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福島第二原子力発電所2号機の
手動停止の原因と対策について
平成14年11月18日
東京電力株式会社
福島第二原子力発電所


 当社・福島第二原子力発電所2号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、
9月2日排ガス放射線モニタの指示値が上昇し、また、タービン建屋内のダスト放射線モニタ及び主排気筒放射線モニタの指示値が上昇したことから、原因調査のため原子炉を手動停止しました。(9月2日お知らせ済み)

 排ガス放射線モニタの指示値の上昇の原因として燃料からの微少な漏えいの可能性が考えられることから、燃料集合体の漏えい検査(シッピング検査)を行った結果、漏えいのある燃料集合体1体を確認しました。(10月10日お知らせ済み)
 その後の調査の結果、燃料集合体から漏えいした微少な放射性物質が、タービン建屋内の2箇所(湿分分離器レベルスイッチテスト弁
*1グランド部および排ガス減衰管バイアルサンプラ*2電磁弁継手部*3)から漏えいし、その結果、タービン建屋内のダスト放射線モニタの指示値が上昇、さらに放射性物質がタービン建屋換気空調系を経由して主排気筒に移行したため、主排気筒放射線モニタの指示値も上昇したものと推定されました。

1.燃料集合体からの微少な放射性物質漏えいの原因と対策
シッピング検査において漏えいが確認された燃料集合体について、外観点検、運転履歴調査等を行った結果、いずれにおいても異常が認められなかったことから、今回の漏えいは異物の影響を含め偶発的に発生したものと推定されました。
  このため、当該燃料集合体を健全なものに取り替えることとしました。

2.湿分分離器レベルスイッチテスト弁グランド部からの漏えいの原因と対策
   テスト弁を分解して調査したところ、
・分解点検時に混入したと思われる異物がテスト弁の弁体と弁座の間に噛み込んだ ことなどにより弁座に傷が付き、ベローズ周辺に蒸気が流入したこと
・ベローズ
*4周辺に滞留していた蒸気などによってベローズに応力腐食割れと思わ れる割れが発生し、ベローズの外側から内側に蒸気が流入したこと
・グランド部の締め付けボルトが、規定のトルク値で締め付けられていなかったため 、ベローズ内部に流入した蒸気などをグランド部で止められなかったこと

が分かりました。この結果、当該弁からの漏えいはこれらの3つの要因が重なったことから発生したものと推定されました。
対策として当該弁を新品に交換することとし、ベローズについては応力腐食割れがおこりにくい材質を使用することといたしました。
また、弁の分解点検作業については、分解点検時に異物が混入することのないよう再徹底を図るとともに、ベローズを有する弁の分解点検を行った場合は、その都度ベローズの漏えい試験を行うこと、および分解後にグランド部の締め付け確認を行うことを、作業要領書に記載することといたしました。

3.排ガス減衰管バイアルサンプラ電磁弁継手部からの漏えいの原因と対策
   継手部を分解して調査した結果、継手部の締め付けが十分でなかったことが漏えいの原因であると推定されました。また、調査の過程で前回の分解点検時にパッキンが再使用されていたことがわかりました。
  対策として当該継手について、パッキンを交換したうえで締め付け確認を行うことといたしました。
また、分解点検後は締め付け確認を行うことを作業要領書に記載するとともに、分解点検時におけるパッキン等の消耗品の交換についても再周知を図ることといたしました。

 なお、本事象により、発電所排気筒から極く微量な放射性物質の放出がありましたが、年間放出管理目標値を十分下回っており、発電所周辺のモニタリングポストの測定値に変化がなく、外部への放射能の影響はありません。
 また、原子力安全・保安院による国際原子力評価尺度(INES)暫定評価では、0-とされております。
以 上


*1 湿分分離器内の水位を検出するスイッチを校正するための弁です。
*2 排ガス減衰管出入口の希ガスを瓶に採取するためのサンプリング装置です。
*3 電磁弁の点検時に取り外しが可能なように、ナット締め込み式の構造となっている
継手です。
*4 金属製で筒状のものにひだを設け、伸縮性・気密性を持たせたものです。

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