プレスリリース 1998年

スーパーマーケット向け省エネ型冷蔵ショーケースの開発について


                         平成10年1月14日
                         東京電力株式会社
                         三洋電機株式会社

 東京電力と三洋電機は、今回、省エネルギー、負荷平準化をねらいとし
て、午後1時から午後4時の電力ピーク時間帯に消費電力を低減する、ス
ーパーマーケット向け省エネ型冷蔵ショーケースを開発いたしました。

 食品スーパーマーケットでは、一般的には年間電力消費量の約6割は冷
凍・冷蔵ショーケース関連設備によるものです。それだけに、この冷蔵シ
ョーケースを省エネ化すれば、店舗全体のピークカット、省エネルギーに
も大きく寄与することになります。本省エネ型冷蔵ショーケースは、スー
パーマーケットの食品鮮度管理と省エネルギーを同時に達成する機器であ
り、特に夏期における店舗のピーク負荷を抑制(冷蔵ショーケース関連設
備の消費電力を約18~20%低減)し、コスト低減を実現することができま
す。

 夏期、電力需要は午後1時から午後4時までの間にピークとなります。
この時間帯は、スーパーマーケットにおいては比較的来客数が少なく、本
省エネ型冷蔵ショーケースは、この間において庫内照明の回路を切り替え
ることにより20%照度をおとします。同時に、この庫内照明の照度低下に
あわせて、庫内熱負荷(庫内照明からの輻射熱)の減少に見合う分、庫内
制御温度(吐出空気温度)を1℃上昇させることにより、品温の低下を防
ぎます。以上の機能(デマンドセットバック機能)により、この間冷蔵シ
ョーケース1台当たり約10~12%(標準的な8尺(約2.4m)サイズで0.3
kW)の消費電力を低減させることができます。なお、本ショーケースを
導入することにより、従来品と比べ、一台当たり約1万円のコストアップ
となりますが、ランニングコストのメリットにより、約1.2年で投資回収
が可能となります。

 また、冷凍・冷蔵ショーケースは、熱交換器(蒸発器)に空気中の湿気
が霜として付着するため、一定間隔で霜取り(デフロスト)を行い、性能
維持を図る必要があります。スーパーマーケットでは、この霜取りをやは
り来客数の比較的少ない午後2時頃に一斉に実施するよう設定する場合が
多く、霜取り後の急速冷却運転が電力ピーク発生の要因の一つとなってい
ました。この霜取り時刻を、精肉・鮮魚用ケース、野菜用ケース、乳製品
用ケースなどの系統ごとに分散させることにより、電力ピークの低減が可
能となりますが、今回のショーケースの実証試験を通して、その低減効果
(冷蔵用冷凍機入力kW合計値の約8%低減)を確認することができまし
た。この方策は、霜取り時刻の設定を変更することにより実施が可能であ
るため、基本的に新たな投資費用は発生せず、他方でショーケース一台あ
たりに換算すると年間約0.4万円の基本料金低減効果が見込まれます。

 今後東京電力と三洋電機は、デマンドセットバック機能を搭載した省エ
ネ型冷蔵ショーケースの普及活動や霜取り時刻の分散に関する情報提供を
行い、省エネルギーを通じた環境保全、電力負荷の平準化をめざしていき
たいと考えております。なお、三洋電機は、平成10年1月下旬から、デマ
ンドセットバック用部品を組み込んだ冷蔵ショーケースを受注後生産・販
売する予定です。また本省エネ型冷蔵ショーケースについては、ENEX
展(「地球環境とエネルギーの調和展」平成10年2月4日~2月7日:
(於)科学技術館)にて実機を展示する予定であり、今回開発した技術に
ついても、今後無償公開する予定です。

