平成12年3月21日
東京電力株式会社
本日、3月21日より、改正電気事業法が施行されます。
いよいよ小売自由化がスタートし、自由化対象のお客さまと新しい需給
契約が始まります。電気事業は全く新しい時代を迎えたと言えると思いま
す。この記念すべき日にあたり、皆さん方に、どういった心構えで仕事を
していただきたいか、私の考えを一言お話したいと思います。
自由化の方向が決まって以来、新聞などで報道されているように、国内
・国外の有力な企業が電力市場への参入に名乗りをあげておられます。
お客さまの方でも、電力コストの削減のために、この競争という新しい
状況を積極的に活用しようという動きが急速に拡がっております。
現実に、今日からすぐに、たくさんの新規事業者が参入してくるとは思
えません。しかし、準備が整い次第、そして、成功事例が現実に見え始め
ますと、一気に増えることも考えられます。これからの競争は私どもにと
ってかなり厳しいものになることは覚悟しておく必要があると思います。
ところで、お客さまにとっての自由化のメリットとは、何と言っても商
品やサービスの選択の幅が拡がることだと思います。したがいまして、私
ども自身も、お客さまのニーズにお応えするためには、たくさんの料金や
サービスのメニュー・選択肢を増やす必要があります。
今回の自由化というのは、特別高圧のお客さまに限られるわけですが、
それ以外のお客さまにも、同じようにメニュー多様化などのメリットを享
受していただけるよう対応したいと考えております。
こうした考え方のもとに、当社は、自由化の対象のお客さまには、昨年
暮れに接続供給約款、標準約款、あるいは新しい料金、サービスメニュー
を届出、公表しておりますが、高圧以下の、家庭に至るお客さまにつきま
しても、本日新しい選択約款を届け出、そして、公表したいと思っており
ます。
自由化のスタートにあたりまして、私から皆さんにお願いしたいのは、
これからも引き続き東京電力を競争の中で選択していただくために、一言
でいえば、お客さまの視点に立った、あるいは、お客さま側から見た、こ
れまでと向きが逆になる位の意識のもとに、今の仕事のやり方を見直して
ほしいということです。
例えば、標準処理日数というのがありますが、これは私たちが洋服やY
シャツを頼む時や、いろいろな仕事をお願いする時には、大体どこでもあ
るものですが、この標準処理日数が当社の都合だけで決められており、本
当にお客さまのご要望に沿っているのかどうか、競争者が出てきた時に、
その競争者に負けないスピードで事務処理等が行われた結果、こういう日
数になったのか、この機会に、是非点検してほしいと思います。もし、お
客さまの希望に沿っていないのであれば、希望にあわせて処理するために
は、仕事のやり方をどう変えればよいのか、考えていただきたいと思いま
す。
もう一つ例を申し上げますと、皆さんが日々お客さまから電話を受けた
時やお会いした時に、様々なご要望をお聞きしていると思いますが、その
際にこれらの日々の当社への要望の中から、私どもの新しいサービスを充
実させる、新しい商品・サービスを作るのに役立つものがないかという視
点で、もう一度チェックしてほしいと思います。
今回の電気事業法の改正で、小売自由化と同時に、一つの特徴は、私ど
ものやれる仕事も自由になったということです。内線設備に関わるお客さ
まの家の中のことであっても、お客さまが希望されるありとあらゆるサー
ビスについて当社が直接行えるようになっております。今、当社のメニュ
ーに十分反映しきれていないものについても、どんどん取り組んでいける
わけです。
対価をいただいてお客さまの希望にお応えする、お金をいただくに値す
る新しいサービスを作れないか、そういう視点でアイディアをどんどんお
出し頂ければと思っております。
発電部門をはじめ、お客さまと直接接することが少ないところで仕事を
されている皆さんも基本は同じです。お客さまに選択していただくために、
そして少しでもコストを引き下げるために何か改善すべきことはないか、
競争相手の仕事のやり方で参考にすべきものはないか、まねの出来るもの
はないか、という視点で是非考えていただければと思います。
当然のことですが、一度決めたことであっても、状況が変われば、それ
に応じてどんどん変えていく、マーケットインの発想で絶えず見直してい
く、そして、よりよいものに日々していくという考え方で仕事を進めてい
きたいと考えております。
今日を含めて打ち出しておりますメニューも、お客さまのご要望に応じ
て、出来るだけご要望に沿う形に改善していきたい、見直していきたいと
考えています。
今やインターネットの時代、あるいは、IT革命の時代だと言われます
が、インターネット上の市場もいろいろ開かれておりますが、この特徴と
いうのは、当社でもよく言っている「お客さま本位の徹底」だと言われて
おります。むしろ供給者・提供者とお客さまが共同で商品・サービスを作
り上げるという形での商品・サービスがどんどん増えている。お客さまの
助言やご意見・意思によってひと味違う新しい商品が出せる企業が選ばれ
る時代になっていると思っております。
いろいろ申し上げましたが、「本格的な自由化のスタートにあたって、
従来のように一つの責任を持った会社がお客さまを公平に扱うために決め
られたことをきちんとやることを、むしろ180度方向を変えて、お客さ
まを起点に、お客さまの側からの仕事に組みかえていく、それを基に第一
線現場から幹部、あるいは支店本部、そして本店に向かって、その意見を
反映して、全体としてお客さま・社会の意向に沿った商品・サービスを提
供できる会社にしていきたいと思います。
競争に打ち勝ち、その中でよい会社にするために、皆さんに、これから
いろいろお願いをすることも多くなると思いますが、名実ともに「東京電
力は自由化によって良くなった、変わった」と評価されるように、あるい
は、「若々しくなった、非常に機敏な動きをする会社になった」という評
価を得られるように、東京電力の第二の創業期とも言える、この自由化の
スタートの日に、皆さんと一緒に力を合わせてやることをお互いに確認し
合いたいと思います。
お客さまの満足と喜びが手応えとなって伝わって、仕事をすることに、
日々感動を覚える、そうした毎日になりたいものだと願っております。
私自身も率先してお客さま対応などにあたるつもりです。これからも、
機会をとらえて、皆さんと意見を交換しあいながら、取り組んでいきたい
と考えております。どうかよろしくお願いいたします。
以 上
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