原子力発電のしくみ

原子力発電所の原理は火力発電と同じです。火力発電所のボイラーにあたるものが原子炉で、この中でウラン燃料が核分裂を起こして熱をつくっています。この熱により水を水蒸気に変え、タービンを回し、電気をつくっているのです。わずかな量の燃料で大量のエネルギーを生み出し、一度燃料を入れると、少なくとも、1年間連続運転ができます。

日本の商業用の原子炉には、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)と加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)の2種類がありますが、これらをまとめて軽水炉と呼びます。

原子力発電のしくみ

1.ウラン燃料

原子力発電所の燃料はウランですが、このうち核分裂をするのはウラン235です。ウラン235は天然ウランの中に0.7%程度しか含まれていないため、この割合を2~4%程度まで濃縮し、その後さまざまな工程を経て、直径約1cm、高さ約1cmの円柱状(ペレット)に焼き固めます。これを合金製の長い管の中に収めたものを燃料棒と呼び、それらをいくつも束ねて燃料集合体とします。110万kW級沸騰水型軽水炉では764体の燃料集合体を原子炉の中に装荷します。

炉内でウラン235が中性子を吸収すると核分裂が起き、大きな熱エネルギーが発生します。また、そのときにウラン235の原子核から2~3個の中性子が飛び出します。この中性子はさらに別のウランの原子核に吸収され、次々と核分裂が連鎖的に起こります。このように、核分裂が連鎖反応することにより膨大な熱エネルギーが発生します。

燃料棒と燃料集合体

燃料装荷中の原子炉圧力容器

2.原子炉:沸騰水型軽水炉(BWR)

原子炉は核分裂の際に発生する熱エネルギーを取り出す装置です。わが国で建設・運転されている原子炉はほとんどが軽水炉です。軽水炉とは核分裂によって発生した熱を高温・高圧の蒸気として取り出す冷却剤や中性子のスピードをおとす減速材に普通の水(軽水)を使用する原子炉のことで、世界で最も多く採用されています。沸騰水型と加圧水型の2種類があり、当社で建設・運転している原子力発電設備はすべて沸騰水型軽水炉で、原子炉の中で発生させた蒸気を直接タービンに送る方式です。

3.タービン、発電機

原子炉から配管を通って送られてくる高温・高圧の蒸気の力によってタービンを回し、タービンにつながる発電機を回して電気をつくります。このように蒸気の力でタービンを回し発電を行うしくみは火力発電と同じです。

柏崎刈羽原子力発電所2号機のタービン

復水器

4.復水器

タービンを回し終えた蒸気を冷やして水に戻すのが復水器の役目です。

復水器の中には太さ約3cmの冷却管が4~5万本もあり、この中を海水が通り、蒸気と混ざり合うことなくこれを冷却するしくみになっています。また、復水器は蒸気を水にして体積を減らすことにより、高い真空をつくり蒸気の流れをよくしてタービンの効率を高くする働きもします。