風力発電利用に向けた取り組み ~洋上風力発電システム実証研究~
洋上風力発電とは、海上に吹く風を利用した風力発電のことです。海上では、陸上より強い風が安定して吹くため、風力発電に向いていると言われています。
当社では、2009年8月より、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から受託した「洋上風況観測システム実証研究」を国立大学法人東京大学と、2010年6月からは「洋上風力発電システム実証研究」をNEDOと共同で、それぞれ開始しています。
研究の目的・実施内容・概要
目的
洋上に実証研究設備(風車、観測タワーなど)を設置して、設備の安全性や環境への影響を研究・調査することで、「日本の厳しい自然環境(台風・地震など)に適用できる洋上風力発電技術を確立すること」を目指しています。
実施内容
a. 洋上風況観測システム実証研究(=「観測タワー」)
- 波浪や風の観測と評価
- 波浪と風の予測手法の開発と検証
- 海生生物や鳥類など環境影響調査,など
b. 洋上風力発電システム実証研究(=「風車」)
- 洋上仕様風車の開発と検証
- 基礎の設計手法の開発と検証
- 運転保守方法の開発と検証,など
概要
1.日本の自然環境に適した洋上風車と基礎などの開発、銚子沖に実証研究設備を設置することによる技術の検証と確立
2.風車と観測タワーの構造と寸法
3.系統連系設備の構造と寸法
詳細はプレスリリースをご覧ください。
実証研究の進捗(更新:2012年10月24日)
実証研究設備の建設は、2010年4月の海底地盤の特徴を調べるためのボーリング調査から始まり、風車と観測タワーを載せるためのコンクリート基礎の製作、設置、観測タワー・風車の製作、設置を、2012年10月中旬までに進めてきました。 特に銚子沖での作業は、波のうねりの影響などで予定通り進まず、洋上での作業の難しさに苦労しています。ですが、この困難に対応することも研究のひとつと考え、関係者一同で知恵を使い、厳しい自然状況と協調しながら研究を進めています。
これまでの進捗
年月日 | 実施内容 |
2010年4月 | 海底地盤ボーリング調査 (写真1) |
2010年12月~ | 鹿島火力発電所物揚場に接岸したフローティングドック上で、風車、観測タワーの基礎製作を開始 (写真2、写真3、写真4) |
2011年3月 | 東日本大震災発生 |
2011年4月 | 震災の影響により、兵庫県播磨港へ運搬 |
2011年8月~ | 風車、観測タワーの基礎製作再開 (写真5) |
2012年5月 | 風車、観測タワー基礎の製作完了 (写真6) |
2012年6月 | 観測タワーの地組み開始 (写真7) |
6月28,29日 | 観測タワー基礎据付 (写真8、写真9、写真10) |
7月9,10日 | 風車基礎据付 (写真11、写真12、写真13) |
7月28日~8月18日 | 観測タワー組立 (写真14、写真15、写真16、写真17、写真18、写真19 ) |
10月14日 | 風車組立(写真20、写真21、写真22) |
2013年1月 1月29日 |
使用前自主検査終了 発電開始 |
2013年2月 2月28日 |
安全管理審査が完了 |
2013年3月 3月4日 |
本格的な実証運転を開始(プレスリリース) |
洋上風力発電設備が魚や鳥などに与える影響の調査
洋上風力発電が漁業生物や海鳥にどのような影響を与えるかは分かっていません。今回の実証研究にあたっては、そうした調査も行い、環境に配慮した建設方法も研究しています。