川崎火力発電所1号系列(第3軸)の営業運転開始について
〜日本初の1,500℃級コンバインドサイクル発電により、世界最高水準の熱効率59%(注1)を実現。発電後の蒸気は、近隣のコンビナートで有効利用。〜
平成19年6月15日
東京電力株式会社
当社は、本日、川崎火力発電所1号系列の初軸にあたる第3軸(50万kW)の営
業運転を開始いたしました。
発電方式は、横浜・千葉・富津・品川の各火力発電所で実績のある改良型コン
バインドサイクル発電(ACC:Advanced Combined Cycle=1,300℃級)(注2)
にさらなる技術改良を加えた1,500℃級コンバインドサイクル発電(MACC: More
Advanced Combined Cycle)で、日本で初めての営業運転開始となります。
今後、第2軸、第1軸の運転を順次開始し、平成21年7月には1号系列の全て
が営業運転を開始する予定で、合計出力は150万kW(50万kW×3軸)となります。
川崎火力発電所1号系列の特長は次のとおりです。
(1)世界最高水準の熱効率59%を実現
ガスタービンに最新の耐熱材料と冷却技術を導入し、燃焼温度をこれまで
の改良型コンバインドサイクル発電の1,300℃から1,500℃へ上昇させたこと
などにより、世界最高水準の59%という高い熱効率を実現しました。これに
より、従来型のLNG火力と比較して約4割熱効率が向上し、燃料の使用量
および、CO2の発生量を約25%抑制しました。
(2)最新技術の採用で環境にやさしい発電所を実現(大気汚染を抑制)
燃料には硫黄酸化物(SOx)やばいじんを排出しないクリーンな液化天然
ガス(LNG)を使用するとともに、最新型の低NOx(窒素酸化物)燃焼器
および高性能脱硝装置を採用しました。
(3)川崎市千鳥・夜光地区コンビナートへ蒸気を供給
1号系列の全てが営業運転を開始(平成21年7月予定)した後、発電に使
用した後の蒸気を川崎市千鳥・夜光地区コンビナートへ供給し、同地区の10
社の工場で再利用していただく予定です(平成21年度下期)。
コンビナート内の10社のお客さまが、川崎火力1号系列からの蒸気をご利
用いただくことにより、年間で約1.1万キロリットル(原油換算)の燃料と、
約2.5万トンのCO2排出量の削減効果が見込まれます。
これは、一般家庭の約9,100世帯分の年間エネルギー消費量と、4,500世帯
分の年間CO2排出量に相当します。(注3)
建設にあたりましては、川崎市をはじめとする地域の皆さま、関係各方面の皆
さまから多大なご理解とご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
今後の発電所運営に際しましては、安全・安心に万全を尽くすとともに、川崎
臨海部の環境を守り、自然と調和したまちづくりに貢献してまいります。
以 上
(注1)熱効率59%
燃料中の水分および燃焼によって生成された水分の凝縮熱を差し引いた低位
発熱量基準に基づき算出した熱効率で、凝縮熱を含めた発熱量を基にした高位
発熱量基準では、53%。
(注2)改良型コンバインドサイクル発電
(ACC:Advanced Combined Cycle=1,300℃級)
コンバインドサイクル発電とは、ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わ
せたもので、ガスタービンから排出された高温の排ガスを再利用して蒸気を作
り、蒸気タービンとガスタービンで発電する。蒸気タービンだけの火力発電に
比べ、熱効率を上昇させ、出力の増加を図ることが可能。
改良型コンバインドサイクル発電とは、従来のコンバインドサイクル発電の
燃焼温度を1,100℃から1,300℃へ上昇させることなどにより、効率を上昇させ
たもの。
また、1,500℃級コンバインドサイクル発電は、改良型コンバインドサイクル
発電の燃焼温度を1,300℃から1,500℃へ上昇させることなどにより、効率をさ
らに向上させたもの。
(注3)年間の省エネルギー効果、CO2排出量削減効果
o年間の省エネルギー効果:約1.1万キロリットル(原油換算)
(算出根拠)
・10社の年間エネルギー使用量(2005年度実績):約28万kl
・MACCからの蒸気のエネルギー量を含む10社の推定エネルギー使用量:約27万kl
*各社の燃料構成およびエネルギー使用量実績より推定
一般家庭約9,100世帯分の年間エネルギー消費量に相当
(算出根拠)
・一般家庭一世帯あたりの年間エネルギー消費量(2005年度):10,977千kcal
・原油1リットルあたりの平均発熱量:9,126kcal
(財団法人省エネルギーセンター発行「2007エネルギー・経済統計要覧」より)
o年間のCO2排出量削減効果:約2.5万トン
(算出根拠)
・10社それぞれの燃料構成に基づき、「地球温暖化対策の推進に関する法律」
に定められた排出係数より算出。
一般家庭約4,500世帯分の年間CO2排出量に相当
(算出根拠)
・一般家庭一世帯あたりの年間CO2排出量(2005年度):約5.5t
(国立環境研究所 地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィ
ス「温室効果ガス排出量・吸収量データベース」より)
添付資料
・別紙:川崎火力発電所1号系列の概要(PDF 364KB) |
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