平成15年11月13日
東京電力株式会社
当社は、本日、富津火力発電所3号系列第1軸(出力38万kW)の営業運転を開
始いたしました。これにより、平成10年5月以来、鋭意建設を進めてまいりまし
た3号系列152万kW(38万kW×4軸)の全発電設備が営業運転に入りました。
発電方式は、既設の1・2号系列(コンバインドサイクル発電、100万kW×2)
にさらなる技術革新を加えた改良型コンバインドサイクル発電(ACC:Advanced
Combined Cycle)[注1]であり、当社としては横浜火力発電所7・8号系列、
千葉火力発電所1・2号系列、品川火力発電所1号系列で採用されております。
富津火力発電所3号系列の特長は次のとおりです。
(1)世界最高水準の熱効率50%を実現[注2]
ガスタービンに最新の耐熱材料と冷却技術を導入し、燃焼温度をこれまでの
コンバインドサイクル発電の1,100℃級から1,300℃級へ上昇させたことなどに
より、世界最高水準の50%という高い熱効率を実現しました。これにより、従
来型の汽力発電方式ガス火力と比較して熱効率が約2割向上し、大幅に燃料が
節約できます。さらに、CO2の発生量も抑制されるなど、地球環境など環境
対策面でも優れています。
(2)最新技術の採用で環境にやさしい発電所を実現
1.大気汚染防止
燃料にはSOx、ばいじんを排出しないクリーンなLNGを使用し、さらに
最新型の低NOx燃焼器および高性能脱硝装置を採用しました。
2.景観・緑化対策
建物や煙突などの形状、色彩を発電所周辺の環境と調和するように景観対策
を実施したほか、常緑広葉樹・落葉広葉樹等による発電所構内の緑化に努め
ています。
(3)新技術の導入ならびに設備仕様のスリム化・合理化
従来の蒸気タービンでは、2本のローター(車軸)が使われていましたが、
これを一本にしたことにより、タービン軸長を約5m短縮することができ、そ
の結果、タービン建屋のコンパクト化につながりました。
また、機器・配管のレイアウト変更や、タービン建屋の中間に柱を設けるこ
となどにより強度分散を図った結果、建屋の幅を2m減少させることが可能と
なり、鉄骨やコンクリート量を大幅に削減することができました。
建設にあたりましては、地域の皆さまをはじめ関係各方面の皆さまから多大な
ご理解とご協力をいただきましたことに、深く感謝申しあげます。
以 上
[注1]コンバインドサイクル発電(CC)とは、ガスタービンと蒸気タービンとを
組み合わせたもので、ガスタービンから排出された高温の排ガスを再利用
して蒸気を作り、蒸気タービンとガスタービンで発電する。従来までの蒸
気タービンだけの火力発電に比べ、熱効率を上昇させ、出力の増加を図る
ことが可能。改良型コンバインドサイクル発電(ACC)とは、従来のコンバ
インドサイクル発電の燃焼温度を1100℃級から1300℃級へ上昇させること
などにより、効率をさらに向上させたもの。
[注2]本文中の熱効率50%とは燃料のもつエネルギー(発熱量)を高位発熱量基
準(HHV)で表示したもの。低位発熱量基準(LHV)では約55%に相当する。両
者の違いは、燃料中の水分および燃焼によって生成された水分の凝縮熱を
発熱量として含むか否かによるものであり、凝縮熱を含むHHV表示の方が発
熱量が大きくなるので、熱効率は低くなる。
<添付資料>
・富津火力発電所3号系列の概要(PDF 98.6KB)
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