平成12年５月22日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京電力株式会社

［当期の概況］
　平成11年度のわが国経済は、個人消費を中心に民間需要の回復力が弱く、依然とし
て厳しい状況が続きましたが、年度後半に企業の生産活動が拡大基調に転じるなど、
景気は緩やかながら改善の兆しを示しました。
　このような経済情勢の中で、当社の販売電力量は、産業用需要が生産活動の持ち直
しによって前年度実績を上回ったことに加え、生活関連需要が夏季の高気温によって
冷房需要が増加したことから、全体では当初の見通しを上回る伸びを示しました。内
訳としては、電灯は前年度に比べ3.7％増の840億kWh、電力は2.3％増の1,902億kWhと
なり、電灯と電力をあわせた総販売電力量は2.7％増の2,742億kWhとなりました。

　収入面では、電気料収入が、販売電力量の増加の中で燃料費調整に伴う収入減があ
ったことから、前年度比0.5％増の４兆9,425億円にとどまり、連結の売上高（営業収
益）は前年度比0.1％増の５兆916億円、経常収益では前年度比0.1％増の５兆1,133億
円となりました。

　一方、支出面では、電気事業において、原油価格の上昇に伴う燃料費の負担増や新
規電源の運転開始に伴う減価償却費の増加などがありましたが、前年度に年金の予定
利率を見直したことに伴い退職年金費用が一時的に増加したことの反動として人件費
が減少したほか、金利低下に伴う支払利息の負担減がありました。加えて、当社およ
び連結各社において、修繕費の削減をはじめとする業務運営全般にわたる徹底したコ
ストダウンに努めた結果、連結の経常費用は2.6％減の４兆7,632億円となりました。

  以上により、連結の経常利益は前年度比59.7％増の3,500億円となりました。
　また、当年度は当社および一部の連結子会社において、退職給与引当金の計上方法
を変更したことに伴い、退職給与引当金繰入額2,039億円を特別損失に計上しましたが、
税効果会計の適用によって761億円の法人税等調整額を計上した結果、連結の純利益は
10.3％減の874億円となりました。

［配当政策］
　利益配分にあたっては、安定配当の継続を基本に、業績等を総合的に勘案して、株
主のみなさまのご期待にお応えしていきたいと考えております。
  当年度については、これまで実施してきた経営効率化の成果を株主のみなさまに配
分する観点から、期末配当金として、１株につき前年度比10円の増配となる35円を株
主総会にお諮りし、中間配当金と合わせて１株につき年間60円を予定しており、これ
による当年度の配当性向は87.6％となります。内部留保については、設備投資、財務
体質の強化など、今後の事業展開に活用してまいります。  
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
［次期の見通し－通期］
　平成12年度の販売電力量は、景気のゆるやかな回復基調を反映し、気温などの影響
を除いた実勢としては前年度を上回る伸びを見込んでいますが、11年度における猛暑
に伴う冷房需要増やうるう年の影響の反動が予想されることから、前年度並み（前年
度比0.1％減）の2,740億kWh程度にとどまる見通しです。
　売上高については、燃料費調整制度によって電気料金の販売単価が前年度に比較し
上昇するものの、10月から電気料金の引下げを予定していることなどから、連結及び
単独とも、ほぼ前年度並みの水準になるものと見込んでおります。
　経常利益については、原油価格の上昇による燃料費の負担増などの悪化要因があり
ますが、当社及び連結各社において業務全般にわたるコストダウンを推進することに
よって費用の削減をはかり、連結で2,100億円程度、単独では2,000億円程度を上回る
水準を確保したいと考えております。

    ＜連結＞
        売上高　　　　  　５兆  300億円程度
        経常利益            　2,100億円程度
　　　  当期純利益            1,350億円程度

    ＜単独＞
        売上高　　　　　　 　　　５兆円程度
        経常利益            　2,000億円程度
　　　  当期純利益            1,300億円程度