平成12年3月13日
自然エネルギー推進市民フォーラム
東京電力株式会社
「自然エネルギー推進市民フォーラム」と東京電力は、平成9年度から、「太
陽光発電普及推進プロジェクト」をすすめてまいりましたが、同プロジェクトの
計画期間である3年がこの3月で終了することから、去る3月11日(土)に、こ
れまでの活動を総括するシンポジウムを開催し、その成果についてご報告いたし
ました。
当プロジェクトは、平成8年に、「自然エネルギー推進市民フォーラム」の母
体である「市民フォーラム2001」の主催で開かれた「市民によるエネルギー円卓
会議」へ東京電力が出席したことを契機に、その後のほぼ1年にわたるコラボレ
ーション(協働)勉強会での対話を経て、平成9年3月に開始の運びとなったも
のです。
以来3年間を通じて、太陽光発電設置への助成目標である年間50件(150kW相当)
をほぼ達成し、3年間合計で263件、436kW相当に助成するとともに、データ計測・
分析の実施、自発的な資金協力意志(Willingness To Pay:WTP)の調査などによ
って、これまで得られなかった貴重なデータ・知見を得たことは、当プロジェク
トの大きな成果であります。
こうした直接的な成果に加え、「自然エネルギー推進市民フォーラム」と東京
電力の双方は、緊張関係を持った関係を維持しつつ信頼関係を築いていく過程の
中で、環境NGOと電力会社とのコラボレーションのあり方など、多くのことを
学ぶことができたと考えております。
<実績・成果の概要>
1. 環境NGOと電力会社とが対話できるようになったこと
そもそも、コラボレーションによるこのプロジェクトを始めることができたこ
と、さらに、途中お互いの考え方が相違した結果生じた様々な問題を一つひとつ
解決しながら、目標の3年間にわたりプロジェクトを遂行できたということは、
双方が対等な立場で意見交換を通じて解を見いだしていくための信頼関係を構築
できたことの成果であり、今後環境NGOと企業とが新たな関係を築いていく一つの
基準を築いたものと考える。
また、双方とも、発想の異なる主張を聞くことにより、多様な視点を学ぶこと
ができたことも大きな成果であった。
2. 東京電力と環境NGOとの民間協力によって太陽光発電設備の設置助成を実施
したこと
太陽光発電システムの設置に対する助成を、公的機関による助成ではなく、東
京電力という民間企業の寄付により、従来の助成とは別の判断基準(省エネや環
境意識、市民参加への共感、測定への協力など)を盛り込んだ制度を環境NGOが作
成し、実施したことは、プロジェクトの一つの大きな到達点である。
そうした活動を、さまざまな機会を利用して資料配布・広報活動で広く周知し、
「ベランダでできる太陽光発電」というキャッチフレーズの下、プロジェクトの
裾野を広げることにより、3年間を通じて当初の計画通りの助成目標を達成できた
ことは、大きな成果であった。
3. 継続的、自発的に設置者からのデータが得られたこと
プロジェクトから得られた発電実績データや、設置者のその後の省エネ意識変
化アンケート結果等は、継続的、自発的に設置者から提供された。ここで得られ
たデータは太陽光発電システムのピークカット効果の評価などに役立てられてお
り、今後の太陽光発電システムの普及促進に貢献するであろう。
プロジェクト終了後も設置後3年間データ計測を実施することとしており、今後
さらにデータが蓄積されることでさらに効果的な評価ができることを目指してい
る。
4. 日本のWTP調査の実施及びグリーンファンドを設置したこと
WTP調査は、これまで日本で行われたことのない調査であったこと、そして我が
国にもグリーン電力に対するWTPが、グリーン電力を導入している諸外国と同等程
度ある可能性を示したことが、大きな成果であると考えている。
また、グリーンファンドを設置し、500名以上の会員を募ることができたこと、お
よびファンドを利用した助成システムを構築できたことは、調査結果とは別に我
が国にWTPが存在していることの貴重な証左となる。
5. 他の地域にコラボレーションの可能性を波及することができたこと
環境NGOと民間企業とのコラボレーションは、おそらく当例が初めての事例であ
ったと思う。コラボレーションの可能性が他の多くの地域に波及したことは、も
ちろんそれぞれの地域の人々の成果であるが、本コラボレーションが双方の協力
と信頼関係の下で大きな成果を上げることができたことも少なからず影響したの
ではないかと考えている。
「市民フォーラム2001」と、東京電力とのコラボレーションによる「太陽光発
電普及推進プロジェクト」は、この3月をもって終了する。今後は「自然エネル
ギー推進市民フォーラム」が、東京電力とのパートナーシップのもと、引き続き
「データ計測事業」「社会調査」「体験講習会などの環境教育事業」「グリーン
電力を巡る新たなコラボレーション」を展開していく予定である。3年間のコラ
ボレーションで得られた成果を生かし、環境NGOと企業との対話の関係を今後とも
維持・発展させていきたいと考えている。
以 上
〔お問い合わせ先〕
自然エネルギー推進市民フォーラム事務局
〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3F
TEL:03-3834-2427/FAX:03-3834-2406/E-mail:repp@jca.apc.org
|