 ロ.原子力防災組織
  発電所及び本店に原子力災害の発生または拡大を防止するために必要な活動を行う
 原子力防災組織を設置する。
 ハ.原子力防災管理者・副原子力防災管理者の職務
  原子力防災管理者は,発電所長があたり,原子力防災組織を統括管理する。また,
 副原子力防災管理者は,原子力防災管理者を補佐し,原子力防災管理者が不在の場合
 にはその職務を代行する。
 ニ.通報連絡体制及び情報連絡体制
  原子力防災管理者は,特定事象の発生について通報を受けたとき,又は自ら発見し
 たときに際し,通報連絡体制を整備する。また,通報を行った後の社外関係機関及び
 社内への報告及び連絡について連絡体制を整備する。
 ホ.放射線測定設備及び原子力防災資機材等の整備
  原子力防災管理者は,放射線測定設備(モニタリングポスト)を整備,維持すると
 ともに,原子力防災資機材及び資料等を整備する。
 ヘ.原子力災害対策活動で使用する施設及び設備の整備・点検
  原子力防災管理者は,緊急時対策室,気象観測設備及び緊急時対応情報表示システ
 ム等を整備・点検する。
 
 ト.防災教育及び防災訓練の実施
  原子力防災管理者は,原子力防災組織及び活動に関する知識並びに放射線防護に関
 する知識等について防災教育を実施するとともに,緊急時演習(総合訓練)及び通報
 訓練等を実施する。また,国又は地方公共団体が主催する原子力防災訓練に参加する。
 チ.周辺住民に対する平常時の広報活動
  原子力防災管理者は,平常時より,発電所の周辺住民に対し,国,地方公共団体と
 協調して放射性物質及び放射線の特性等についての正しい知識の普及・啓発を行う。

(2)緊急事態応急対策
 イ.通報の実施
  原子力防災管理者は,特定事象の発生について通報を受け,又は自ら発見したとき
 は,15分以内を目途として,関係機関にファクシミリ装置を用いて一斉に送信する。
 また,この通報を行ったときは,その旨を報道機関へ発表する。
 ロ.緊急時態勢発令時の対応
  原子力防災管理者は,特定事象の通報を行ったときは,緊急時態勢を発令し,緊急
 時対策本部を設置する。
 ハ.情報の収集と提供
  発電所対策本部の各班長は,事故及び被害状況等を迅速かつ的確に収集し,発電所
 対策本部長に報告する。また,その情報を定期的に収集し,社外関係機関に連絡する。
 ニ.応急措置の実施
  発電所対策本部の各班長は次の応急措置を実施する。
 (a)発電所敷地内の原子力災害対策活動に従事しない者及び来訪者等に対する避難
 (b)発電所内及び発電所敷地周辺の放射線並びに放射能の測定等による放射能影響範
    囲の推定
 (c)負傷者及び放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者の救出及び医療活動
 (d)火災状況の把握と迅速な消火活動
 (e)不必要な被ばくを防止するための,立入り禁止措置の実施並びに放射性物質によ
    る予期しない汚染が確認された場合の拡大防止と除去
 (f)避難者及び原子力災害対策活動に従事している要員の線量当量評価並びに放射性
    物質による汚染が確認された場合の拡大防止と除去
 (g)緊急時態勢が発令された場合の事業者プレスセンターの開設及びオフサイトセン
    ターでの広報活動
 (h)中央制御室の監視及び巡視点検の実施によるプラント状況把握及び応急復旧計画
    に基づく復旧対策の実施
 (i)事故状況の把握,事故の拡大防止及び被害の拡大に関する推定による必要な措置
    の検討・実施
 (j)原子力防災資機材及びその他原子力災害対策活動に必要な資機材の調達・輸送
 (k)事業所外運搬に係る事象が発生した場合の要員派遣並びに運搬を委託された者等
    との協力による原子力災害発生防止の措置を実施
 (l)オフサイトセンターの運営の準備に入る体制を取る旨の連絡を受けた場合の原子
    力防災要員の派遣及び原子力防災資機材の貸与等の実施
 ホ.緊急事態応急対策
 (a)第2次緊急時態勢の発令
    発電所対策本部長は,原子力緊急事態の発生に至った場合,社外関係機関にその
    旨を報告し,第2次緊急時態勢を発令する。
 (b)原子力災害合同対策協議会等との連絡報告
    発電所対策本部長は,オフサイトセンターに派遣されている原子力防災要員と連
    絡を密に取り,原子力災害合同対策協議会から発電所に対して要請された事項に対
    応するとともに,原子力災害合同対策協議会に対して必要な意見を進言する。
 (c)事業所外運搬事故における対策
    発電所対策本部長及び本店対策本部長は,運搬を委託された者と協力し,原子力
    施設における原子力災害に準じた緊急事態応急対策を主体的に講じる。

(3)原子力災害事後対策
  原子力防災管理者は,原子力緊急事態解除宣言があった時以降において,原子力災害
 の拡大の防止又は原子力災害の復旧を図るため,原子力災害事後対策を実施する。
 イ.復旧対策
  発電所対策本部長は,原子炉施設の損傷状況及び汚染状況の把握等について復旧計
 画を策定,実施する。
 ロ.広報活動
  発電所対策本部長及び本店対策本部長は,被災者への相談窓口の設置及び報道機関
 への情報提供等の広報活動を実施する。
 ハ.環境放射線モニタリング,汚染検査及び汚染除去
  原子力防災管理者は,社外関係機関に原子力防災要員の派遣及び原子力防災資機材
 の貸与を行い,環境放射線モニタリング,汚染検査及び汚染除去等の必要な措置を講
 じる。

(4)他の原子力事業者への協力
  他の原子力事業者の原子力事業所で原子力災害が発生した場合,原子力防災管理者は,
 発災事業者からの要請に応じ,緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策が的確かつ円
 滑に行われるようにするため,環境放射線モニタリング,周辺区域の汚染検査及び汚染
 除去,原子力防災要員の派遣,原子力防災資機材の貸与その他必要な協力を行う。

                                                                         以 上




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