目的

変電設備の絶縁信頼性を確保しつつ絶縁設計を合理化するため、当社では、変電所で実際に発生する雷過電圧波形(非標準雷インパルス)を耐電圧試験で用いる標準雷インパルスへ換算する波形評価法についての研究を行っています。

概要と成果

波形評価アルゴリズムの開発変電設備の絶縁性能は、主に落雷に起因して発生するインパルス性(瞬間的に高い)過電圧に対して設備が壊れないことが求められますが、実際に変電所で機器に加わる過電圧は、機器構成等により様々な波形となるため、規格で定められた一律の標準雷インパルス波形を用いて耐電圧試験を行うと、裕度の高い絶縁設計となる場合があります。当社では、数百ケースの試験を行い、絶縁特性に影響を与える電圧レベルを明らかにし、継続時間という指標を用いて任意の非標準波形を標準波形に換算する波形評価アルゴリズムを開発しました。これにより変電設備の絶縁信頼性を維持しつつ、機器のコンパクト化、避雷器省略等による合理的な絶縁設計が可能となりました。

図1 標準・非標準雷インパルス波形

図2 波形評価アルゴリズム

図3 高電圧実験室

図4 波形評価法適用により合理化例

成果の活用先・事例

本成果を、全電圧階級の変圧器・GISの耐雷設計検討へ標準適用することで、絶縁設計合理化による原価低減を図っています。また、CIGRE技術報告に採択されることで国際的な標準技術として認識され、IEC規格60071-2にて国際標準化されています。

担当部署

経営技術戦略研究所 技術開発部 次世代電力インフラエリア