                              以 上

<参  考>
1.負荷平準化方策の特徴・効果
  下記(1)(2)の効果により、ピーク時間帯において18~20%の電
  力需要低減が可能となる。
(1)デマンドセットバック機能
 ・午後1時から午後4時までの3時間、ケース庫内照明の照度を低下
 (20%照度ダウン)させ、庫内照明用消費電力を20%カットする。
 ・庫内熱負荷(庫内照明からの輻射熱)の減少に見合う分、この間、庫
  内制御温度を1℃上昇させ、品温の低下を防ぐ。
 ・スーパーで一般的に使用されている冷蔵多段型オープン長さ8尺(約
  2.4m)ケース(約2.6kW)で、夏期においては、1台当たり庫内照
  明の切替による低減分が約0.1kW、制御温度の変更による低減分が
  約0.2kW、合計で約0.3kW、約12%の低減が可能である(0.3kW
  /2.6kW)。
 ・約12%の電力ピーク低減効果があるので、将来的に東京電力サービス
  エリア内にある冷蔵ショーケース(冷凍機別置きタイプの多段型:推
  計12万台)が、全てこのタイプに置きかわることになれば、約36,000
  kWのピークカットにつながるものと考えている。

(2)霜取り(デフロスト)時刻の分散
 ・複数台ある冷凍機の霜取り時刻を、定時(昼間は午後2時)集中方式
  から、精肉・鮮魚用(午後2時)を基準として、野菜用、乳製品用を
  それぞれ前後2時間シフトすることにより、霜取り後の急速冷却時に
  発生していた電力ピークの平滑化をはかる。
 ・この方策により、冷蔵用冷凍機の夏期の電力ピークを約8%低減でき
  る((65kW-59.5kW)/65kW)。


2.実証試験概要
(1)実証店舗規模
 ・既設食品スーパーマーケット
 ・売場面積1,000m2(標準的な広さの食品スーパーマーケット)
 ・冷蔵用冷凍機3台
 ・冷蔵ショーケース25台
(2)実証期間
 ・平成8年7月~9月、平成9年7月~9月
(3)実証方策
 ・デマンドセットバック機能の実施
 ・霜取り時刻の分散の実施
(4)実証結果
 ・デマンドセットバック機能動作時のショーケース庫内温度や庫内照度
  の確認、霜取り実施中の表示ランプの動作確認等を行い、販売面での
  支障がないことを検証するとともに、この店舗では、空冷式凝縮器の
  吸込空気温度を標準の32℃に設定した際、合計で約13kWの電力ピー
  ク低減効果があることを確認した(デマンドセットバックによる低減
  分:約7kW(0.3kW×25台)、霜取り時刻の分散による低減分: 
  約6kW(65kW-59.5kW))。
 ・実証試験を実施させていただいたスーパーマーケットの設備責任者の
  方から、「販売面での支障もなく、手軽に電力ピークが低減できた」
  というコメントをいただいた。

3.食品鮮度保持の実験
  冷蔵ショーケースの通常モードとデマンドセットバックモードについ
 て、食品(マグロ、牛肉)の鮮度保持の実験を行った。具体的には、一
 般消費者が夏場に自宅まで商品を持ち帰り、調理するまで冷蔵庫に保管
 することを考慮し実験を行ったところ、デマンドセットバック機能を実
 施しても、鮮度保持上、全く問題がないことが確認された。

4.開発体制
(1)開発主体<当開発での役割>
 ○三洋電機株式会社<設計製造、実験計測、実証試験計測、総合評価>
  ・住所:〒570-8677  大阪府守口市京阪本通2-5-5
  ・社長:高  野  泰  明
 ○東京電力株式会社<企画、計画、推進、総合評価>
  ・住所:〒100-0011  東京都千代田区内幸町1-1-3  
  ・社長:荒  木    浩
(2)開発期間  :  平成8年4月~平成9年12月
(3)開発費用  :  5,000万円

5.お問い合わせ先
(1)東京電力(株)  広報部
  ・住所:〒100-0011  東京都千代田区内幸町1-1-3  
  ・電話:03(3501)8111
(2)三洋電機(株)  広報部  東京広報グループ
  ・住所:〒110-8534  東京都台東区上野1-1-10  
  ・電話:03(3837)6234
  (商品に関するお問い合わせ先)
   三洋電機(株)  産機システム事業本部コールドチェーン事業部      
    大型店舗技術部大型店舗技術課
   ・住所:〒113-8434  東京都文京区本郷3-10-15
   ・電話:03(5803)3500(担当:平田)


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