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定期検査中の福島第一原子力発電所2号機原子炉建屋内における
水漏れの原因と対策について |
平成15年9月12日
東京電力株式会社 |
当社・福島第一原子力発電所2号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)は、平成15年3月31日より第20回定期検査を実施しておりますが、7月24日、原子炉建屋1階において水漏れを発見しました。
調査の結果、残留熱除去系*1等の計装配管につながる排水口(以下「当該排水口」)から水が漏れており、残留熱除去系差圧検出器*2計装ラック排水弁を閉めたところ、水漏れが止まるのを当社社員が確認しました。
床への漏えい量は、当初、約60リットル、放射能量は約3.5×106ベクレルであると暫定的に評価しましたが、漏えい範囲を詳細に寸法測定し再評価した結果、床への漏えい量は約100リットル、放射能量は約5.6×106ベクレルであることを確認しました。
(平成15年7月24日、25日お知らせ済み)
原因調査の結果、当該排水口下流側の排水配管取替工事のために配管を閉塞養生していたところ、通常「閉」である残留熱除去系差圧検出器計装ラック内にある排水一次弁と二次弁が差圧検出器の耐圧試験準備作業中に「開」状態となったため、当該排水口から逆流した水が溢れたものと推定されます。
品質管理上の観点から不適合*3および改善すべき事項*4を抽出した結果、再発防止について、以下の対策を実施いたします。 |
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計装弁取扱時には、弁の開閉状態や操作の管理を行うための点検作業札の適用および作業者二人によるダブルチェックにより確認することを受注者に対する契約上の要求事項として記載する。 |
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計装ラック内の計器取替時は、原則としてラック入口弁を当社発行の作業札で「閉」とし、当社が開閉操作を管理するとともに、その下流側にあるラック内の弁についても、受注者発行の点検作業札を用いて作業するよう社内マニュアルに記載する。 |
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計装ラックの計装弁において入口弁、出口弁等の用途に応じた色識別がされていない弁については識別管理できるように色を塗る。 |
なお、床への漏えいの他、排水配管の閉塞養生部において、約100リットルの水を回収し、適切に処理を実施していましたが、この情報については、水漏れ発生時に、社内において必ずしも十分な共有がなされていなかったことから、従来にもまして情報共有を図ることといたします。
なお、本事象による外部への放射能の影響はありません。
また、原子力安全・保安院による国際原子力事象評価尺度(INES)暫定評価では、0-となっています。
参考:残留熱除去系計装ラック排水口からの水漏れ経路概念図
*1:残留熱除去系
原子炉を停止した後の燃料の崩壊熱除去や非常時に原子炉の水位を維持するための系統。
*2:差圧検出器
二つの測定物の圧力差を検出する計器。今回のものは、その圧力差を換算し流量を計測している。
*3:不適合
本来あるべき状態とは異なる状態、もしくは本来行うべき行為(判断)とは異なる行為(判断)。
*4:改善すべき事項
不適合でないものの、更なる品質向上効果が期待できる事項。 |
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