プレスリリース 2004年

「日本温暖化ガス削減基金」および「日本カーボンファイナンス株式会社」への出資について〜京都メカニズムの効果的な活用により、温暖化ガス排出量の削減を図る〜

                            平成16年12月1日
                            東京電力株式会社

 当社は、地球温暖化対策に向けた新たな取り組みとして、本日設立された「日
本温暖化ガス削減基金(Japan GHG Reduction Fund:以下、JGRF)」に、総
額1,000万米ドルを出資することといたしました。
 あわせて、JGRFから資金提供を受けて温暖化ガス削減プロジェクトへ投資
し、クレジットの購入やJGRFへの転売を行う「日本カーボンファイナンス株
式会社(Japan Carbon Finace,Ltd:以下、JCF)」へも出資することとし、
同社発行の普通株式1,250株(出資額1,250万円、出資比率14.3%)を取得いたし
ました。

 JGRFは、「京都メカニズム」(注1)を活用した地球温暖化対策の推進を
目的に、国際協力銀行および日本政策投資銀行と国内31の民間企業・団体(計33)
が設立したアジア初の炭素基金で、基金全体の規模は1億4,150万米ドルとなりま
す。
 また、当社を含むJGRFの大口出資者(7社)が株主となるJCFは、基金
からの資金提供を受け、国際協力銀行と日本政策投資銀行の国内外のネットワー
クや出資企業のノウハウを活用しながら、発展途上国や移行経済国での温暖化ガ
ス削減プロジェクトへの投資ならびに炭素クレジットの購入を行い、その後、
JGRFへ転売いたします。

 当社としては、
・優良な温暖化ガス削減プロジェクトの発掘、安定的な炭素クレジット獲得が期
 待できるJGRFへの出資により、出資額に応じて配分される炭素クレジット
 として、合計約140万tCO2の獲得が期待できること
・JCFへの出資・参加を通じて、炭素クレジット関連ビジネスや海外事業に関
 する知見やノウハウの獲得が期待できること
などから、出資・参加を決定したものです。

 当社は、東京電力グループの中期経営方針「経営ビジョン2010」の地球環
境貢献目標である「2010年度のCO2排出原単位を1990年度比で20%削減」達成
に向け、安全・安心の確保を前提とした原子力発電の推進、自然エネルギーの開
発・普及、火力発電の熱効率向上などに努めてまいります。また、既に取り組ん
でいる豪州での「植林プロジェクト」(注2)、世界銀行の「炭素基金」(注3)・
「バイオ炭素基金」(注4)への出資、さらにはチリでの「メタン回収プロジェク
ト」(注5)をはじめ、このたびのJGRFおよびJCFへの出資を通じて、京
都メカニズムを活用した海外での温暖化ガス削減に一層力を入れ、引き続き、国
内外での地球温暖化防止に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。

                                 以 上

(注1)京都メカニズム
   京都議定書で認められた「国内の温暖化ガス排出量を他国の排出枠や排出
  削減量・吸収量(炭素クレジット)で相殺する方法」で、以下の3つを指す。
 1)クリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)
     先進国・移行経済国が、発展途上国において排出削減または吸収量増
    大プロジェクトを実施し、その結果生じた炭素クレジットを取得する仕
    組み。
 2)共同実施(JI:Joint Implementation)
     先進国・移行経済国が、他の先進国・移行経済国において排出削減ま
    たは吸収量増大プロジェクトを実施し、その結果生じた炭素クレジット
    を取得する仕組み。
 3)排出量取引(ET:Emissions Trading)
     先進国・移行経済国間で排出枠の取引を行うこと。
(注2)豪州での植林プロジェクト
   オーストラリアのニューサウスウエールズ州で、2000年から当社100%子
  会社である「テプコ・フォレスツ・オーストラリア(TEFA)社」を通じて、
  ユーカリ・松の植林プロジェクトを実施中。2009年までに約10,000haの植林
  を実施し、2039年までに約350万tCO2の炭素クレジットの取得を期待。また、
  タスマニア州での植林事業にも出資しており、2003年末までに累計約12,000ha
  の植林を実施。
(注3)世界銀行炭素基金(Prototype Carbon Fund)
   CDM/JIプロジェクトに投資する世界初の炭素基金(2000年発足、基金規模
  1億8千万米ドル)。当社は800万米ドルの出資約束をしており、約150万tCO2
  の炭素クレジットの取得を期待。
(注4)世界銀行バイオ炭素基金(Bio Carbon Fund)
   森林保全活動、植林・再植林、持続可能な農林業などの事業への投資に特
  化した炭素基金(2004年発足)。当社は250万米ドルの出資約束をしており、
  2020年までに約50万tCO2の炭素クレジットの取得を期待。
(注5)	チリでのメタン回収プロジェクト
   チリの大手食品加工会社であるアグロスーパー社と、同社がチリで実施す
  るメタン回収プロジェクトにより創出される炭素クレジットを、2004年から
  2012年までの9年間で約200万tCO2購入。


別紙
・日本温暖化ガス削減基金と日本カーボンファイナンス株式会社の概要(PDF 12.9KB)炭素クレジット分配の仕組み(PDF 15.6KB) 


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