平成21年度入社式挨拶(要約)
平成21年4月1日
東京電力株式会社
社長 清水 正孝
東京電力は、これまで2度の石油危機を克服し、安定性、経済性、そして環境性に優れた高品質の電気を供給する経営基盤を築き上げてきたが、柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止、原油価格の異常なまでの高騰などの影響もあり、当社の収支は2年連続の赤字となる見込みである。加えて、昨年秋以降の世界的な金融不安と景気悪化により、電力需要にも影響が出始めており、当社は創立以来の未曾有の危機に直面している。
このような時だからこそ、むしろ「逆境を好機に変えていこう」という心構えで、強靭な企業体質作りに懸命に取り組んでいる。
社会人の第一歩を踏み出すにあたって、2点お願いしたい。
1点目は、「それぞれの分野で自らの専門性を磨くともに、常に仕事を部門間、グループ間のつながり、チェーンとしてとらえる」ということ。
皆さんが配属される第一線職場は、様々な仕事があり、これら日常の仕事をしっかりと行い、お客さまの信頼を得ることが当社の事業を支える基盤であり、直面する危機を乗り越えるためのベースとなる。また、自分の専門性を高めるだけでなく、他の部門や周りの人達との関わり合い、仕事のつながりを常に意識して仕事に取り組んでいただきたい。
普段からのコミュニケーションを土台にしたチームプレーを確実にこなせることが勝てるチームの共通点である。
2点目は、「仕事のルールを熟知した上で、さらに創意工夫を仕事に反映する、自分ならではの付加価値をつける」ということ。
皆さんには、まず、仕事の拠り所として規程やマニュアルをしっかりと体得して欲しい。そのためにも、現場・現物・現実という三現主義を実践することが重要である。様々な課題に真正面から取り組み、そこで生み出した工夫・改善を仕事に活かして欲しい。また、進んで課題提起を行い、先輩と一緒に知恵を出し合い、活発に議論するなど、職場に新しい風を吹き込んでいただきたい。
最後に低炭素社会の実現に向け、長期的な視点で当社が果たすべき役割について申し上げたい。
当社は、CO2排出の少ない、低炭素社会の実現に貢献していきたいと考えており、また、貢献できると確信している。そのためには、供給面では、原子力を中心とした非化石エネルギーの一層の開発と火力発電における高効率化、電力流通設備の更なる高度化が不可欠であり、また、需要面では、あらゆる分野における電化の推進が最大の決め手となる。低炭素社会におけるエネルギーの主役は電気の他にない。
2050年の低炭素社会の実現に向けた主役は皆さんであり、皆さん一人ひとりが東京電力社員としての自信と誇りを持って仕事に当たっていただきたい。
以 上