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福島第二原子力発電所4号機タービン建屋における作業員の障害に関する
原因と対策について |
平成16年4月23日
東京電力株式会社
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当社・福島第二原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、平成15年2月1日より第12回定期検査を実施しておりますが、平成16年3月26日午前9時20分頃、タービン建屋2階の廃材処理作業エリア内、および廃材処理作業エリア入口にある更衣所において、協力企業の方2名がエアラインマスク※1を装着した後、意識を失い倒れたため、ただちに救急車を要請し、病院へ搬送いたしました。(平成16年3月26日お知らせ済み)
その後、協力企業の2名の方は、回復し退院されました。
原因調査を行った結果、以下のことが分かりました。
エアラインマスクへの空気は、作業用空気を供給する系統の空気を使用しておりますが、この系統に窒素を供給する系統が、直接接続されておりました。
また、二つの系統の接続部には仕切弁と逆止弁を設置しておりますが、結果として、さびの付着により二つの弁が完全に閉じられませんでした。このため、窒素を供給する系統から作業用空気を供給する系統に窒素が流入し、エアラインマスクの酸素濃度が低下したため、酸素欠乏により意識を失い倒れたものと推定いたしました。(3月28日、3月31日お知らせ済み)
作業用空気を供給する系統と窒素を供給する系統を、直接接続する設計となっているのは福島第二原子力発電所4号機のみですが、この設計の採用にあたっては人身安全の観点からの影響評価が不足していたと考えております。
当社は、上記の調査結果を踏まえ、以下の再発防止対策を実施することといたしました。
○ 福島第二原子力発電所4号機においては、作業用空気を供給する系統と、
それに直接接続されている窒素を供給する系統を分離し、作業用空気を供給
する系統への窒素流入を防止する。
○ 当社の全原子力発電所において、エアラインマスクへの空気は、原則として
専用の空気供給機により供給することとし、その運転状況を監視する専任の
監視員の配置、マスク装着前の酸素濃度の測定、バックアップ装置の設置な
どにより安全を確保する。
なお、狭隘な場所や作業エリア近傍全てが汚染区域である場所のように、専
用の空気供給機が設置できない等、やむを得ず作業用空気を供給する系統
の空気を使用する場合には、上記対策に加え、酸素濃度計および圧力計の設
置により安全を確保し、更に作業前に当社の工事主管箇所が安全確保状況を
確認することとする。
また、これらの安全確保については当社制定の調達管理マニュアルおよび
保守管理マニュアルに反映し、作業者へ周知する。
○ 設備を設計する場合には、人身安全の観点からの影響評価を行うことを設
計管理マニュアルに明記し、デザインレビュー委員会※2等において審議する。
なお、原子力安全・保安院による国際原子力事象評価尺度(INES)暫定評価では、評価対象外となっております。
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以 上
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※1:エアラインマスク
放射性物質や粉じん等を体内に吸い込むことを防止するために使用するもので、空気を供給
する器具が附いている顔全面を覆うマスク。
※2:デザインレビュー委員会
設備の新設計、既存の設備の変更等をおこなう際に、その内容や妥当性について検討・審議
する目的で設置された社内委員会。
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